関西大学経済学部で講義3

6月2日の「関西大学経済学部で講義2」の続きです。出席した学生が提出した感想文が送られてきました。

私の言いたいことを、理解してくれたようです。大震災は、彼ら彼女らが小学校か幼稚園だったのですね。
津波の被害や政府の対応のほか、官共業三元論に興味を持ってもらえたようです。新聞を読むことの重要性も、理解してもらえました。
このような反応があると、やりがいがあります。ありがとうございます。

プリンは5割高

6月17日の日経新聞夕刊に「プリン5割高、洋菓子で突出 卵と牛乳のコスト高直撃」が載っていました。
・・・菓子類の中でプリンの値上がりが目立つ。主成分の卵と牛乳で生産者の経営環境が厳しくなっており、メーカーはコストを吸収する一環で価格改定に踏み切っている。商品力の向上やインバウンド需要の取り込みを通じ、消費者をつなぎ留めながら適正に値付けする工夫を凝らしている。

総務省の消費者物価指数(CPI)によるとプリンの2024年の物価は20年に比べ45.5%あがった。菓子類全体は22.8%増、同じ洋菓子のシュークリームは25.8%増で、プリンの上昇幅が特に大きい。
足元の価格水準に達したのは23年だ。新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵略の影響で材料調達やエネルギーの費用がかさんだところに鳥インフルエンザが流行した。プリンの主成分となる卵の価格が高騰し、日本養鶏協会によると年平均は1989年以来最も高かった…

ある洋菓子会社の調べ(16~64歳の男女約1000人)では、スーパーやコンビニでよく買う洋生菓子を複数回答で聞いたところ、プリンは44%で18年連続第2位。第1位はシュークリームで71%です。
1商品当たりの甘味の平均購入額は241円だそうです。

連載「公共を創る」第226回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第226回「政府の役割の再定義ー政治家と官僚の関係」が、発行されました。
第199回から、政治主導がうまくいっていないことを分析しています。その1は「政治家と官僚の役割分担がうまくいっていないこと」(第204~207回)、その2は「政治家が政治主導を使い切れていないこと」(第207回~前号)です。今回からその3として、「政治家と官僚の関係」がうまくいっているのかどうか、どうすればいいのかを考えてみます。目次も新しくしました。「目次9

ことさらに「政治家と官僚の関係」を取り上げるのは、二つの問題を見聞してきたからです。
一つは、大臣が官僚を使う際に、意思疎通がうまくできていないような例があることです。その結果、仕事が進まない、お互いに心理的負担が生じるといったことにつながっています。このような事象は、かつてもありました。
もう一つは、近年の気になる問題です。政治主導を目指した内閣において、特に官僚との関係に問題が生じたように見えることです。官僚を排除した民主党政権(2009~2012年)と、官邸主導を強力に進めた第2次安倍晋三政権以降(2012年~)での事案です。

会社にしろ役所にしろ、組織としての成果を挙げることと、社員と職員が気持ちよく働いて成果を出すことが重要です。このためには、上司と部下が十分な意思疎通をすることが必要であり、各幹部は常にそれを考えているはずです。ところが、国家を動かすために組織の力を最も振るわなければならないはずの内閣や各省において、それがうまくいっていないことがあるのです。首相や閣僚は選挙で選ばれた職業政治家です。試験を受けて採用され経験を積んできた職業公務員である官僚とは、違った経歴を持ちます。それが故に、二者の関係を良好に保つには、努力が必要なのです。

私は、「明るい公務員講座 管理職のオキテ」を出版し、部下を使って良い成果を出すコツを公開しました残念ながら、それに反したことがこういった組織でも行われてしまっているのではないかと心配です。
うまくいっていない事例として、民主党政権での官僚排除、現場を混乱させる首相指示、安倍首相の官僚不信などの実例を挙げました。

ネクタイはなくなるか

6月15日の読売新聞に、松原知基・経済部次長の「受難のネクタイ 外す夏に思う事」が載っていました。私にとってネクタイは、気合いを入れる「小道具」です。

・・・91年には国内生産・輸入量の合計が約5645万本と過去最高を記録した。
変調を来したのはその後だ。IT企業を中心に軽装の会社員が増える。痛撃となったのがちょうど20年前、小泉純一郎内閣の旗振りで始まった「クールビズ」である。夏に社会を挙げてネクタイを外すようになった。
2024年の1世帯あたりの購入額は20年前の3割弱にまで急減した。東京ネクタイ協同組合によると、22年の国内生産・輸入量の合計も約1107万本と4分の1になった。05年に45社程度だった組合加盟社は半減したという。
この間、各社はそれまでにないカジュアルなデザインを施したり、ワンタッチの着脱式ネクタイを開発したりと工夫を凝らした。だが、冷房の温度を下げすぎないことによって電力消費を抑え、温室効果ガスの排出量を減らすという環境保護キャンペーンにあらがうことは難しかった。

きょう15日は6月第3日曜、すなわち「父の日」。かつてお父さんに贈るプレゼントの定番の一つがネクタイだった。総務省の家計調査によると、20年以上前、1年のうち1世帯あたりの購入本数が最も多いのは6月だった。
だがクールビズが始まると、新年度を控えた3月の方が多くなった。6月にネクタイを締めるお父さんが減った影響だろう。もとは妻や恋人が無事を祈る気持ちを込めた布が、父の日に贈られることが少なくなったとは、ちょっと寂しい。
和田さんはネクタイの意義をこう語る。「ネクタイは『着ける』ではなく、『締める』と言いますよね。ハチマキを締める、ふんどしを締めると言うのと同じ。気持ちを引き締めたり、気合を入れたりするものなんです」・・・

講義「復興とまちづくり」

今日6月26日は、市町村アカデミーで「復興とまちづくり」を講義しました。これは「人口減少時代の都市計画」の一コマです。
ほかの先生とは少々変わっているのですが、東日本大震災の経験を元に話しました。人口減少下での本格的な町の復旧としては、初めてのことでした。公共インフラと住宅を復旧しただけでは、町のにぎわいは戻りませんでした。そして、元に戻すと無駄が生じました。
私の経験は大災害からの復興ですが、各地では緩慢な減少と消滅が起きています。その参考になると思います。

私はこの仕事に携わった当初、「白地に絵を描くので、自由に町をつくることができる」「関係者が腕を振るえる、めったにない機会だ」と思いました。かつて人口が増加した時代に、大都市周辺に「ニュータウン」をつくったことを思い浮かべたのです。しかし実際は、全く違いました。
1 制約条件が厳しいのです。平野は少なく、また町役場にも絵を描ける人材はいません。
2 かつてのニュータウンは「ベッドタウン」で、住まいをつくったのです。町をつくったのではありません。勤め先も買い物も、鉄道に乗って出かけていけば良かったのです。
3 小さな集落を個別に復旧することは、くらし勝手も良くなく(商店、学校、病院がない)、近い将来に消滅することが見込まれます。それなら、集約したほうが、良かったと反省しています。
朝日新聞オピニオン欄「人口減時代の防災・復興」に載りました」「ヤフーニュースでの発言「能登地震の復興は東日本に学べ」」「復興事業の教訓、集落の集約」「復興事業の教訓、人口の減少