年別アーカイブ:2024年

なぜか忙しい

2024年7月20日   岡本全勝

久しぶりの、ぼやきです。毎日が、早く過ぎていきます。なんで、こんなことになるのか。
金曜日に、翌週以降の日程を、職場とキョーコさんにそれぞれ伝えます。それを書きながら、「もう1週間も経ったのか」と嘆きます。職場には電子メールで、キョーコさんには紙で伝えるのですが、その感慨は紙に書いているときの方がきつく感じられます。キーボードとペンとの違いでしょう。キーボードは機械的ですが、ペンは肉体的で感情が伝わります。

他方で、原稿の締め切りや講演会の予定は、1枚の紙に書いてあって、しょっちゅう確認します。それを見つつ、職場の行事などを入れて、毎日、明日にしなければならないことを確認します。いろいろある日には、それを自分宛の電子メールに書き出しておきます。くせ者は、この締め切りが先の原稿や講演会の準備です。少しずつ進めておかないと、1日や2日頑張っても、できあがらないのです。

一つ一つの課題はそんなに難しくないのですが、それがいくつも重なると、しんどくなるのです。毎週締め切りが来る連載原稿執筆、毎月一回の勉強会の準備、次々とくる講演会の資料作成。その合間を縫ってこのホームページの加筆・・・。引き受けた私が悪いのです。仕掛かり品をたくさん抱えていると、精神衛生によくないです。
夜の意見交換会も、それなりに入ります。土曜日曜は、孫の相手もしなければならないし。冷たいビールや冷酒は、おいしいです。飲むと、勤労意欲は失せます。読みたい本や資料が、また机の上に積もります。
と、少々難しい原稿の校正をしながら、こんなことを書いています。肝冷斎は今日も、野球や現地調査に出かけているのでしょうね。

高齢化と災害医療

2024年7月20日   岡本全勝

7月13日の朝日新聞夕刊に、阿南英明・神奈川県立病院機構理事長の「進む高齢化、災害医療のあり方は」が載っていました。

・・・神奈川県の新型コロナ対策を率いた救急医は1月、能登半島地震のDMAT(災害派遣医療チーム)の一員として、石川県庁でDMATや自治体間の調整役を務めた。過去の災害支援やコロナ下の経験をもとに、今後の災害時医療に求められることを聞いた。

「能登の避難所にいる高齢の被災者の衰弱が激しい。命を救うため、広域搬送が必要な人がまだいる。しかし、使いにくい法律がなんと多いことか」
広域搬送が必要になる人の大半は、お年寄りだ。医療を受けられる入院先の病院とともに、落ち着いて生活できる介護施設を見つけることが急がれていた。
しかし、介護保険法では、施設への入所条件は要介護認定に基づく。要介護3以上の人が対象の施設には原則、1や2の人は入れない。避難生活で急激に状態が悪化しても、容易に入所はできない。速やかな要介護度の区分変更が望ましいが、変更するには主治医が意見書を書く必要があった。
見直しの要望を厚生労働省に上げ、1月中旬には主治医でなくても意見書を作れるようになった。でも、認定作業には一定の時間がかかる。災害救助法の解釈には、省庁によるばらつきが目立った。

神奈川に戻った1月末。「フェーズは変わった」と語った。
「急性期の価値観はとにかく助けるでいい。でも時間がたつほどに多様性の重要性が浮き彫りになる。あなたはどうしたいのか? 能登を離れるのか、残りたいのか。それぞれの思いをくみとり、対処するのがあるべき姿」
被災地の病院の救急運営や高齢者の受け入れ先を見つけることに加え、地元の施設に物資や人を補い、再開や存続を支えることもDMATの目的になった。活動は1カ月を超し、異例の長期間となった。

6月。DMATの活動が長期化した主な理由を改めて問うと、「高齢化」という答えが返ってきた。
被害が深刻だった地域の高齢化率は、2011年の東日本大震災は20%台。これが能登半島地震では5割近くになっていた。
受け入れ先を探すのは困難で、復旧を担う側にも高齢の人が多い。離職者も増え、施設再開に時間がかかった。
高齢化はさらに進む。これから起きる災害では、医療やケアの存続が難しいという同じ問題がどこでも起きるのでは?
阿南さんはうなずき、続けた。「こういう社会に我々は暮らしているとまず、認識しなければならない。特効薬はない」・・・

市町村アカデミー、市町村長特別セミナー

2024年7月19日   岡本全勝

市町村アカデミーでは、市町村長や議員へのセミナーも実施しています。7月18日、19日と、今年度第2回の市町村長・管理職特別セミナーを実施しました。北海道から沖縄まで、100人を超える方の参加がありました。

今回は、次の4方に講師をお願いしました。
牧原出・東大教授に、未来を見越した自治体経営について
小池信之・総務省公務員部長に、自治体が悩んでいる人材育成と確保について
成田悠輔さんに、人工知能が自治体に与える影響について
村山和恵さんに、お酒と地域振興について

牧原先生の話は自治体を取り巻く変化について、小池部長の話は自治体組織の問題であり、ともに首長さんたちの現在の大きな悩みについてです。成田さん、村山さんと、かなり広い分野から選びました。
毎回、受講者の希望を基に、現在の課題を考えて、教授陣が講師を選定しています。

クールジャパン戦略の失敗

2024年7月19日   岡本全勝

7月5日の日経新聞夕刊に「クールジャパン戦略崖っぷち 「再起動」は韓国に学べ」が載っていました。
・・・政府は6月に「新たなクールジャパン(CJ)戦略」を発表し、新型コロナウイルス禍の収束を踏まえ、政策の「リブート(再起動)」を宣言した。コンテンツの消費拡大と国のイメージ向上の好循環を狙う戦略は韓国が先行する。政策の失敗の批判もある日本の現状をどう打破するか。韓国の施策に学ぶ・・・

・・政府が定義するCJとは世界から「かっこいい(クール)」と捉えられる日本のあらゆる魅力を指す。ゲームやアニメに限らず日本食、観光まで所掌は広い。
政府は内閣府の知的財産戦略推進事務局をCJ戦略の司令塔と位置づける。実態は多くの関係省庁の連絡・調整役に近く、政策の立案や実行は個々の省庁が担う。
韓国は日本の省庁にあたる文化体育観光部がコンテンツ政策をつくり、傘下のコンテンツ振興院が一元的な実施機関として制作や人材育成、海外展開を支援する。振興院は09年にコンテンツや放送、ゲームなど関係5機関を統合して設立した。民間の経験者を含めて独自に幅広く人材を採用している。

司令塔機能が弱い日本では、役所の縄張り争いになり、非効率が生まれやすい。経済産業省と総務省が放送コンテンツを別々に売り込む例もあった。
CJに着目した政策は、10年の民主党政権下で経産省に「クール・ジャパン海外戦略室」を置いたころに始まった。かねて司令塔の不在は問題視されてきた。
経団連は23年4月、コンテンツ政策に関する提言で「単発・分散的で戦略的に取り組まれてきたとは言い難い」と断じ、政府に一元的な司令塔組織の新設を求めた。経団連の委託調査によると、韓国のコンテンツの海外進出に伴う自国への収入額は、映画やドラマなど実写、音楽、スマートフォン向けのゲームで日本を上回る。

全体の政策の中での優先順位も不明確だ。日本のコンテンツの海外での市場規模は22年までの10年でほぼ3倍になった。コロナ禍の中でも堅調に推移した。政府はこの間、関連の予算を増減させ、ちぐはぐさは否めない。文化庁などによると、日本の国民1人あたりの文化への公的支出は21年時点で韓国の8分の1にとどまる・・・

連載「公共を創る」第193回

2024年7月18日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第193回「政府の役割の再定義ー日本全体の中長期的な課題と対策の検討を」が、発行されました。前回から、幹部官僚に自らの所管範囲を超えて、広く日本の在り方を考えさせる方策を議論しています。

官邸主導によって、省益や局益優先を排除しなければなりません。ただ、長い間「省」という単位で政治と社会が動いてきたこともあって、この思想と慣習は根強いものがあります。そして、官僚が省益を超えた発想を持とうとしたときに、逆にその担当分野に押し込めてしまう仕組みができています。いわゆる政官財の三角形です。各省と利害を一致させていた官僚以外の集団が、官僚の変化の足を引っ張る役割をしてしまうという構造です。これは、官僚機構側の問題というより、政党側の問題です。

次に、広く日本の在り方を考える組織についてです。各省や各局は、内閣の事務を分担管理するための仕組みです。「分担」や「所管」という観念から、離れることはありません。すると広く日本全体を考えるためには、それら分担管理の上に全体を考える組織と機能が必要になります。
内閣官房には、内政担当と外政担当の2人の内閣官房副長官補が置かれ、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整を行っています。職員は各府省から集められます。そのような場で、職員は所属府省の垣根を越えて課題を与えられ、検討し、その結果に応じて各省を指導します。この経験は、育ってきた府省を超えて、広く日本を考える良い機会になります。ただしこれは、あくまで内閣官房副長官補の下での事務的な調整部局であり、政治家や各省大臣を含めて方針を打ち出す組織ではありません。
内閣官房は、各府省の所管を超えて広く政府の課題を考えますが、その課題は首相から下りてくることが多く、「何が取り組まれていない課題」か「どのような課題を取り上げるべきか」という発案機能は備えていないようです。

会社にあっては、社長の下に企画部門があります。それは、人事・組織管理部門や予算・会計部門と共に戦略を担う重要組織です。組織を動かす基本的要素は、情報、人、資金です。県庁や市役所でも同じで、首長の下に企画、人事、予算があります。ところが中央政府では、予算は大蔵省・財務省があり、組織管理は総務省行政管理局がありましたが、人事についてはかつてはほぼ各省に委ねられていて、近年ようやく内閣人事局がつくられました。しかし企画にあっては、全体を見る部門とそこで働くべき人材は、いまだないのです。