月別アーカイブ:2025年9月

市町村職員中央研修所学長を退任

2025年9月30日   岡本全勝

9月30日付けで、市町村職員中央研修所学長を退任しました。学長職は、ほぼ4年務めました。結構長いですね。あっという間でしたが。
就任した2021年10月は、まだ新型コロナウイルスに注意を払いながら研修を実施していました。年間約5千人の研修生を迎えると、病気や事故も起きます。来ていただく外部講師は、400人に上ります。講師が突然来られなくなることもあります。

年間約80本の宿泊研修(それぞれ期間は3日から2週間)を実施することは、大変な作業です。それとともに、次回に向けて主題や内容、講師の入れ替えを検討します。自治体の電子化、働き方改革、危機管理などなど。社会の変化と自治体の悩みに応じなければなりません。
当研修所は、1987年にできました。先輩たちのおかげで、高い評価を得ています。2003年から2009年にかけて、教室や宿泊施設を増築しました。

他方で、施設の管理(立派な校舎と宿泊施設です。全景航空写真の奥、壁のような高い建物が宿泊棟、右側が増築部分)、職員の人事管理と組織の運営もあります。職員たちのおかげで、大きな問題なく運営することができました。また、社会の変化に応じた改革にも、取り組んでくれました。
近年では、業務と研修での電子化です。また、超低金利政策ために基金の運用益がゼロに近くなり、財政運営も課題です。専門家の指導を受けて、株式(ETF)の運用も始めました。
これからも、職員たちが、期待に応える研修を実施してくれると期待しています。

経済低迷でも再開発が進む東京

2025年9月30日   岡本全勝

9月11日の朝日新聞オピニオン欄「東京のカタチ2025」、地理学者のラファエル・ランギヨン=オセルさんによる「再開発で維持する競争力」から。
労働者の中で正規雇用と非正規雇用の格差が進むとともに、地域間では東京とその他の地域の格差が広がったのです。

・・・私はフランス南西部の田園地帯の出身です。そのためか大都市にひかれるのですが、東京は魅力的で成熟したグローバル都市です。
都市研究の専門家として、丸の内、六本木、日本橋、渋谷などの再開発プロジェクトや昭和からの商店街の関係者に聞き取りを行い、東京の再開発について博士論文を執筆しました・・・
・・・バブル崩壊後、日本経済は低迷が続きましたが、東京はバブル崩壊前より競争力のある都市となっています。なぜ、何十年も経済が停滞しているのに、東京はめざましい再開発が進んでいるのでしょう。それには政治・経済の世界的、歴史的な流れが大きく影響していると思います。

バブル経済期には地価が上がり、都市圏が拡大しました。1991年にバブルが崩壊し、「失われた10年」が来ました。この時期が東京が大きく発展する準備期間でした。金融再編が起こり、地価が下がって土地の集約が進みました。さらに2002年の「都市再生特別措置法」といった立法措置によって、高層化を伴う都市再生が可能になりました。
1991年は日本でバブルが崩壊しただけでなく、ソ連が崩壊した年です。戦後、日本は冷戦構造の恩恵を受けて発展しました。しかし冷戦が終わり、前後して急激な円高のため輸出産業の競争力が失われます。
日本は資本の投下先を、生産部門から空間の整備、それも東京という都市の再開発へと大きく転換しました。いわば産業の空洞化を国レベルで進め、東京の再開発に集中的に投資することを選択したのです。

90年代から、東京はニューヨーク、ロンドンと並ぶグローバル都市とみなされてきました。今は同じアジアのソウルや台北、香港、シンガポールや中国の大都市とも競争しています。東京のどの再開発プロジェクトも、競争力を維持するために、細心の注意を払って計画されています。
東京は国際的な地位を保ってはいますが、日本全体としては問題もあると思っています。東京だけが発展し、ほかの都市や地方とのバランスを欠いていることです。バブル崩壊後の政策が背景にありますが、この偏りを是正することは、人口減少や少子化とも関わる大きな課題でしょう・・・

まだまだ元気な蚊2

2025年9月29日   岡本全勝

まだまだ元気な蚊」の続きです。
宅急便の配達員に、「まだまだ暑いですね」と声をかけたら、「ええ、少し涼しくなりました。それで、昼から蚊に刺されるようになりました」とのこと。

猛暑だと蚊も活動しないので、これまで30度を超える昼間は刺されなかったのです。昼の気温が下がり、といっても25度を超えていて、蚊の活動時間帯になったようです。

夕方、玄関で郵便受けから郵便物を出していたら、その間に3カ所刺されました。2匹は叩きましたが、首筋は気がつかず・・・。玄関で待ち受けているようです。

大学への公的支出、国際平均の半分

2025年9月29日   岡本全勝

9月10日の朝日新聞に「大学への公的支出、国際平均の半分 OECDが報告書 「社会格差生む」指摘も」が載っていました。
日本の教育への公的支出が少ないことは、以前から指摘されています。「日本は教育に熱心だ」という通説は変更しなければなりません。「日本では親は教育に熱心だけれど、政府は熱心ではない」とです。政府・与党、文科省、財務省はどう考えているのでしょうか。
緊縮財政を続けた結果です。バラマキと批判される給付金配布には熱心なようですが。「米百俵」を思い出します。予算の問題とともに、その根底にある「社会の意識」「国民の精神」の問題です。

・・・経済協力開発機構(OECD)は9日、大学など高等教育への公財政支出額(在学者1人あたり)が、日本はOECD加盟国の平均の54%にとどまるとする報告書を公表した。小学校~高校は平均より多い。大学に対する、国などの公的支出の少なさが目立つ。
また、高等教育の女性教員の割合は31%にとどまり、比べられる国の中で最低だった。

報告書によると、高等教育の在学者1人あたりの公財政支出(研究開発を含む)は、日本は8184ドル。OECD平均は1万5102ドルだった。最高はルクセンブルクの5万4384ドル、最低はメキシコの4430ドル。比べられる37カ国の中で、日本は10番目に低かった。
一方、高等教育を卒業した人の割合(25~34歳)は66%で、OECD平均(48%)より多い。少ない公的支出にもかかわらず、大学などを卒業する人が多い形だ。
日本は、幼稚園など就学前教育の公的財源の割合も低く、OECD平均(85・6%)を下回る78・2%だった。教育への投資額全体をGDP比でみても、日本は3・9%で、OECD平均(4・7%)より低かった・・・

追悼、伊藤隆敏先生

2025年9月28日   岡本全勝

伊藤隆敏先生がお亡くなりになりました。私が内閣府経済財政部門の審議官時代(2006年~2008年)に、経済財政諮問会議委員として、ご指導をいただきました。

私は地方財政が専門で、日本や世界の経済は門外漢でした。
当時は、規制緩和が一つの主題でした。空港を民間委託や民営化する際の問題点を、議論したことがありました。委託先が外国資本の会社では安全保障上の問題点があるとの指摘に対し、それは会社の属性ではなく、空港運営の規制で担保すべきだとの結論になりました。なるほどと思いました。世界一流の先生に講義を受ける、しかも少人数でのやりとりができるのは、ありがたい経験でした。
ご冥福をお祈りいたします。

経済財政諮問会議委員は、ほかに、御手洗冨士夫・経団連会長(キヤノン会長)、丹羽宇一郎・伊藤忠会長、八代尚宏教授でした。
もう一人の東大経済学部の伊藤先生、伊藤元重先生には復興庁で、復興推進委員会委員長を引き受けていただきました。
いろんな仕事に就いたので、さまざまな方と知り合い、教えをいただいたことは、貴重な財産です。