年別アーカイブ:2024年

仕組みの解説と機能の評価

2024年5月7日   岡本全勝

仕組みと機能、その使い方の違いを考えています。
古くは、『地方交付税・仕組みと機能-地域格差の是正と個性差の支援』(1995年、大蔵省印刷局)を書いたときです。ここで、「仕組みと機能」を使いました。「制度の仕組みだけでなく、機能、結果、歴史などの角度から多面的に解説してあります」とうたってあります。
交付税制度の解説書は、すでにいくつかありました。これを書くときに、従来の「仕組みの解説」では、価値がないなあと思ったのです。1954年に制度が作られて、私が課長補佐の時(1992年頃)は、すでに定着していました。そこで、「仕組みの解説」だけでなく「果たしている機能」を書いたのです。戦後の復興期から高度成長を経て、財政や日本社会でどのような機能を果たしているかを説明しました。仕組みの解説は、制度を知っていたら書けるのですが、果たしている機能は、制度を知っているだけでは書くことができません。

政治学や行政学の教科書も、仕組みの解説で終わっているものが多いです。代議制民主主義や基本的人権の尊重も、趣旨や制度の解説であって、それが実際にどのように運用され成果を上げているかが書かれていません。戦後半世紀にわたって、男女同権は憲法に掲げられながら、実質的ではありませんでした。ハンセン病患者の隔離においても、機能していなかったのです。

法律学も同様です。法律の規定と趣旨を学ぶことは重要なのですが、それがどのような機能を果たしているかを合わせて学べば頭に入るでしょう。また、たくさんの法律が制定されていますが、どれだけ効果を発揮しているかを検証すべきです。法律や制度は作っただけでは、機能しません。絵に描いた餅ということわざもあります。この項続く

曖昧な言葉「不適切でした」

2024年5月7日   岡本全勝

4月26日の朝日新聞オピニオン欄「「不適切」への批判、適切?」、梁英聖さんの「あいまいに逃げず、基準を」から。

・・・差別や人権侵害の疑いがある問題を語る際に「不適切」という言葉を使うことは、やめるべきです。
不適切さの中身を具体的に言わずに済んでしまう言い方だからです。実際、差別をした人が差別だと認めずに謝る際に最も便利な言葉として使われているのが「不適切でした」です。
残念ながら日本では、差別や人権侵害を明るみに出すべき報道機関までが「先ほど不適切な発言がありました」といった言い方を使っているのが実情です。

あいまいな言葉で謝るのは責任から逃げている証拠。まずは、公人がこの言葉で逃げるのをやめさせることから始めなければなりません。問題になっている事実は何なのか、どのような基準に照らして問題なのかを具体的に質問で追い詰める作業が重要です。
ひとくくりに不適切だと言われる言動の中には、人権侵害や差別といった社会正義に反する法規制すべき行為もあれば、芸能人の不倫のようなそれ未満のものもあります。前者ならアウトですが、両者の境界をあいまいにするために、不適切という言葉が使われます。
だから、人権侵害や差別のない社会をつくるには、まず両者の間に線を引くことが絶対に必要なのです・・・

大型連休終わり

2024年5月6日   岡本全勝

春の大型連休が終わりました。各地でよい天気の日が多く、行楽地は賑わったようです。皆さんは、どのように過ごされましたか。よい休日だったと思います。

私は毎日、孫を公園に連れて行きました。これが一番の仕事でした。日差しがきつく、温度も高くて、それで疲れます。
右筆の協力を得て、連載原稿の締め切りを間に合わせました。ほかの原稿も少し進みました。全部は片付きませんが。読書は、予定通りには進まず。というか、あれもこれも読もうと考えていたのですが、その計画が非現実的なものだったのです。
玄関脇のツバキの枝が伸びたので、剪定をしました。ナツツバキは、例年になくたくさんの花芽をつけています。今年は花を期待できそうです。

ということで、それなりに充実した休日でした。連休も、始まるまでは長いようですが、終わってみると短いですね。
充実した時間を過ごすと、長く感じるのかもしれません。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、逆に何もしない無為の時間の方が、つまらなく長く感じます。その時点での感想と、終わってから振り返る感想との違いでしょうか。

肝冷斎は、すごく充実した休みを送っていたようです。連日、しかも暑い昼と深夜に及ぶナイター(5月4日は試合終了が23時)もあります。よく体力が続くなあ。

選手を怒らない指導

2024年5月6日   岡本全勝

4月25日の日経新聞夕刊連載「人間発見」、スポーツ心理学者 田中ウルヴェ京さんの「五輪がゴールじゃない」第4回「米国のコーチ留学で衝撃」から。田中さんは、シンクロナイズドスイミング(当時)のオリンピックメダリストです。

・・・ 24歳で米国にコーチ留学。日本と違う指導に衝撃を受けた。
当時の米国はシンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)世界一の国です。私の受け入れ先となってくれたカリフォルニア州ウォールナットクリークのクラブは、複数の五輪金メダリストが在籍する名門でした。米国代表監督のゲイル・エミリーさんの横で4年間、毎日指導を見させてもらいましたが、一番驚いたのが選手に掛ける言葉です。
「楽しんで演技しよう」「自信を持って」「ファンタスティック!」。エミリーさんの発する言葉は前向きなものばかりでした。日本で「ちゃんとやりなさい」「そこは丁寧に」とミスの指摘や注意の言葉ばかり聞いてきた身には、大きなカルチャーショックでした。

もちろん、練習でミスも出ます。でも、エミリーさんは選手には聞こえないよう、私の耳元で「最悪だわ」とボソッと吐き捨てるように言って怒りを鎮めていました。選手にぶつけても、うまくはならないというのです。世界一の実績があるだけに、これが強くなる指導なのだと胸にストンと落ちました・・・

他人の話は聞かない

2024年5月5日   岡本全勝

先日の電車の中でのことです。私の前に立った若い女性、靴紐がほどけて、長く伸びています。よくまあ、踏まなかったことだと思うほど。
で、指で指しながら「靴の紐ほどけてますよ」と指摘したのですが、反応なし。もう一度指摘したら、耳からイヤホンを取り出しました。ああ、それで私の話が聞こえなかったんだとわかり、もう一度指摘しました。
すると、靴を見て「ありがとうございます」と返事が返ってきました。