アテンション・エコノミー

3月28日の朝日新聞オピニオン欄は「奪い合うアテンション」でした。
・・・インターネットの普及で、人々の関心や注目が経済的な価値を持つ「アテンション・エコノミー」はますます社会に浸透している。何が起きているのか。乗り越える方策はあるのか・・・

馬籠太郎・電通デジタルマネージャーの発言から。
・・・アテンション・エコノミーは、広告業界においてはもともと商売の要です。看板や新聞の広告、テレビCMといった従来型の広告でも、アテンションを引くということが商売のもとになっていると言えます。

ただ、デジタル広告が従来型の広告と違うところは、人々の反応のデータが取れることです。どれくらいの人がクリックしたかとか、動画であればどれくらい表示されていたかとか、ユーザーの属性ごとに細かくリアルタイムで分かります。従来型の広告だと、掲載してから反応が見られるまで割と長かったのですが、デジタル広告はフィードバックがすごく速くなってきたと言えます。
スマートフォンの普及も大きいでしょう。今までであれば、テレビを消したりラジオを消したり、雑誌を閉じたりすれば、アテンションはおしまいです。でもスマートフォンは手もとにあるので、いつでもコミュニケーションが取れる状態です。アテンションを強く引くものが出てきた場合、ずっとそれに縛りつけられた状態になってしまいかねません。

人間の時間は有限ですが、情報空間にある情報は膨大に増え続けています。だから、アテンションがより価値を持ってくるのだと思います。ユーザー側の貴重な時間をいかに割いてもらうかがポイントですし、そのための手法がいろいろと考えられています。
良いアテンションと悪いアテンションというのがあるとすれば、扇動的になったり、過度に刺激的になったりするのは、悪いアテンションでしょう。ネガティブな感情に働くものは割とアテンションを引きやすいと思いますが、アテンションを引ければ何でもいい、というような話は危険だと思います。偽・誤情報が広がってしまう恐れがありますし、そうなると情報空間自体の信頼性がどんどん下がってしまいます・・・