『日本漢字全史』

沖森卓也著『日本漢字全史』(2024年、ちくま新書)を読みました。
宣伝には、次のようにあります。
「古代における漢字の受容、漢文・漢語の定着と万葉仮名の展開、中世の漢字・漢文の和化、和漢混淆文と字音の独自変化、江戸時代の漢学・漢字文化の隆盛、そして近代以降の漢字簡素化・字形整理」

すぐに読めると思ったのですが、内容の濃いもので、時間がかかりました。関心ある方には、お勧めです。
ところで、室町時代や江戸時代に、庶民はどの程度、漢字を読めたのでしょうか。

中国では、漢字については、このような内容の歴史は書けないでしょうね。音韻の変化はありますが。日本のように、全く違う言語(日本語)に受容して、それを飼い慣らした歴史はないからです。
漢字を音読みして事物を示すこととともに、訓読みして日本語に漢字を当てるということをしました。偉大な発明です。もっとも、それで漢字の書き方だけでなく、音読み、訓読みを覚えなくてはなりません。さらに人名訓もあります。「頼朝」と書いて「よりとも」と読むのは、音でも訓でもないです。
日本では、漢字を受容したから、ひらがな、カタカナも生まれたのですが。もし、漢字を受け入れていなかったら、何かしら表音文字をつくったのでしょう。
漢字を輸入することは、文字だけでなく、思想や制度を輸入することでした。その点では、効率的な方法を使ったものだと思います。また、慣れているからでしょうが、漢字交じりの文章は、ひらがなだけの文章より、早く読むことができ、意味を理解できます。

ところで、日本における漢字の将来は、どのようなものになるのでしょうか。
日本は、千年以上続いた中国と漢文の受容から、欧米と英語の受容に切り替え中です。
私は、いずれ英語が共通語(日本だけでなく世界で)になり、日本語が古語になるのではないかと想像しているのです。楽しくない予測ですが。

男女格差解消には性別役割意識の変革が不可欠

3月20日の日経新聞経済教室は、牧野百恵・ジェトロ・アジア経済研究所主任研究員の「男女格差解消、性別役割意識の変革が不可欠」でした。

・・・日本のフルタイム労働者の男女賃金格差は、ほかの経済協力開発機構(OECD)諸国との比較でも大きい。女性管理職の割合に至っては先進国最低だ・・・
・・・なぜ、女性活躍推進法が意図する女性の社会での活躍がなかなか進まないのか。筆者は家庭内の性別役割分担や、その背景となっている社会規範・思い込みに原因があると考える。家事負担が女性に偏る現状のまま「女性の活躍は進んだか」を議論することにどれほど意味があるのか。
女性の家事労働負担を解消せず、男性と同じように活躍、キャリア推進、管理職登用をと言われても、多くの女性の答えは「そんなの無理」だろう。では女性の家事負担を減らすにはどうしたらよいか。先進国で最低水準の男性が増やすしかない・・・

・・・女性活躍推進法が公表を促す項目の一つに、男性の育児休業取得率もある。育児・介護休業法の改正により23年4月から、常時1001人以上を雇う企業は男性の育児休業取得率の公表が義務化された(なお25年4月からは常時301人以上に対象が拡大する)。
それを受けたのか23年度の男性の育児休業取得率は30%と、前年度の17%から大きく上昇した。しかし中身をみれば期間は短く、取得した男性の4割弱は2週間も取得していない。
また、たとえ男性が育児休業を1年間取得しても、形だけの取得で実際は自分の仕事に専念したため、男性の育児休業制度の導入がかえって女性にとって不利に働いたという米国の実証研究もある・・・

・・・遠回りのようにみえるが、根本的には社会規範が性別役割分担の根底にあることを社会全体が理解し、その意識変革を促すしかない・・・

家断熱の効果

先日の3月28日は、最高気温が26度。近所の桜が、あっという間に咲きました。翌日は、早朝の気温が10度、昼は6度でした。急激な変化は、困ったものです。

天気予報を見て、朝は冬の下着に替えました。ところが、暑くて。室内の温度計を見ると、20度を超えています。
「何じゃこれは?」
アメダスを見ると、10度を下回っています。新聞を取りに出ると、やはり寒いです。

たぶん、家を断熱性能よく造ったので、昨日の熱を蓄えてくれているのでしょう。
建築中に我が家を見ましたが、壁にかなりの厚さグラスウール(石綿とは別物)を入れていました。「こんなもの入れるのか」と驚きました。あれのおかげですね。

ひったくりが20年で99%減

3月22日の日経新聞別刷りに「ひったくりが20年で99%減 「コスパの悪い」犯罪に?」が載っていました。びっくりですね。詳しくは、記事を読んでいただくとして。

・・・ひったくり被害は日常的に起こっていると思われがちだが、実は激減している。2024年版警察白書によると、約20年前には全国で5万件以上発生していたが、近年は500件程度で、なんと99%近く減少した・・・

原因として、次のようなことが挙げられています。
・防犯パトロールによる登下校の子どもたちを見守る活動が広がり、監視が増えた。
・防犯カメラの普及で、ひったくりが割に合わなくなった。
・不良少年集団の衰退。ひったくりの7割を占めていた14~19歳が、4割まで低下。スマホの普及で、集まって一緒に行動することが減った。

飲料自販機と回収箱

孫と散歩中に、ジュースを飲むことがあります。自動販売機は便利です。ところが、横に、空き缶・空き瓶回収箱がついてない場合があります。さて、飲み終えた空き瓶はどうするか。

コンビニのゴミ箱や回収箱も、問題があります。あっても、多くはお店の中にあります。家庭ゴミを持ち込まさないためだそうです。しかし、ジュースを店内で飲むことはありません。それをやっている人は見かけませんよね。コンビニは狭くて、ゆっくり飲める空間もありません。ほとんどの人は、店の外で飲むでしょう。では、この空き瓶はどこに捨てるか。

私はリュックサックを背負っているので、入れて持ち帰ります。しかし、鞄などを持っていない人は、どこかに捨てるのでしょうね。
売るだけ売って、空き缶は他の人や事業者に回収させるのでしょうか。「外部不経済