2月7日の朝日新聞オピニオン欄は「コンサル頼み?」でした。
・・・今や人気就職先にもなったコンサルティング業界。企業経営を助けるプロというイメージの一方、玉石混交ぶりや「コンサル頼み」の弊害も指摘される。あなたの会社は、大丈夫?・・・
堀紘一さんの「成長には、目的と覚悟必要」から。
・・・コンサルタントがエリート大学生の人気職種だと聞き、隔世の感を抱きます。日本企業は自前主義で、経営の根幹に関わることを外に相談するなどという発想は希薄でした。
今やコンサル業界は百花繚乱です。かつては経営戦略を立案する戦略系が中心でしたが、2000年代後半以降は、ITシステムの開発・運用も支援する総合系、会計系の会社が規模を追い始め、多くの社員を抱えるようになります。
コンサルタントは一流の経営大学院を卒業した精鋭が就き、それでも7年後には2割以下しか生き残れない厳しい世界でした。企業も、社運をかけてコンサルを雇っていた。
今は全体的にビジネスモデルが戦略策定型から業務請負型へとシフトし、競争激化で価格破壊も起き、企業も気軽にコンサルを使う時代になりました。裾野が広がったことで、残念ながら質の低下は否めません。
やたらコストカットや人員削減を求める、理論を振り回す、教え諭すのがコンサルだと勘違いしている――こうした能力不足のコンサルによって、かえって会社が方向性を見失い、組織がガタガタになる事態が起きています。
これには企業側の問題もある。ある経営者に「あなたに頼むと、我が社にどんなメリットがあるの?」と聞かれて脱力したことがあります。コンサルに頼むからには、明確な目的がなければならない。そこが不明なのに安易に頼むのは失敗の元です。もちろんコンサルは万能ではありません。でも本来の価値と力を持つコンサルティングを受ければ、会社は大きく成長する可能性がある。それは経費ではなく投資です。
私の経験では、企業が自ら認識している問題が「真の問題」だったことはほとんどありません。営業力が弱い、と相談を受けて調べてみると、採用や人事に大きな問題が潜んでいる、といった具合に。
そして日本では、変革に最も有効だが痛みも伴うA案、効果は少ないが受け入れやすいC案、その折衷のB案を示すと、9割近くの企業が無難なC案を選びます。これでは、コンサルを頼む意味はない。使う方にも覚悟がいるのです・・・