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配電盤と集電盤

2025年7月24日   岡本全勝

司馬遼太郎さんは、明治時代の東京、特に東京大学(帝国大学)を、欧米文明を受け入れ地方に配る「配電盤」と表現しました。とてもわかりやすい表現です。霞ヶ関の行政機構も、欧米から輸入した行政サービスを、日本各地に行き渡らせる配電盤でした。

組織に置き換えると、ヒエラルキー(階統制)で、上位の職から下の職へ指示が下りることに似ています。
他方で、集電盤という仕組みがあります。配電盤が電気を分配するのに対し、集電盤は別々の電気を集めます。個別に発電された太陽光発電を、一つにまとめる場合とかです。
これを組織に当てはめると、ある知識や指示を「分配」するのではなく、別々の情報や知識を「集めて整理」することです。ところが、ただ単に集めただけでは「おもちゃ箱状態」になって利用できないので、一定の目的や基準で整理する必要があります。

この集電盤機能は、意外と難しい作業です。配電盤機能なら、受けたものをそのまま伝えるか、指示をかみ砕いて伝えればすみます。しかし集電盤機能は、ある目的のために、雑多な情報から必要なものを選び出し、分類を設定してそれら情報を整理し、それを上司や関係者に説明しなければなりません。
目的がはっきりしている場合、例えば上司から指示があった場合は、比較的簡単です。とはいえ、どのような分類にするのか、何を取り何を捨てるのか。難しい場合があります。東日本大震災では、全国に避難した避難者を(地域と施設別に)把握する際に、これに該当しました。

他方で、目的がはっきりしていない場合はもっと難しいです。例えば新たな課題と思われる事象が頻発していて、それを認知し対策を考える場合です。社会的問題で言えば、引きこもり、孤独死、子どもの貧困、虐待、家庭内暴力などが、それに当てはまったでしょう。それら問題の定義も範囲もはっきりしません。というか、それを決めるために事象を拾い上げ、分類するのです。初めから範囲と分類が決まっているのではなく、作業の過程で定まっていくのでしょう。
組織の幹部や管理職は、日々、このような状態に置かれています。人工知能には、できない作業だと思います。

地方から東京へ女性の転出

2025年7月24日   岡本全勝

7月8日の読売新聞「参院選2025 地方と女性」「進学・就職で東京へ転出」から。

・・・「地元で夢は実現できなそう」 男女数不均衡 地域経済存立の危機
地方から都市へと、女性の転出が続いている。地方にはやりたい仕事が少ない、賃金に男女格差がある、女性だからと昔ながらの役割を求められるなど、様々な理由が指摘されている。20日に投開票が行われる参院選では、地方の課題や女性活躍も論戦のテーマになる。男女とも希望通りの生き方ができ、活力のある地方を作るにはどうすればいいのか、ふるさとを後にした女性の声などから考える・・・

・・・総務省の人口移動報告によると、2024年に東京に転入した女性は約21万6800人で、転出者より約4万2200人多い転入超過状態だ。男性の転入超過の約3万7100人よりも多くなっている。
内閣府の報告書「地域の経済2023」によると、15年以降、15~29歳を見ると、東京圏への女性の転入超過数は男性を上回り続けている。特に東北や北関東、甲信越からの女性の転入が多い。
その結果、男女数が不均衡の県が目立つように。20~34歳の未婚者の男女の人口比(女性1に対する男性の数)が全国最大なのは福島県の1・35。2位が茨城県で1・33、3位が富山県と栃木県で各1・32という結果になった。

報告書は「性別による人口の不均衡は、中長期的に地域の少子化・人口減少につながり、地域経済の存立を危ぶませる」と警鐘を鳴らしている。
なぜ女性は地方から東京に流出するのだろうか。公益財団法人「東北活性化研究センター」(仙台市)は20年、18~29歳の女性にアンケートを行った。東北6県と新潟出身で、進学を機に東京圏に移り住み、現在も東京圏に居住している760人のうち、「進学の際に地元に戻る気はなかった」と答えた女性は55%にのぼる。

一方で、「特に考えていなかった」(27%)、「地元に戻るつもりだった」(18%)という女性も少なくない。同センターの橋本有子さんは、「地方に多様な業種や職種がなく、『自分の夢ややりたいことが実現できなそう』と考えている女性は多い。DX(デジタルトランスフォーメーション)やリモートワークなどを推進することで、地元の企業に就職しようという気持ちがある女性に戻ってきてもらうことが大切だ」と話している・・・
参考「読売新聞「あすへの考」に載りました

イエメン国研修

2025年7月23日   岡本全勝

今日7月23日は、国際協力機構の「イエメン国研修 復興計画策定能力向上」の講師に、横浜まで行ってきました。
近年、毎年呼んでもらっています。国際協力機構の同種の支援(発展途上国の能力向上、特に戦後復興)はいくつかあり、その一つです。
イエメンは、内戦が続いていて、膠着状態のようです。これが収まらないと、戦後復興は本格的には開始できません。

写真と図を使った説明は、よく理解してもらえたようです。アラビア語への通訳は、まったく理解できません。その前に、私の資料がアラビア語に訳されているのですが、数字以外は理解できず。
たくさん質問が出て、持ち越しになったものも。

こども食堂、高齢者や外国人の居場所

2025年7月23日   岡本全勝

このページでも何度か取り上げている「こども食堂」が、広がっています。「むすびえ」によると、1万か所を超え、公立中学校数を超えました。子どもだけでなく、高齢者の居場所にもなっています。さらに、外国人もつながる場になるようです。子どもの貧困対策ではなく、居場所作りなのですね。

7月16日に、岡山市で開かれた「こどもの居場所づくりトップセミナー」での湯浅誠さんの発言を、時事通信社のiJAMPが伝えていました。
・・・湯浅誠さんが「こども食堂は地域のいろいろな方たちの居場所だ」と述べ、子どもだけでなく、高齢者や外国人を含め多様な人々がつながる場をつくることの重要性を訴えた。
湯浅氏はこども食堂を「子どもを中心とした地域のまぜこぜの居場所」と表現。「食べられない子が行くところというイメージがついてまわるが、地域の方々が所得や属性にかかわらず集まる場所がほとんどで、約3分の2で高齢者が参加している」と説明した。
外国人もこども食堂を利用している。湯浅氏は「(外国人)研修生などは職場と自宅の往復だけで暮らしていて、地域とつながりを持てないことが多い」と指摘した上で、こども食堂での触れ合いが「話したこともない外国人」に対する地域住民の不安を解消する効果を生んでいるとの見方を示した・・・
こちらのページもどうぞ。

毎日新聞企業人大学に登壇

2025年7月22日   岡本全勝

今日7月22日は、千葉市で開かれた毎日新聞企業人大学に登壇しました。
主題は「どうする?悩める中間管理職~学長になった『官邸の怪人』に聞く」です。竹内良和・毎日新聞千葉支局長との対談の形です。

主題は、この講座の参加者の関心を考え、竹内支局長が考えました。
業種や会社は異なっても、職場での悩み、幹部や管理職の悩みはほぼ共通しています。本人にとっては「初めて経験する大変な事態」でも、世間ではありふれた事象の場合が多いのです。そして、仕事で悩んでいるのではなく、人間関係に悩んでいます。私の経験を元に、話しました。若くして管理職になり、管理職としての失敗は、たくさんやってきましたから。事例は豊富です。
皆さん、熱心に聞いてくださいました。

現在の管理職の悩みは、「罰ゲーム」と呼ばれる実態、仕事ができない職員や職場に出てくることができない職員の扱いなどのようです。簡単な答えがない課題ですが、私が考えている方向性をお話ししました。
かつて変わらないと考えられていた、男女共同参画や転職などが進みました。同じように、職場のこれらの問題も、順次解決に向かうと思います。そうしないと、社員や職員が転職していきますから。