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学童保育の問題

2024年8月15日   岡本全勝

朝日新聞が8月5日、6日と「学童保育はいま 反響編」を載せていました。「上 新年度、全職員が辞めた 保護者困惑」「下 待遇悪く集まらぬ人、子ども守れない

・・・「子どもを安心して預けられない」――。4月に連載した「学童保育はいま」に対し、たくさんの反響が寄せられました。放課後児童クラブ(学童保育)の現場では、何が起きているのでしょうか。読者の声をもとに取材しました。

「春には、今いる職員の大半が辞めます」
今年2月。関西地方の町にある学童保育に子どもを通わせる30代の女性は、職員との面談で聞かされて驚いた。
それまで町が担っていたこの学童保育の運営は、4月から民間企業に委託されることになり、運営者の変更に伴って職員も変わるという。
実際に4月になると、もといた職員5人が引き継ぎに残ったほかは、全員が辞めた。5月には引き継ぎの職員も退職し、新しい職員だけになった・・・
・・・童保育の需要が急増する中で、近年、行政が民間企業に運営を委託するケースが増えている。
全国学童保育連絡協議会(全国連協)が昨年、全国の約3万6千クラスを対象に行った調査によると、運営主体は公営27%、民間企業15%、NPO法人、社会福祉協議会、父母会や地域の役職者でつくる地域運営委員会がそれぞれ10%ほどとなっている。前年と比べると、公営や社会福祉協議会、地域運営委員会は減少しているのに対し、民間企業は増加傾向にあった。
全国連協の佐藤愛子事務局次長は、急増する学童保育の需要に自治体の対応が追いついておらず、アウトソーシングの流れもあって学童保育の民間委託が進んでいると指摘する。一方で、民間企業が学童保育の事業で利益を追求するあまり、保育の質や職員の待遇が悪化することもあり得るという。
佐藤さんは「学童保育の現場の人手不足や、職員の質の底上げという課題は民間企業だけの問題ではない」としたうえで、「どこが運営者であっても、市区町村の条例や国の『運営指針』に基づき、子どもたちにとって望ましい保育ができているかどうか、事業の実施主体である行政が責任を持って監督する必要がある」と指摘する・・・

・・・学童保育は、親が仕事で留守の小学生らを、放課後や長期休みに学校や児童館などで預かる事業だ。1998年施行の改正児童福祉法で法制化された。ただし、事業の実施は自治体の努力義務。
共働き家庭の増加を背景に、利用希望者は都市部を中心に増えている。こども家庭庁の調査によると全国の登録児童数は、5月1日現在の速報値で約151万5千人と過去最多だった。待機児童数も約1万8千人にのぼり、子どもたちの居場所確保が社会問題になっている。
受け皿が足りず、希望しても学童保育に入れず保護者が仕事を続けられないケースもある。重大事故も相次ぎ、狭い空間に多くの子どもが密集している施設もある。職員の過酷な労働環境や人手不足も課題だ・・・

学童保育は、働く親にとって保育園や小学校と同じように必須の施設だと思うのですが。

戒石銘

2024年8月14日   岡本全勝

8月8日発行の「公共を創る」第195回「官僚への信頼を取り戻すには」で、「戒石名」に触れました。
「爾俸爾禄、民膏民脂。下民易虐、上天難欺」。私が自治省に入ったときに、上司や先輩から教えられました。
旧二本松藩戒石銘碑が、有名です。しかし、その元となったのは、もっと昔の中国です。肝冷斎雑記、7月19日の「戒石銘(土風録)」に、その出典について、詳しく書かれています。

簡単にいうと、中国五代十国の時代(941年)に、後蜀の王・孟昶(もう・ちょう)が「儀石銘」という文書を作って、地方部局に配りました。孟昶の書いた銘の言葉は全体で二十四句(×4文字=96字)あります。
宋の太宗皇帝(在位976~997)は、そのうち四行(16字)を選んで書き物にして、天下の州県の役所に配りました。このとき名前を改めて「戒石銘」としたのです。

東京の火葬料、千葉の15倍

2024年8月14日   岡本全勝

8月1日の日経新聞に「東京の火葬料、千葉の15倍」が載っていました。

・・・日本に住むほとんどの人が人生の最後に迎える「火葬」。東京23区の料金は全国でも際立って高い。6月に9万円に上がり、6000円で済む千葉市の15倍になった。背景には、域内9カ所の火葬場のうち7つが民営という特殊性がある。電力や鉄道と異なり、寡占企業が価格を上げやすい状況だ。火葬は「事業」か「公共サービス」か――。その境界は曖昧だ。

火葬料は自治体によって異なる。総務省の小売物価統計(6月時点)によると、東京23区の料金は9万円と全国で断トツだ。2位の那覇市は2万5000円で、火葬が有料の自治体のなかで最安の津市(3000円)とは30倍もの開きがある。札幌市や新潟市などは無料だ。
23区とそれ以外で差が大きいのは、火葬場の運営主体が違うためだ。厚生労働省によると、東京以外のほとんどは地方自治体が運営する公営だ。公費の補助があり安く抑えられる場合が多い。一方の23区は9カ所のうち公営が2、民営が7。民営のうち6カ所を広済堂ホールディングス傘下の東京博善が手掛ける・・・

銭湯の入浴料は知事が決めます。火葬料も、入浴料に近い性格だと思いますが。

向大野新治著『議会学 増補普及版』

2024年8月13日   岡本全勝

向大野新治著『議会学 増補普及版』(2024年、吉田書店)を紹介します。2018年に出版された本の、増補版です。著者は、元衆議院事務総長です。

はしがきにも書かれているように、これまでの国会関係の本は、外国の制度との比較が主でした。他方で報道の記事は、党派と派閥の争いが中心です。その中間で、制度と実態とを橋渡しする解説や研究が少ないのです。この本は、そこを埋めてくれます。また、小話も豊富です。

西欧諸国を手本に、日本も議会制民主主義を導入しました。ところが、各国それぞれに「この国のかたち」があるように、制度は似ていても、運用と成果は大きく異なります。制度論ではなく、運用の実態とその問題、改善方策が重要なのです。
初めて当選した国会議員にも、よい教科書になるでしょう。

その点では、与野党の実態と機能、その事務局の仕組みと機能なども、近年の実態を書いた本も見当たりませんね。

韓国の少子化

2024年8月13日   岡本全勝

8月4日の日経新聞に、李仁実・韓半島未来人口研究院長の「少子化韓国は「崩壊し再生を」縮小社会へ生まれ変われ」が載っていました。

・・・韓国は世界で最も少子化が進む国のひとつだ。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が2023年に0.72と、1.20の日本をも下回る。韓国の今は出生率反転を見通せない日本の未来かもしれない。社団法人韓半島未来人口研究院(ソウル)の代表、李仁実氏に少子化国家が取るべき道を聞いた・・・

韓国の2023年の出生数は23万人で、2013年に比べ半減に近いとのこと。大統領は「人口国家非常事態」を宣言しました。李院長は「少子化問題を5年以内に解決しなければ、地球上から消える最初の国になる」という意見広告を出しました。

・・・私は韓国がいちど崩壊するのは避けられないと考えている。若い人の働き方の葛藤はすでに崩壊状態といえる。崩壊して機能不全になったら、その後は再生するしかない。これまでの法律や制度は膨張社会に合わせたものだった。今後は縮小社会に向かう。働き方、生き方を変え、完全に社会を作り替えなければならない。若い人の望みに合わせるのだ・・・