月別アーカイブ:2025年9月

他省庁の昔の仲間たちと

2025年9月25日   岡本全勝

春に頂いた勲章のお祝い会が、まだ続いています。復興庁初期に勤務した職員たちの会は、6月と7月に開いてくれたのですが。夜の会合が続くのを避けたことや、「急がないし、夏は暑いから秋にしよう」といった理由で、今頃やっています。
かつての職場の同僚や後輩と定期的に集まる会合もあり、それらの会でもこの理由を「上乗せ」してもらっています。ありがたいことです。

23日と24日は、A省とB省の職員たちとの会合でした。多くの人は、元幹部になっています。復興庁時代に一緒に苦労したことを、みんなで思い出しました。それぞれに大変だったのですが、まあまあうまくいったので、このように集まることができます。
復興庁という特殊な課題への対応、これまでにない仕事、各省からの混成部隊でなければ、このような仲間はできなかったでしょう。

大都市、自治体間の自発的連携を

2025年9月25日   岡本全勝

9月22日の日経新聞経済教室は、砂原庸介・神戸大学教授の「大都市制度の論点、自治体間の自発的連携を促せ」でした。これまでにない発想だと思います。ついている図を見ると、日本の3大都市圏は、世界で比べると大きい方ですが、突出しているわけではありません。図では都市名は明示されていませんが、ニューヨーク、パリ、ローマ、ミラノ、ロンドンなどと同じか小さいのでしょう。

・・・地方自治体が行う公共サービスは、基本的にその自治体に住む人々を対象に、その自治体の有する資源を利用して提供されるものだと考えられる。それでは、ある自治体の外からやってきて、その自治体が提供する公共サービスを利用する人々の負担をどのように考えたら良いだろうか。人々が社会経済活動のために移動する範囲である「都市圏」と、地域住民として公共サービスの費用を負担する範囲である「自治体」にズレが生じるとき、この問題への対処が求められる・・・
・・・問題を解決する方法は2つある。1つは制度を変えて、都市圏の大きさに見合った自治体を作ることだ。合併を通じて自治体と都市圏の範囲が重なるようにすれば、より多くの人々に負担を求めることができる。近代化の過程で都市圏が大きくなっていく中で、まず採用されやすい解決策が、中心都市による周辺自治体の合併だった。
また、これまでの自治体を維持しながら、新しいレベルの政府を作ることもある。例えば1980年代にフランスやイタリアでは新しいレベルの州政府が作られ、広域の公共サービス提供を担当している。

しかし最近は先進国ではこれらの方法はあまり使われず、その代わりに自治体間の連携が強調される。合併や、新しいレベルの政府を作る際の政治的なコストが高すぎるからである・・・
・・・特に、必要なサービスを全て自前でそろえることが困難な自治体にとっては、連携は重要な選択肢となっている。
多くの国では、都市圏の単位で公共交通をはじめとした生活インフラ整備のための調整が行われている。同時に、公共サービスはその性質によって、個々の自治体単位や小規模の自治体間連携で提供されている。
それに対して日本の重要な特徴は、自治体間の連携が低調なことである。例えば経済協力開発機構(OECD)からは、加盟国の中で唯一、都市圏での公共交通の調整機構がないことが指摘されている。
日本で連携が低調なのは、都市圏と自治体の領域のズレを自治体合併で解消する傾向があったためだ。しかし、現在の政令指定都市のような規模の自治体が生まれると、合併による解決策は困難になる・・・

・・・合併による解決の行き詰まりを背景に、日本で大都市制度の議論をするときは、現状の政令指定都市という規模感で議論されることが多い。しかし実は、政令指定都市は、国際的な都市間競争という文脈から見ると相当に小さい。
図はOECDが収集している加盟国の都市圏に関するデータから、面積と、都市圏を構成する自治体の数を対数軸でプロットしたものである。丸の大きさは人口規模を示している。
黒丸は日本の都市圏で、首都圏が人口3600万人、京阪神都市圏が1700万人、中京都市圏は860万人を擁する。含まれる自治体数は首都圏で189、京阪神で112、中京で82とされている。
三大都市圏は、日本の感覚から言えば1つの単位としては大きすぎると思われるかもしれない。確かに人口はOECD諸国の都市圏では大きい方だが、面積や構成自治体数がとくに際立っているわけではない。図の右上にある丸はいずれも面積が広くて構成自治体の数も多く、首都圏ほどでないにせよ人口も多い。

世界的な「都市間競争」では、このような規模感の都市圏が意識される。首都圏・京阪神は複数の政令指定都市を内包し、それらを個々の競争のための単位として考えるのは、グローバルな観点から見ると小さすぎる。大阪府を1つの都市圏としてみる大阪都構想は日本の感覚から見ると大きいが、世界的には必ずしも大きいとは言えない・・・
・・・大都市問題を考えるときに、政治的なコストがかかる目新しい制度改革に焦点が当てられることは多い。しかしそれだけではなく、なぜ日本で自治体間の連携が起きないかという、より根本的な問題に目を向けるべきだ。1つの自治体にとらわれない政党や公営事業の出現を促すような、基幹的な制度改革を検討する時期に来ている・・・

経済対策の多義性?

2025年9月24日   岡本全勝

自民党総裁選が告示され、候補者が政策を訴えています。特に目立つのが、「経済対策」です。
・・・自民党総裁選挙は、立候補した5人が記者会見に臨み、いずれも物価高に対応するため速やかな経済対策の策定が必要だという認識を示し、具体策をめぐって主張を展開しました・・・NHK「自民総裁選 5人が共同会見 いずれも“経済対策の策定が必要”

ところで、かつては経済対策と言えば、景気の落ち込みに対し需要を拡大して景気回復を目指す政策(景気変動対策)でした。ところが、今回話題になっているのは、景気は回復しつつあるのですが、物価が上昇しているのでその対策を打つということのようです。物価上昇が急激なときには、景気を冷やす対策(景気引き締め)が打たれました。しかし、今回はそうではありません。物価の上昇に比べ賃金の上昇が低いので、生活に苦しい貧困層に対して対策を打つことのようです。それは福祉政策であって、経済産業省の所管ではないと思われます。

これって、経済対策なのでしょうか。経済に働きかけるのが経済対策で、経済の結果に手当するのは経済対策とは言わないでしょう。経済学の教科書に出てくるのでしょうか。専門家の意見を聞きたいところです。
このホームページでは、先日、経済対策と産業政策の違いを提起しました。「経済対策と産業政策の違い」「経済対策と産業政策の違い2

日銀、上場投資信託を100年かけて売却

2025年9月24日   岡本全勝

日本銀行が、9月19日の金融政策会合で、買い入れた上場投資信託(ETF)を市場で売却することを決めました。「読売新聞
上場投資信託は、2010年から2024年まで、金融緩和策で購入し(市中に現金を増やす)、合計37兆円になっています。ところが、売却は年3300億円程度とのことです。植田和男総裁は決定会合後の記者会見で、売却の完了時期について、「単純計算で100年以上かかる」との認識を示したとあります。

これを聞いて、へえと思いました。購入した際に、売却に100年もかかると予測しながら、異常な買い入れを続けたのでしょうか。「異次元の政策」を取れば、いつかは正常に戻す必要があります。そしてその時のツケは、後世に回されます。

これについて、川北英隆先生は、次のように説明しておられます。
・・・昨日、日銀が日本株ETFの売却方針を発表した。一部にはサプライズだったらしくて、ネットで見ると読売新聞の見出しにも「サプライズ発表」とあり、同じ記事に某証券会社のチーフエコノミストの発言として「寝耳に水」との引用まである。「ほんまかいな」だ。
ポジショントーク抜きに客観的に言えば、9/12の「株価上昇のネコジャラシ」に書いたように、今の日本の株価ははしゃぎすぎであり、「どうかしてる」。日銀が本当に政治から中立的なら、酒井くにお・とおる的に「ここで売らんと、売るとこないよ」だろう。専門家として真面目に金融市場を分析していれば、1989年の日経平均の史上最高値をはるかに超えてきたし、「売っても問題なし」と判断できる。

日銀が日本株のETFを買い始めたのは、市場があまりにも悲観に陥っていたからである。その後は日銀がはしゃぎすぎ、9/18に図示したように今や市場全体の7.5%も保有するという異常さである。この異常さを残したまま日本の株価が史上最高値を更新と言われても、「ほんまの実力を見せい」と言いたくなる。
それはともかく、昨日示された日銀のETF売却金額は「小出し」だった。この小出しのペースが続ければ、完売するのに100年かかる計算になる。日経はこの「100年」を強調して書いていたが、日銀とて算数はできる。100年もかければ何代もの日銀総裁の頭を悩ますことになり、「誰がアホやったんや」と犯人探しになる・・・

酔生夢死2

2025年9月23日   岡本全勝

新・酔生夢死」の続きです。古典漢文に詳しい肝冷斎が、酔生夢死を取り上げてくれました。この言葉は、宋の時代、程明道・程伊川による「程氏語録」に出典があります。

雖高才明智、膠於見聞、酔生夢死、不自覚也。
(高才明智といえども、見聞に膠(こう)すれば、酔生夢死して自ら覚らざるなり。)
「きみ、高度な才識を有していても、見聞きした表面的なことに引っ張られているままなら、酔っぱらたり夢見たまま、なんにも気づかずに死んでいくということだぞ」

なので、自分はぼんやりせず、ちゃんと計画性を持って生きている、経営セミナーにもでてるしキャリアも積んでいるという人でも、表面的なことだけでは酔生夢死なんだそうです。なかなか奥深い戒めなのですね。

ところで、肝冷斎日誌、パソコンの調子が悪そうです。表紙が更新されていません。サボっているのかと思ったら、ちゃんと古典漢文解説観タマも記事は載っています。リンクが張れないようです。

(24日朝追記)
と書いたら、23日夜には、パソコンが復旧したようです。良かった良かった。