学校現場、昭和のまま

8月3日の朝日新聞に「子育て教員のリアル4」「管理職 代替見つからず現場頼み「昭和のよう」」が載っていました。
現場での変化・人不足を、個人の頑張りに頼って乗り越えようとするのは、旧軍隊や昭和の職場の特徴でした。そこにあるのは、現場任せ、現場の問題に気づかない、知らないふりを決め込む、管理者と中央機関の怠慢です。この現場任せ・精神力頼みは、一定の成果を上げますが、一時しのぎはできても、限界があり、永続はしません。

・・・子育てとの両立に悩む教員がいる一方で、校長ら管理職や教育委員会の職員も悩んでいる。
「内心は困る」。東京都内の公立中学校長の男性(53)は、教員の育児休業などで欠員が生じる事態をこう話す。
区の教育委員会に勤務していた2年前、ある小学校で、同じ時期に5人の教員が育休の取得を希望した。男性は、代理の講師を探したが、5人分を埋めることはできなかった。結局、時期がかぶらないよう順番に育休を取ることになった。男性は「余っている先生なんていない。誰かが欠けると回らない状況だ」。
校長となった今は、他校の代替の教員らの情報を仕入れ、任期が切れる前に水面下で声をかける。今年も冬ごろに産休に入る教員がいるため、代理の教員を探しているが、すでに1人には断られた。
男性は「人材を増やして『誰が抜けても大丈夫』という状況にしないといけない」と話す。ただ、教員を目指す学生は多くないし、学校に求められる仕事は減らない。学校内で欠員が出れば、ほかの教員で補うのが現状だ。「教員の熱量に頼った仕組みで、学校だけまだ昭和にいるようだ」・・・

・・・状況を変えようと働き方改革に取り組んできた人もいる。東京都内の小学校で校長を11年務め、今は再任用の教員として練馬区の小学校で働く吉川文章さん(63)だ。
20年以上教員として働いてきた。「(学校に)残ってなんぼの世界だった」。働き方を変えようと思ったのは、校長になってから。2018年ごろ、労働時間の長さから教員の「ブラックぶり」が話題となる一方で、仕事と私生活の両立を進める管理職であることを誓う「イクボス宣言」が自治体や企業などで出されていたのが、目にとまった。練馬区立北町西小の校長だった19年、「イクボス宣言」を出した。
宣言の内容はこうだ。「育児をしながら仕事をする職員を応援します」「病気でなければ休暇が取りにくい雰囲気を変えるよう努力します」「仕事を効率的に終わらせ早く帰る部下を評価します」
まず、自身が率先して早く帰るようにした。職員室全体に「早く帰ってもいい」という空気が生まれた・・・