榎村寛之著『女たちの平安後期―紫式部から源平までの200年』(2024年、中公新書)を読みました。
宣伝には、次のように書いてあります。
・・・平安後期、天皇を超える絶対権力者として上皇が院政をしき、それを支える中級貴族や源氏・平家などの軍事貴族、乳母が権力を持つようになる。そのなかで巨大な権力を得た女院たちが登場、莫大な財産は源平合戦のきっかけを作り、武士の世へと移って行く。紫式部が『源氏物語』で予言し、中宮彰子が行き着いた女院権力とは? 「女人入眼の日本国(政治の決定権は女にある)」とまで言われた平安後期の実像がいま明かされる・・・
平安時代は、約400年も続きました。その後半、私たちの知識は藤原道長から源平合戦まで飛んでしまいます。この本が取り上げた、宮中での女性の地位や活躍も、知りませんでした。長講堂領については、かつて知って、そのように皇室財産が相続されたのかと驚きました。
摂関家に対抗するべく、天皇が上皇になって、幼い天皇を補佐する形で政治権力を握ります。ところが、上皇がいなくなったりすると、幼い天皇の母や養母が天皇家の「家長」として差配を振るいます。なるほど。
200年の間の話なので、たくさんの女性が出てきます。天皇も貴族も。その多さに、読んでいる途中で、こんがらがります(苦笑)。それに対して、小説は良いですね、登場人物が限られていて。
ただし、この本が分析しているのは、宮中での権力争いです。彼女たちが、ふだんどのような生活を送っていたかは、わかりません。また、庶民の女性がどのような暮らしをしていたかも、わかりません。