フィンランド、危機に備える「幸せの国」

2月12日の日経新聞夕刊、「危機に備える「幸せの国」 ロシアの隣、愛憎相半ば」から。
・・・近く3年となるロシアのウクライナ侵略は隣国の安全保障観にも変化を生んできた。ロシアと隣り合うフィンランドでは危機に備える意識が高まり、国境沿いで不法移民を防ぐフェンスの建設が進む。身近な脅威と向き合う「幸福度世界一」の国民は何を思うのか。現地で探った・・・

・・・とはいえ現実に迫る脅威は国民の自衛意識を高めている。24年12月末にエストニアとの間で起きた海底ケーブル破損のように、非軍事手段を組み合わせたロシアの「ハイブリッド攻撃」と疑われる事案も相次ぐ。
ケーブル破損に関与した疑いで捜査中のタンカーが停泊する南部ポルボー。地元のニック・ウェンストロムさん(34)はロシアによる侵攻の可能性を念頭に「覚悟はできている」と国を守る決意を語る。

忍び寄る危機と裏腹に、国連の世界幸福度ランキングで7年続けて首位に立つフィンランド。ウェンストロムさんに理由を聞くとこんな答えが返ってきた。
「フィンランド人は他人を気にせず人生を好きに生きるからではないか。でも……」。一呼吸置いて続けた。「誰かがいじめを始めたら団結して助け合うメンタリティーを持っている」

こうした精神性は過去に侵略を受けながらも独立を貫いた歴史に根ざす。第1次世界大戦中のロシア革命を契機に独立を果たしたフィンランドは、第2次世界大戦中のソ連との交戦に耐えて併合や衛星国の道を逃れた。
22年2月のウクライナ侵略を機に国防意識はさらに高まった。北大西洋条約機構(NATO)加盟の是非を問う民間の世論調査では同年に賛成が7割を超え、侵略前の2割台から急上昇。軍事的中立を転換し23年4月に加盟した。
内務省で救助業務を担うミッコ・ヒルトゥネン氏は「第2次大戦以来、多くの人は常に戦争の可能性があると考えている」と説く。同省は24年11月に「危機への備えガイド」を公表し、水や食料の備蓄などを国民に周知した。

「将来が不透明な中で危機に備えるのは保険のようなもので安心感がある」。1月中旬、ヘルシンキで4歳の息子と避難シェルター機能をもつ地下スポーツ施設へ来たアンナ・インゲットさん(36)は自国の備えを評価する。
記者はこの一言で台湾有事に巻き込まれるリスクのある日本最西端の沖縄県・与那国島の住民の言葉を思い出した。22年8月に中国軍が演習で近隣海域へミサイルを撃った際、取材した島民は「いざ戦争になったら逃げ場がなく不安に思う」と口にした。
安心と不安――。その差は準備の違いが生む。
フィンランドでは1200平方メートル以上の建物にシェルターの設置を義務付け、全国5万カ所超に人口の9割近い480万人を収容できる。普段は民間業者がジムや駐車場などとして運営し、有事にはベッドやトイレを設置して72時間以内に避難所にする・・・

匿名投稿の危なさ

匿名の発信が、あふれています。すべてとは言いませんが、無責任、読むにたえないものも多いです。私はソーシャルメディア(SNS)を使いません。
アマゾンで本を買うときに「評価」の欄を見ることがあります。低い評価(星が一つとか)は気になるので、見てしまいます。正当な意見ではなく、感情にまかせたような罵詈雑言もあります。「実名ならこんなことは書かないよな」と思います。

私のホームページは、このように実名です。発言には責任を持たなければならないと考えているからです。
それに対し、「みんなが、あなたのように強くはないのです」と言う人もいます。いえ、実名なら言えないような内容は、書かなければよいのです。そのような内容なら、知人と喫茶店か飲み屋で他人に聞かれないようにして、思いっきりしゃべってください。
読んだ相手がどのような気持ちになるか。それを考えない発言は、危ないです。批判をするなとは言いません。するにも、礼儀があるということです。あなたが逆の立場になった場合を考えてください。

2月14日の読売新聞に「SNS投稿 実名?匿名?」が載っていました。
・・・SNSは情報の発信・収集の手段として欠かせないツールとなっています。実名でも匿名でも利用できますが、匿名には「言いたいことが言える」といった利点がある一方、「実名にして発言に責任を持つべきだ」との声も上がります。あなたはどう考えますか?・・・
双方の言い分は、記事を読んでください。

氷河期世代、正社員9割超

2月7日の日経新聞に「氷河期世代、正社員9割超 男性、やっとバブル世代並みに 生涯賃金や貯蓄なお差」が載っていました。

・・・今国会で就職氷河期世代が抱える経済格差が議題に上る場面が目立つ。昨今の人手不足もあってパートや派遣社員から正規雇用に転じる人が増え、男性の正社員率は90%超とバブル世代並みになったものの、老後への懸念は消えていない。生涯賃金や貯蓄、年金受給額は他の世代と差があるためだ・・・

・・・「男性の正社員率は年齢上昇に伴って改善し、40歳代でバブル世代と同水準に到達した」。内閣官房が2024年12月の「就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム」で開示した資料にこんな記述がある。
もとになったのは東大の玄田有史教授の分析だ。玄田氏は1963〜67年生まれをバブル隆盛世代、68〜72年生まれをバブル崩壊世代、73〜77年生まれを就職氷河期前期世代、78〜82年生まれを就職氷河期後期世代と定義した。
総務省の労働力調査をみると、就職氷河期前期世代の20代後半時点の正社員率は男性で88.3%だった。就職氷河期後期世代は82.4%だ。バブル隆盛世代やバブル崩壊世代は比較可能な数字がないものの、玄田氏は「両世代ともに90%台半ばもしくはそれ以上」と推計する。

就職氷河期世代が大学を卒業した2000年前後は、バブル崩壊や金融危機を受けて企業が新卒採用を絞った時期にあたる。経済状況が好転するにつれて後から正社員になる人が増え、就職氷河期後期世代が30代後半になった時点の正社員率は89.9%、40代前半では90.7%とバブル隆盛世代との差が2.5ポイントに縮まった。
雇用問題に詳しい大正大の海老原嗣生招聘(しょうへい)教授は「2000年代の政府対策が奏功し多くの人が正社員化した」と話す。ジョブ・カード制度やトライアル雇用など、熟練度の低い労働者に訓練を積ませつつ働かせて正社員につなげる仕組みを例にあげた・・・

・・・一方で、氷河期世代には他の世代と比べた経済格差が残る。労働政策研究・研修機構の堀有喜衣氏が内閣官房の会議に提出した試算によると、正社員として同じように働いていても、あとから正社員になった場合は年収の平均が男性で約130万円、女性で約180万円低い。
堀氏は「将来の年金見込み額にも反映されるとみられ、高齢期まで影響する」とも強調した。過去30年と同じような経済状況が続く場合、1974年度生まれの人の4割弱は年金が月10万円に満たない・・・