固定電話8割減

2月6日の読売新聞に「岐路NTT 再編(1)東西 新収益を模索 固定電話 ピークから8割減」が載っていました。
若い人は電話帳を知らないでしょうね。「電話帳のように分厚い」という表現も使えません。

・・・これがNTTの電話帳「タウンページ」や「ハローページ」の原型だが、130年以上を経て、紙の電話帳は役割を終えつつある。インターネットや携帯電話の普及で電話番号の調べ方が多様化したほか、環境への配慮から紙の使用量削減が求められているためで、NTT東日本と西日本は2026年3月末をもって冊子のタウンページの発行を終了する。今後はオンラインの検索サービス「iタウンページ」などに注力する。
今年1月にはNTT印刷の入間工場(埼玉県入間市)でタウンページの「最終版」の印刷が始まった。地域ごとに順次発行し、11月の山口県版を最後に2台の輪転機を止める。発行は100万部を下回る見通しだ。05年度のピーク時の発行部数は計約6300万部に上り、各地に印刷工場があった。「3交代制で24時間、輪転機を回さないと印刷が追いつかなかった」。水野和豊・担当課長(52)は振り返る・・・

・・・全国一律の固定電話サービスの提供という重責を担ってきたNTT東西だが、固定電話契約数はピークの1997年度の6284万回線から、2023年度末には8割減の1352万回線に減った。社員の給与水準も、グループ会社のNTTドコモやNTTデータを下回る。NTT東の社員は「かつてはNTT東西、ドコモの3兄弟の長男坊だと言われたのに」とこぼす・・・

技能を身につける3

技能を身につける2」の続きです。

2月20日の日経新聞に「管理職に大降格時代 スキルないと2軍、でも実はチャンス」が載っていました。
・・・「このままでは一般職に戻ってしまう」。2022年4月、3年以内に必要なスキルを習得しなければ、一般職に降格する制度が導入された。スキル習得の期限が1カ月半後に迫る。
当時、社員に占める管理職の割合が3割に達し、部下のいない名ばかり管理職も多くいた。そこで、職務内容に応じて賃金を決める「ジョブ型人事」を導入するのにあわせ、降格制度を設けた・・・

・・・降格は決してマイナスではない。パーソル総合研究所の藤井薫上席主任研究員は人の入れ替えによって組織は強くなると指摘した上で、降格した社員も「別の場所で専門性など幅を広げるチャンスになり得る」と話す。
リコーの増田康宏さん(47)は、業務に必要なソフトウエアのスキルなどを習得し、1年で「1軍」に戻った。「仕事に挑戦するモチベーションが生まれた」と振り返る。
ジョブ型を採用するオムロンは19年度から「リチャージ・リチャレンジ制度」を始めた。PIPなどに基づき能力発揮が難しいと評価した場合は降格(リチャージ)させる。研修プログラム受講や面接を経て再評価すれば、最短で1年後に再登用(リチャレンジ)する。
管理職など経営の基幹人材と位置づける約290人が制度の対象だ。人事担当の南和気執行役員は「はい上がる経験を早くからして成長してほしい」と話す・・・

この記事は、管理職に必要な技能ですから、転職一般には当てはめることはできないでしょう。しかし、管理職に復帰するためのスキル(技能)がどのようなものか、知りたいです。記事には「業務に必要なソフトウエアのスキルなど」とありますが、管理職の資格を決めるのは、そのような技能なのでしょうか。
その前に、管理職に必要な技能を身につけていない社員を管理職にすることも、疑問ですが。
技能を身につける4」に続く。

復興を本業に、アイリスオーヤマ

朝日新聞経済面に、「アイリスと3・11」が載っていました。2月28日は「復興へ、企業には企業の役割」、3月1日は「なぜご飯?東北の支え、もしもの備え」です。このホームページでも紹介してきた、アイリスオーヤマと舞台ファームの事業です。

アイリスオーヤマは、プラスチック製品から始まり、LED電球、家電、マスクなどにも手を広げてきました。
・・・そんな同社が今、成長の柱として注力するのがパックご飯や飲料水を中心とした食品事業だ。24年の売上高は420億円で前年から130億円増加。30年には1千億円に伸ばす目標を掲げる。米国のほか東南アジアなどへの輸出も強化し、1千億円のうち輸出額で100億円を占める計算だ・・・
・・・同社は13年、仙台市の農業生産法人「舞台ファーム」とともに、新会社「舞台アグリイノベーション」を設立し、精米事業に乗り出した。
舞台ファームは津波で田んぼや備蓄米などが壊滅的な被害を受け、倒産寸前になっていた。アイリスが支援する形で提携し、14年には宮城県内で精米工場を稼働。東北の契約農家のコメを買い取って、ブレンド米として販売し始めた。
だが、利益を出すのは難しかった。当時、コメはスーパーの集客のための特売品で、流通側で1円でも安くしようとする。消費者にとっても「コメは安く買うもの」という常識があった。

そこで、大山は「加工したら、過剰な価格競争からの脱却も可能になる」と踏み、15年、コメを加工したパックご飯事業に参入。17年には角田工場(宮城県)に生産ラインを新設し、自社生産を始めた。添加物を使わないという差別化も図り、災害に備えた備蓄商品の拡充という狙いもあった。
当初は振るわなかった食品事業の市場が一気に変わったのは新型コロナ下だった。自治体が感染者に配る自宅療養セットにアイリスのパックご飯が採用され、認知度が向上。非常食としてパックご飯を買う人も増え、食品事業の売上高は20年には200億円、24年には420億円となった。

社長の大山晃弘は「震災復興をCSR(企業の社会的責任)的にやるのではなくて、しっかり本業の中に組み入れてきた」と話す。食品事業は今や会社の成長を占う事業となっている・・・

連載「公共を創る」第215回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第215回「政府の役割の再定義ー政策の大転換に必要な意識改革とその手法」が、発行されました。

政策を大転換するために必要な、首相の取り組みを説明しています。まずは、内閣が取り組む課題と政策を大小に分別し、首相には重要課題に集中してもらうことです。次に、首相が取り組む政策体系を示すことが必要です。

各府省は主要政策の体系をつくって公表しているのに対し、内閣にはそれがありません。私は麻生首相の指示の下、同僚の首相秘書官たちと議論して、首相が目指す目標と首相が特に力を入れる政策を整理しました。内政にあっては安心と活力、外交にあっては安全と繁栄を目標とし、現在進めている政策とこれから進める政策を体系化しました。これは、内閣が取り組む政策の全体像を示したものではありません。「この内閣は、この課題を解決したいのだ」という意思を示すものです。

しかし、首相の目指す日本と主要な政策体系は、首相に就任してから表明するのではなく、首相に就任する前に示しておく必要があるでしょう。かつての自民党総裁選挙では、候補者が「マニフェスト」を発表しました。麻生首相は自民党総裁選挙に4度出馬しましたが、そのたびにマニフェストを発表していました。私もその作成に関与しました。

成熟社会に適合するように政策を大転換するためには、「課題と政策の整理」の次に、「解決への取り組み手法」を明らかにしなければなりません。成熟社会の課題は、従来の行政手法では達成できないのです。また政策の大転換には、政治家、公務員、国民の意識を変えなければならず、そのためにはそれなりの手順も必要になります。
政策の大転換には、関係者や国民の理解を得ることと、抵抗勢力を説得することが必要です。これもまた、首相指示だけでは実現しません。

子どもの花粉症

2月25日の日経新聞夕刊に「子供もツラい花粉症 10代の5割発症、無呼吸症候群リスク」が載っていました。

・・・今年も花粉症の季節がやってきた。つらいのは大人だけではない。最近の調査によると、10代の半数がスギ花粉症にかかっている。鼻詰まりや目のかゆみで、勉強にも支障が出かねない。子どもの花粉症の予防法や治療法について、耳鼻咽喉科医で日本医科大学大学院教授の大久保公裕さんの助言を紹介する。

子どもの花粉症はスギ花粉によるものが大半だ。全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象としたアンケート結果によると、5〜9歳でスギ花粉症にかかっている割合は1998年に7.2%だったが、2019年には30.1%を占めた。
全世代で1番多かったのは10〜19歳。98年の19.7%から19年には49.5%に増えた。
ロート製薬が24年に実施した調査では、小中学生の48%が花粉症の症状を感じていた。発症年齢は平均で6.5歳だった。

スギ花粉症はかつて成人が発症するものとされていたが、今では年代を問わない病気となっている。子どもの頃から適切な予防と治療が必要だ。
症状は大人と同じように、鼻水や鼻詰まり、くしゃみなどがみられる。花粉自体に害があるわけではなく、体の免疫が花粉に過剰反応することで、こうした症状を引き起こす。
鼻で呼吸しづらくなり、夜熟睡できなくなる子どももいる。鼻呼吸は大人より重要で、詰まっていると睡眠時無呼吸症候群になってしまう恐れもある。睡眠不足になって学校で勉強に集中できず、授業中に寝てしまう子どももいる。

花粉症の子どもが増えている要因の一つは、子どもたちの体が「自然に負けやすくなっている」ことだ。
家の中でテレビゲームやスマートフォンで遊ぶことが増えて、外で土と触れ合ったり、細菌と接触したりする機会が減った。自然の環境に体が慣れておらず、花粉に過剰に反応している可能性がある。
このため、花粉症にかかりにくくする予防策として、普段から外でよく遊ぶようにしてほしい。毎日バランスのよい食事をとり、免疫力を高めておくことも大切だ・・・