大好評、福島の桃

7月31日の朝日新聞夕刊に「あかつき、フィーバー 直売所に行列、数百箱50分で完売 福島のモモ」が載っていました。

・・・モモをめぐり、一大産地の福島が毎週末、大変な事態になっている。直売所に開店前から長い行列ができるのが、当たり前の光景になった。予想を超える「モモフィーバー」に、JA関係者も「こんな人気は初めて」と驚く。早朝の直売所を訪れてみると……。
日曜の27日午前7時半。福島市郊外にあるJAの農産物直売所「ここら矢野目店」には、すでに260人の行列ができていた。駐車場は満車で、とまっていた100台のうち、29台は県外ナンバーだった。
目当ては「あかつき」だ。硬さが特徴で、糖度が高く、福島県のモモ生産量の約半分を占める主力品種。贈答品としても人気だ。ただ、収穫時期が7月下旬から8月中旬の2週間ほどと、旬は短い。
行列の3番目に並んでいた男性(65)は栃木から来たという。先週も福島に来て2店を回ったが「あと一歩で買えなかった」。今回は「一番乗りして必ず手に入れる」と午前6時半に訪れたが、すでに2組がいた・・・

・・・店は午前9時に開いた。1箱12~13個入りで、値段は1600円前後。用意された数百箱分は50分で完売した。最後の1箱を手にした、埼玉県志木市の女性(66)は「モモは柔らかいものだと思っていたが、去年初めて硬いモモのあかつきを食べ、はまってしまった。買えてラッキーでした」
開店前に並んだ500人近くは、全員が買うことができた。店のスタッフによると、あかつきが販売されるこの時期、年々人出は増えているが、ここまでの行列になったことはなかった。並んでいた福島市の女性は「地元にいながら、あかつきを買うのがこんなに大変になるとは」と嘆く。
店のスタッフは「なぜ急に人気になったのかは、私たちもわからない」と話す。県外客が一気に増え、知名度が上がったのはうれしいが、「これ以上増えると、どう対応したらいいのか」・・・

福島の桃は、おいしいのです。でも、他の産地より出荷が遅いので、隠れています。
私は福島復興に従事してから、そのおいしさを知って、果樹園から直送してもらっています。

移民政策の矛盾

7月23日の日経新聞一面「検証・日本の針路(2)」は、斉藤徹弥・編集委員の「外国人共生へ建前を排せ 移民政策の矛盾が露呈」でした。

・・・参院選での参政党の台頭は、在留外国人やインバウンド(訪日外国人)の増加に国民がうすうす感じている不満を顕在化させた。政府が建前では「移民は受け入れない」としつつ、現実には外国人の受け入れを増やしてきた矛盾が露呈したといえよう。
人口減少が進む日本では、外国人の力を借りなければ人手不足で社会機能を維持することもままならない。排外主義の芽を摘み、民主主義を守ってゆくためにも、建前を排して外国人の社会統合を真剣に考えるべき時期を迎えている。
参院選の終盤、政府は急きょ「外国人との秩序ある共生社会推進室」を内閣官房に設置した。その慌てぶりは、政府がこれまで外国人政策を自治体任せにし、本気で取り組んでこなかったと認めたに等しい・・・

・・・より重要なのは社会になじんでもらうための共生の充実だ。政府にも共生社会に向け中長期的な課題を挙げたロードマップはある。だが定住を前提とした移民と認めず、あくまで一時的な滞在者との位置づけでは共生にも力が入らない。
ドイツは第2次大戦後から多くの外国人労働者を受け入れてきたが、移民と認めたのは2000年代に入ってからだった。そこから社会になじんでもらう統合プログラムを始めた。
外国人がコミュニティーを形成するのは自然の流れだが、それが閉鎖的になるのが問題だ。英国は外とのつながりをどの程度保っているかを統合の指標として見える化し、社会の分断を防ごうとしている。
こうした取り組みにもかかわらず、欧州では難民危機などもあって排外主義的な勢力の台頭が著しい。日本の在留外国人は総人口の3%だが、増加ペースは年々高まり、参院選で現れたような反発もくすぶる・・・

・・・社会統合を考える際は、既存の制度をより透明でわかりやすいものにしていく視点も要る。外国人に選ばれる国になるうえで重要であり、それは日本人にとってもよいことだ。
外国人政策は対外政策の意味もある。学生支援では自国民を優遇する国も多いが、日本は平等主義が一般的だ。留学生の受け入れは各国の指導層に知日派を育てるソフトパワー戦略であると考えたい・・・