6月13日の日経新聞オピニオン欄、「過酷な解雇通告 突然のメールや電話が今や6割」に、欧米の解雇の実態が書かれていました。
・・・ある朝、目が覚めて、仕事でフランスに電話をかける前にベッドに寝そべりながら前夜のメールを確認していて、自社の最高経営責任者(CEO)からメッセージが届いていることに気づいた自分を想像してみてほしい。
そのメッセージには、多くの従業員が解雇されると記されていた。次のメールはもっと衝撃的だった。自分もその一人だと書かれていたのだ。
ベッドから起き上がり、心臓の鼓動が速くなる中、パソコンに飛びつき、会社のネットワークにログインしようとする。しかし、もはや自分のパスワードでは拒否されてしまう。フランスに電話する時間になったが、相手の名前や電話番号を思い出せない。それらはすべて、アクセスできなくなったメールに書かれていた。
幸いにも懇意にしているマネジャーの電話番号が自分の携帯電話に登録してあったので、テキストメッセージを送ってみた。だが返ってきたメッセージは、彼も解雇されたというものだった。彼はオフィスに入ろうとしたところ、IDカードが反応しなかったという。
やがてベッドから起き上がり、今後歩むことになるみじめな数週間について考えざるを得なくなる。
ビベェク・グラティさんにとって、こうした出来事は想像する必要がない。なぜなら、それはまさに彼自身にほぼ実際に起きたことだからだ。彼は、米テック各社が相次いで人員削減に踏み切った2023年初めにグーグルから解雇された1万2000人の従業員の一人だった。
47歳のソフトウエアエンジニアであるグラティさんは23年3月、ハーバード・ビジネス・レビューに、メールで解雇を告げられてショックを受けた体験談を記した。
米国ではこのほど、4月の人員削減数が20万人近く急増したとの新たなデータが発表された(編集注、人員削減数は3月は約160万人だったが、4月約180万人に増えた)・・・
・・・同調査では過去2年間に解雇された米国の労働者のうち、メールや電話で解雇通告を受けた人は57%に達した。それに対し、対面で解雇を告げられたのはわずか30%だった。
残りはビデオを通じた面談や職場の噂でそれを知ったという。なお、会社のメールやスラックなどのコミュニケーションツールにログインできなくなったことで解雇されたことを知ったという不幸な体験をした人も2%いた・・・