職員同士の相談、雑談

職場で、事務室に行くと(学長は個室)、職員が別の職員の横に座って、あるいは立って、話しをしている場面を見ることがあります。この様子を見ると、安心します。
職員の悩みは、抱えている仕事をどのように進めたら良いかわからないことと、人間関係です。『明るい公務員講座』で、「一人で悩むな」と力説しました。
職員が他の職員に相談していることは、たぶん仕事の進め方でしょう。すると、彼女・彼は、一人で悩むことなく相談相手を見つけたということです。
あるいは、相談ではなく、ちょっとした雑談かもしれません。

それは、職場の風通しがよいということです。最近の言葉では、心理的安全性と言うそうですが。ちょっとしたことを言える職場が、職員を孤立から守ります。
「わからないことがあれば質問してください」は正しいのですが、それを切り出すのに「敷居が高い」ことがあるのです。

日本の職場は基本的に大部屋で、職員は係ごとに仕事をします。机は係ごとに島になっています。外国では一人ひとりに仕事が与えられ、個室やブースで仕事をします。最近では、在宅勤務も進んでいます。
しかし、大部屋で他の職員と一緒に仕事をする利点は、もっと評価されるべきです。
参考「社会人1年生が好きな時間の第一位が、同僚や上司との雑談

歯医者さんが減る

12月30日の日経新聞に「多過ぎ?歯科医、初の減少 偏在で高齢者の受診困難に」が載っていました。経済成長で虫歯が増え、それに対処するために歯医者さんを増やしたのですね。他方で、地域偏在が課題になっています。

・・・国内の歯科医師の数が初めて減少に転じた。半世紀前に大量に育成したベテラン層が引退し始めたためだ。歯科医院は「コンビニよりも多い」と過剰が指摘されてきた。歯学部の定員抑制で若手の数は細り、今後も歯科医の減少が続く。偏在が深刻で、山陰や北陸などの地方で不足しつつある。今後、住民が歯科診療を受けられない地域が広がる恐れがある。

神奈川歯科大学の桜井孝学長は「1970年代に歯科医になったボリュームゾーンの世代が引退する時期を迎えた」と語る。
70年代は国を挙げて歯科医を増やした時期だ。60年代後半に虫歯の患者が急に増えた。高度経済成長によって戦後の貧しい時代を乗り越え、食生活が豊かになった。その結果、子どもは砂糖を含む甘い菓子などを食べる機会が増えた。一方で歯磨きの習慣付けなど虫歯の予防は遅れていた。
これを受けて全国で大学の歯学部や歯科大学の新設が相次いだ。日本歯科医師会の資料によると、政府は69年に人口10万人当たり30人台だった歯科医を同50人に増やす目標を掲げた。歯科大学などの入学定員を短期間で約1100人から3000人超に増やした。その効果で84年に10万人当たり52.5人に増えた。だが、今度は過剰が指摘された。87年に旧文部省が定員を約20%削減する目標を打ち出した。98年には旧厚生省がさらに約10%減らす方針を出した。

現在、歯科医の国家試験の合格者数は年約2000人と横ばいが続く。一方で1970年代に働き始めた世代の多くが70歳代以上になり、年約3000人が引退している。新たに歯科医になる人の数と引退する人の数を差し引きすると年1000人程度減り続ける。
24年9月末時点の歯科医院の数は約6万6000施設で、依然としてコンビニより多い。足元の課題は総数よりも偏在だ。22年末に人口10万人当たりの歯科医が最も多いのは東京都の120.3人で、徳島県と福岡県が続く。最少は滋賀県の58.8人で、山陰や北陸も少ない。東京都と滋賀県の差は2倍強に達する。神奈川歯科大の桜井学長は「歯科医を目指す若者が地方から都市部へ流れる」と背景を分析する・・・

正月休み終わり

今日1月5日で、正月休みが終わります。12月28日から休んでいると、9日間の連休でした。皆さんは、ゆっくりとしたり、出かけたりされたでしょうか。

私は、孫の相手と原稿書きをすることできました。何冊か読書も。寒いので遠出はせず、よく寝ました。9日とは結構長いですよね。でも、終わると、あっという間でした。
肝冷斎は、どこに行ったのでしょうね。仙人になって雲に乗って崑崙や蓬莱山を巡ることはできず、富士山の麓を二本足で歩いているようです。

年末年始も働いておられる医療、消防や警察、交通や流通関係者などに、感謝しなければなりません。
さあ、明日から仕事が始まります。9日も休みをいただくと、気持ちを切り替えるのに、根性が要りますね。風邪やインフルエンザが、流行っているようです。気をつけて動き出しましょう。

『フランスという国家』行政の再評価と再設計2

『フランスという国家』行政の再評価と再設計」の続きです。

このページでも時々紹介している「自治体のツボ」に、『フランスという国家―繰り返される脱構築と再創造—』の書評(読書感想文)が載りました。
丁寧に読んで、詳しく紹介しています。お読みください。

・・・はっきり言って、欧州の行政はわからない。欧州統合下の各国のあり方は複雑怪奇。それでもフランスが置かれている状況と日本が置かれている状況が変わらないことがよくわかる。つまり日本の国家のあり方を考えるよすがになる本だ。
▼コロナが復権させた国家
あまりにざっくり言うと、国家はコロナの蔓延防止のために権力を振りかざし、国民に服従を強いたことで息を吹き返した。グローバリゼーションと新自由主義で役割を失いつつあったが、国民の健康を守る福祉国家として再生した。
▼要塞国家の流れは不可逆
国民の安全を守る役割に目覚めた国家は、逆ネジが働く脱グローバリゼーションと戦争の危機の中で、引き続き経済の安定に介入するよう促されている。大衆監視の危機も孕みつつ、安全が至上命令となった政府の重要性は増した。
▼経済的愛国主義の興隆へ
グローバルな経済競争の中で国益を守るにはどうするか。保護主義的な守りの戦略とイノベーション促進などの攻めの戦略の巧拙が問われる。国際的な相互依存は変わらないとしつつも、コロナで台頭した経済介入主義は戻り得ないと説く。

シュヴァリエ氏は、コロナが国家の権力を増大させ、コロナが落ち着いたあともその流れは不可逆と見る。その時々に直面する状況で国家の役割は変わるものであり、今の世界は市民が国家の力に安全と安心を託す局面なのだ、ということだろう・・・