3月18日の朝日新聞夕刊、大宮慎次朗記者の「選手に大きな裁量 大リーグ、驚きのキャンプ」から。
・・・2月中旬、強い日差しが照りつける米アリゾナ州グレンデールで、大リーグ・ドジャースの春季キャンプを初めて取材した。本場のキャンプ事情に驚かされる毎日だった・・・
・・・開幕に向けた準備の進め方も日米で異なる。
日本の春季キャンプは2月1日、沖縄や宮崎で12球団が一斉にスタートを切る。体力づくりを含めた基礎練習に約2週間を充ててからオープン戦を迎える。
一方、大リーグのキャンプインは30球団でばらばら。今年のドジャースは全体集合の5日後にはオープン戦の初戦に臨んだ。
全体練習の時間は短い。ある日の投手組は午前9時過ぎにクラブハウスに集まった。ミーティングやストレッチを終え、実際に体を動かすのはブルペン投球や守備練習の1時間ほど。調整方法は選手に任されており、正午にはほとんどの選手の姿が見えなくなった。
昼食をまたいで練習を続けるチームが珍しくない日本とは対照的。メジャー初のキャンプだった佐々木が「初めての経験ばかり。慣れないことがすごく多い」と困惑するのも無理はなかった。
日米のさまざまな違いが目に付いた取材の中でも、不変の真理を感じた瞬間があった。
今季外野手から遊撃手に転向するムーキー・ベッツは、野手組の集合日前から精力的に内野ノックを受けていた。2季ぶりの投手復帰をめざす大谷は1週間ほど早く現地入りし、調整を重ねていた。
2人はともにリーグの最優秀選手(MVP)の受賞経験者だ。何が必要かを考え、主体的に動く。成功に欠かせない姿勢を見た・・・