強い心臓2

強い心臓」の続きです。今回は、俗な表現についてです。

辞書には、「強心臓は度胸があって何事も恐れないこと。また、恥知らずで厚かましいこと」とあります。心臓に毛が生えているとか。でも、心臓に毛が生えるって、どんな状態なのでしょう。想像しにくいです。
「神経が図太い」は、なんとなくわかります。ところが、「無神経」という反対の表現でも、同じような意味になります。

私も、そのように言われることがあります。本人はいたって小心者で、おどおどしているのですが。人前では、そう見えないように演技しています。

私が知っている強心臓と呼ばれる人には、二種類あります。
一つは、相手を気にせず、ただ厚かましいだけ。
もう一つは、相手に気配りができて繊細で、それを踏まえて他の人は言えない正しいことを言う人です。

フェイクニュースの海で事実を伝える

3月13日の朝日新聞オピニオン欄、マーク・トンプソンCNNワールドワイドCEOへのインタビュー「ジャーナリズムの未来」から。

メディアの役割が、世界で問われている。かつて英BBC、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)を率いたマーク・トンプソンさんは今、米CNNの最高経営責任者(CEO)として「変革」を指揮する。存在感を増すSNSと、トランプ政権下で強まるメディアへの圧力――。揺れ動くジャーナリズムの未来とは。

――センセーショナルな内容のフェイクニュースがSNS上で広がりやすい昨今の状況に、対処できると思いますか。
「止めることはできないと思います。フェイクニュースはある種の『うわさ』です。SNSはうわさを作ること、拡散することをより簡単にしました。そうした情報に人々の興味がかき立てられていることも、現実の一部です。大切なのは、メディアとして自らの価値を保ち、ブランドを目立たせ続けることです。そうすれば、フェイクニュースの海に浮かぶ『真実の島』になることができるでしょう」

――昨年の米大統領選の期間中、トランプ氏は「移民はペットを食べる」などの発言で社会の混乱をあおりました。
「私たちの仕事は、それに憤慨することではなく、事実を把握することです。政治家が選挙期間中に大げさな発言をするのは、よくあることです。発言に真実はあるのか。どこから生まれた話なのか。そうした基本的な問いに、答えようとするべきです。(トランプ氏の発言で名指しされた)オハイオ州スプリングフィールドは工場で労働力を必要としていて、移民の受け入れが奨励されていました。そうした背景を知って、きちんと伝えることが重要です」

――トランプ氏は、政権に批判的なメディアにしばしば攻撃的な姿勢をとっています。
「私はこれを、政治家との闘いだとは思っていません。政治家には発言の自由があり、メディアを批判することはよくあります。特に、私たちが伝える内容が気に入らないときはそうでしょう。事実自体が気に入らないから、報道を嫌がるのかもしれません」
「彼らが政治家として行動する一方で、我々の仕事はジャーナリズムです。私たちは政党ではなく、選挙に勝とうとしているわけでもない。『雑音』に惑わされて、事実を報じるという本来の義務を果たすことから遠ざかるべきではありません」

第三者委員会報告書格付け委員会

「第三者委員会報告書格付け委員会」って、知っていますか。「委員会のホームページ」。趣旨は、次のように書かれています。

・・・21世紀に入ってから、企業不祥事の頻発に伴って世間の信頼を失った経営者の弁明に代わって、第三者委員会が利用されるようになった。しかし、第三者とは名ばかりで、経営者の依頼により、その責任を回避し、或いは隠蔽するものが散見されるようになった。これは多くの第三者委員会の主要な構成者となっている弁護士や弁護士会の信用を損なう結果になるとして、日弁連業務改革委員会は2011年3月に第三者委員会ガイドラインを公表した。

それ以後、多くの第三者委員会報告書はこのガイドラインに「準拠する」とか、「基づく」と表記して、委員会の独立性や透明性、説明責任の遂行に配慮するように改善されてきた。しかし、最近は、このガイドラインの重要な項目に配慮せず、或いは、それに反して「第三者委員会報告書」を僭称したと評価せざるを得ないような報告書が見受けられる事態が起きている。
そこで今般、このガイドライン作成に関わったメンバーを中心として、さらに研究者やジャーナリストの参加を得て、公共財としてのより良い「第三者委員会報告書」を世の中に送り出すために、当格付け委員会を設立することにした・・・

評価方法は、次の通り。
・・・委員会での議論に基づき、各委員が、A、B、C、Dの4段階で評価します。なお、内容が著しく劣り、評価に値しない報告書についてはF(不合格)とします・・・

で、その評価結果です。
九州旅客、高速線の安全運行、2024年12月=D7、F2
SONPOホールディングス、自動車保険金不正請求、2024年1月、D4、F4
厚生労働省、毎月勤労統計調査、2019年3月、F9

他の案件は、評価結果をご覧ください。
まあ、低い評価が並んでいます。名ばかりの第三者委員会だということですね。不祥事を起こした上で、さらに評価を下げているのです。
委員会は、評価の理由を公表しています。評価された会社や委員会は、どのような反論をしているのでしょうか。ぜひ、報道機関に検証してもらいたいです。

大リーグ、選手の自主性

3月18日の朝日新聞夕刊、大宮慎次朗記者の「選手に大きな裁量 大リーグ、驚きのキャンプ」から。

・・・2月中旬、強い日差しが照りつける米アリゾナ州グレンデールで、大リーグ・ドジャースの春季キャンプを初めて取材した。本場のキャンプ事情に驚かされる毎日だった・・・

・・・開幕に向けた準備の進め方も日米で異なる。
日本の春季キャンプは2月1日、沖縄や宮崎で12球団が一斉にスタートを切る。体力づくりを含めた基礎練習に約2週間を充ててからオープン戦を迎える。
一方、大リーグのキャンプインは30球団でばらばら。今年のドジャースは全体集合の5日後にはオープン戦の初戦に臨んだ。
全体練習の時間は短い。ある日の投手組は午前9時過ぎにクラブハウスに集まった。ミーティングやストレッチを終え、実際に体を動かすのはブルペン投球や守備練習の1時間ほど。調整方法は選手に任されており、正午にはほとんどの選手の姿が見えなくなった。
昼食をまたいで練習を続けるチームが珍しくない日本とは対照的。メジャー初のキャンプだった佐々木が「初めての経験ばかり。慣れないことがすごく多い」と困惑するのも無理はなかった。

日米のさまざまな違いが目に付いた取材の中でも、不変の真理を感じた瞬間があった。
今季外野手から遊撃手に転向するムーキー・ベッツは、野手組の集合日前から精力的に内野ノックを受けていた。2季ぶりの投手復帰をめざす大谷は1週間ほど早く現地入りし、調整を重ねていた。
2人はともにリーグの最優秀選手(MVP)の受賞経験者だ。何が必要かを考え、主体的に動く。成功に欠かせない姿勢を見た・・・

内閣官房が持つ法律

私が省庁改革本部に勤務した時(1998年~2001年)、国家行政組織を勉強しました。内閣の事務は各省庁が分担すること(分担管理原則)といった原則や、各省庁の内部組織や職員といった実情です。知らないことが多かったですが、知られていないことも多かったです。
その一つが、内閣官房でした。各省庁についてはそれなりに書かれたものがあり、仕事も見えましたが、内閣官房がどのようなものか、また首相官邸がどうなっているのかは、書かれたものはなかったです。

その時知ったことの一つに、原則として内閣官房は実施事務を持たず、各府省に担わせることでした。私が内閣府官房審議官の時に内閣官房審議官の併任を受け、再チャレンジ政策を担当しました。その際も、よく似た名前の辞令を内閣官房と内閣府からもらいました。首相の指示を受け、内閣官房で再チャレンジ政策を考えるのですが、実施事務は内閣府が行いました。なので、内閣官房は作用法を持っていなかったのです。

省庁改革で、総理の法案提出権を明確にしたこともあり、内閣官房が法律を持つケースは増えてきました。内閣官房のホームページを見ると、所管法律が載っていますが、結構な数になっています。
問題は、他の府省と異なり、さまざまな分野の政策を抱えているので、政策体系を作ることができません。この全体像をわかる人はいないでしょう。何らかの対策を打たないと、さらに膨張して、わかりにくくなると思います。