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幸福の一番の要素は自己決定

2026年2月8日   岡本全勝

生涯の生活設計」の続きです。掲載論文の中で、菅原圭さんの「幸福の基盤はひとり力を高め自分の居場所をつくること」もお勧めです。

日本の経済力が高いのに幸福度が低いことを指摘した上で。
・・・では、幸福ってどんな状態を言うのでしょうか。
まず健康であること。経済的不安がないこと。まわりの人との人間関係が良好なこと・・・・などがあげられます。
れ以上に、幸福であるためのいちばん重要な要素は「自己決定」なのです。
「世界幸福度調査」の評価軸は1人当たりGDP、健康寿命などのほか、望む生き方を自己決定できるかどうか、「ひとりひとりの人生の自由度」も採択しています。日本はこの「人生の自由度」が世界79位と、かなり低いことが注目されます。
しかも、日本人自身、幸福とは自分が望む生き方ができることだとわかっています。2020年、 経済産業研究所が日本人2万人を対象に行った調査でも、所得や学歴より「自己決定」が幸福度を高めるという回答が最多。 「自己決定」の幸福度は学歴の満足度の約9倍、年収の満足度の1・5倍も高いという結果が報告されています・・・

続いて、次のように書かれています。
・・・この経済産業研究所の調査結果で気になるのは、 中年期になると幸福感がぐんと落ち込むことです。うなずく人も多いのでは・・・
「自己決定」どころか、思いどおりにいかないない現実に、自分を抑えて毎日を過ごしている。そんな人が増えてくる。それらが、中年期になると幸福度が大きく落ち込むという結果をもたらすのでしょう・・・

こんなことも。
・・・福度を引き上げることはけっして難しくありません。 誰にでも簡単にでき、 お金も時間もかかりません。
その方法とは、何でも最終的には「自分ひとりで決める」。とくに「大事なことは自分自身で決める」。これだけです・・・

もちろん、自分で決めたことは、うまくいかなかっても他人のせいにはできません。関心ある方は、原文をお読みください。
幸福度高い人は主体的に行動

日本人がつくった社会通念・時間厳守2

2026年2月7日   岡本全勝

日本人がつくった社会通念・時間厳守」の続きです。織田一朗著「日本人はいつからせっかちになったか」 (1997年、PHP新書)の151ページ以下に、次のような話が載っています。

明治になって時計が普及し、鉄道や学校で時間厳守を教えられたことで、日本人が時間に厳密になりました。
ところが、かつての腕時計は、1日に15~20秒の誤差が出ました。1週間で2分の誤差です。会社員は毎週月曜朝に、テレビやラジオを使って、腕時計の時刻を合わせていました。
値段の高い時計は狂いの程度は少ないのですが、一般には狂いの生じることはやむを得ないと考えられていました。そこで、当時の社会は、だいたい5分程度の誤差を見込んで行動していました。催し物の開始時刻は5ないし10分程度遅らせ、人と会う時間も互いに余裕を見て待ち合わせをしていたのです。

これを変えたのが、1969年(昭和44年)に発売されたクォーツ時計です。それまでの腕時計の30~100倍の精度を実現し、1か月で誤差3秒以内になりました。これで、社会の時間精度が大幅に向上するだけでなく、人の認識や行動が変わりましたあ。
それまでは、バスの停留所で待っているときに「正しいのはバスで、自分の時計でない」と思っていたのが、「正しいのは自分の時計で、正しくないのがバスの運行」となりました。人との待ち合わせも、5分前に行く必要がなくなりました。
鉄道も、秒単位で運行を管理できるようになりました。

生涯の生活設計

2026年2月7日   岡本全勝

地域社会ライフプラン協会の情報誌『ALPS』1月号の特集は、「シングルライフ」です。「シングルの家計管理」「シングルライフの「不安」や「困りごと」をサポートするサービス」などが載っています。

ライフプランという言葉も、今では普通になりましたが、そんなに古い言葉ではありません。協会のホームページには、次のように書かれています。
・・・『生涯にわたって充実した生活を送るための人生設計』を“ライフプラン”と呼んでいます。広い視野から見ると、その人個人だけでなく、家族を含めた生活設計といえます。
私たちは、「マイホームを持ちたい」「子どもを希望通り進学させたい」「退職後、海外に長期滞在してみたい」など、様々な夢や希望を持っています。
ライフプランとは、自分や家族に関する将来の夢や希望を明確にしたうえで、その実現のために作成する総合的な計画のことです。
このページでは、地方公務員をはじめとする皆様にライフプランに関する基本的な考え方や具体的な作成方法についてのコンテンツを紹介しています・・・

・・・人生100年時代といわれるようになった昨今、退職後にはそれまでの労働時間に匹敵する、あるいはそれ以上の自由時間を持てるようになります。あなたの人生を、現役時代から生涯にわたって有意義で充実したものにするために、「生きがい(仕事・家族・個人・社会)」をもつことと、それをしっかり支える生活基盤である「家庭経済」「健康づくり」の“3つの要素”をバランスよく計画し、実践していくことが大切です・・・

家族や地域社会で支え合って生きていた時代、会社など勤め先が面倒を見てくれた時代が終わり、自分と家族の人生を各自が設計し責任を持たなければならない時代がやってきました。しかし、私たちは、まだそのような状況に慣れていないようです。

日本人がつくった社会通念・時間厳守

2026年2月6日   岡本全勝

「日本人がつくった社会通念・ゴミを捨てない」の続きです。

日本社会は時間に正確です。鉄道は数分遅れただけでお詫びの放送を繰り返し、学校や会社では少しでも遅れると叱られます。これも明治以降のことのようです。
幕末に、長崎海軍伝習所教官として海軍教育を行ったオランダ人のウィレム・カッテンディーケ(後に海軍大臣)は、著書「長崎海軍伝習所の日々」(原著1860年。1964年、平凡社東洋文庫)で、「日本人の性癖」について具体事例を挙げて「日本人の悠長さといったら呆れるくらいだ」と嘆いています。

江戸時代はお寺の鐘が時刻を伝えていて、それも日の出から日の入りまでを6等分する不定時法ですから、分単位どころか一時間の観念はなかったのでしょう。街や家には、時計はなかったのです。明治時代になって、鉄道が定時運行することに始まり、学校や会社での時刻厳守に従っているうちに、時間に正確な国民性ができあがりました。

日本人の時間意識の変化については、橋本毅彦・栗山茂久編著「遅刻の誕生:近代日本における時間意識の形成」(2001年、三元社)、織田一朗著「日本人はいつからせっかちになったか」 (1997年、PHP新書)があります。「かつて日本人は時間にルーズだった」も。

成沢光著「現代日本の社会秩序: 歴史的起源を求めて」(1997年、岩波書店)は、時間観念のほか、集団行動(整列、行列、号令)、空間(整理・整頓、清潔)、身体(健康、清潔、姿勢、動作)、人間関係(上下関係)などの日本的と言われる社会秩序が、明治維新後の近代化・西欧化の過程で、わずか30年ほどで形成されたと指摘しています。
西欧起源とともに、武家社会から引き継いだもの、禅宗寺院から引き継いだものもあると考察しています。

 

ブルーカラーの賃上げ

2026年2月6日   岡本全勝

1月11日の日経新聞に「ブルーカラー賃上げ格差」が載っていました。
・・・専門スキルを持つ現業職「ブルーワーカー」で賃上げの勢いに格差が出ている。2024年の所定内給与を20年と比較すると、タクシー運転手は4割増える一方で、板金従事者など減少する職種もあった。海外では能力次第で厚待遇を得られる現業職を見直す動きがあるが、スキル可視化が不十分な日本では盛り上がりに欠ける。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査で所定内給与を比較した。伸び率が顕著なのが「タクシー運転者」で40%増えた。とび職・鉄筋工・型枠工など「建設軀体工事従事者」は18%増え、事務職を含む全体平均(7%増)の伸びを上回った。一方で警備員(3%増)や板金従事者(1%減)は平均を下回った。
都内で働く30代のタクシー運転手は25年8月、不動産営業から転職した。タクシー運転手の知人が月収100万円近いと聞き、歩合制で高収入を得られることに魅力を感じた。勤務間インターバルの確保など労働時間規制が厳しく1カ月の半分程度しか勤務できないが、「すでに前職の倍近い収入を得ている」という。
タクシー運転手の環境は新型コロナウイルス禍を経て大きく変わった。コロナ収束後の外国人観光客の急増で需要が拡大して人手不足が加速。歩合制を取り入れるタクシー会社では努力次第で高収入を得られる。東京タクシーセンター(東京・江東)によると、都内法人ドライバーの平均年齢はコロナ前に比べて2歳若返った。

ブルーワーカーはスキルが認められれば高収入を得やすいとあって海外で見直し機運が高まっている。日本でも建設工事現場で働くとび職や鉄筋工、型枠工など一部の技能職で賃金が上がり始めたが、タクシー運転手などを除いて人材流出に歯止めがかからない。違いは入職後に持続的に高年収を得られる「夢」を描きにくいことだ。
その理由として、建設現場の現業職で構成する全国建設労働組合総連合(全建総連)の松葉晋平・技術対策部長は「能力の可視化が遅れていることが大きい」と見る。職人自身が自分の持つスキルの市場価値が分からず、適正賃金が見定められない。

海外の賃金制度に詳しい青山学院大大学院の須田敏子教授は「英国やマイスター制度のあるドイツは職業資格が細かく可視化され、賃金に自然とひも付く。日本は職業資格が未発達でスキルの可視化ができておらず、交渉力もうまれない」と指摘する・・・
・・・欧米では未経験者の育成体制も整っている。米国の技能者養成システム「アプレンティスシップ制度」に詳しい筑波大学の藤田晃之教授は「高卒以上の未経験者が長期間かけて、有給でスキルを身につけられるため入職しやすい」と解説する。
肝は複数会社を渡り歩く実地訓練で全米共通のスキルを身につけられることだ。「育成を担う企業には能力評価の透明性があり、その評価は他社でも通用する」(藤田氏)。不透明でその企業内でしか通用しない日本の能力評価とは全く異なる。
ブルーワーカーの賃金上昇率は米国の方が高い。米労働統計局によると、大工の年収中央値は24年に5万9310ドル(936万円)で20年比20%増。日本の所定内給与(12%増の月額30万1200円)の伸び率を上回る・・・