長屋聡執筆「官僚制の変容と若手官僚」

2026年3月24日   岡本全勝

長屋聡執筆「官僚制の変容と若手官僚」(季刊『行政管理研究』2025年9月号)を紹介します。遅くなってすみません。執筆者から送ってもらっていたのですが、机の上で寝ていました。良い論考です。官僚制に危機感を持っている人、霞ヶ関の幹部には読んでいただきたいです。冒頭に次のように書かれています。

・・・若手の官僚が中途退職し、国家公務員志望者が減少していることが、社会的な耳目を集めている。人事院及び内閣人事局は、近年、相当な危機感を持って、これに対処すべく取り組んでいる。
本稿では、まず、政と官との関係で政治主導の必要性が唱えられ始めた1990年代以降、官僚及び官僚制はどのように変わって来たのかについて、Ⅰ官僚制の変容として概観した。そして、Ⅱにおいて、そのような経緯を経た現在の官僚制の中で、若手官僚(いわゆるキャリア官僚を念頭)の実相はどのようなものとしてとらえられるかを、個人的心証を含めて概説した。
官僚制の内側の視点から官僚制の変容の経過を整理している文献は必ずしも多くなく、Ⅱではマネジメントや人材育成にも言及しており、現役官僚の方々、さらに官僚制に関心を抱く方々に何がしか参考になれば幸いと思っている・・・

連載「公共を創る」第253回「官僚に仕事をさせるために」(3月26日号)で、「官僚機構を再び活性化し、活用するためには、新たな官僚論が必要です。ところが、このような議論が本格的になされているようには見えないのです。何より当事者である官僚の、現実を踏まえた考えと発言が求められます。」と書いたのですが、この論考は、まさに官僚が(現在は元官僚)が人事課長などの経験を元に、近年の官僚を取り巻く環境と行動の変化を述べたものです。すみません、連載「公共を創る」で紹介、引用すべきでした。

いくつか目次を紹介します。
Ⅰ 官僚制の変容
本章では、官僚制がいかに変化して来たか、また官僚制は状況の変化に十分に対応・適応して来たと言えるかを問題意識として、以下、官僚制をめぐる環境の変化と、官僚制(国家公務員制度)の改革、官僚そのものの変化と現状について記述したい。
1 取り巻く環境の変化
⑴  行政及び官僚を取り巻く経済・社会・国際状況等の変化(1990年代以降)
ア  バブル後の社会・経済・国際状況への対応の不十分 イ 個別行政の失敗 ウ 官僚不祥事の発生
⑵ 国の行政の役割の変化
⑶ 政と官、政府(内閣)と与党との関係の変化
(ウ)その他の官僚制にかかわる状況変化 ⅰ)国家公務員倫理法の制定 ⅱ)天下り批判
ウ 中央省庁改革後の運用(小泉内閣、民主党政権)
2 公務員制度改革及び官僚における変化と現状
⑵ 官僚個人をめぐる変化
ア 官僚に求められる能力 イ 志望動機、やりがい
⑶ 官僚の類型と行動 ⑷ 専門性と政治的応答性
3 官僚制についての現状認識

Ⅱ 若手官僚の実相
Ⅰに見るように官僚制が変化して来た中で、近年、若手官僚の退職者の増加、志望者の減少が著しい。以下、こうした状況の背景分析、若手官僚の実態、対応策などについて考えたい。
1 若手官僚をめぐる課題、背景
⑴ 社会的背景、社会意識の変化 ⑵ 霞が関に内在する課題
2 若手官僚の認識、特徴等
⑴ 若手職員の現状 ⑵ 若手官僚の気質、特徴 ⑶ 若手官僚の指摘(例)⑷ 構造的課題
3 対応(マネジメント)