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経済停滞30年の原因私見1

2024年9月1日   岡本全勝

1991年にバブル経済が崩壊し、不況になりました。政府は何度も景気刺激策を打って、公共事業などを追加しました。しかし、経済は好転しませんでした。安倍第二次政権になってインフレ目標を導入し、「異次元の」と形容される金融政策をとりました。しかし、成功したとは言えません。黒田日銀総裁は、異次元緩和の導入時に2年で2%の物価上昇を目指すと表明しましたが、任期中の10年間では実現しませんでした。

私は、金利操作による「インフレターゲット」は景気が過熱した際に下げるときには有効でしょうが、景気拡大には効果がなかったと思います。
2000年代初めに、麻生太郎総務大臣から「金利を下げても、企業が投資をしない。そんなときに何をしたらよいか、日銀総裁をはじめ経済学者に聞いたが、想定していないので答えがない」と聞きました。金利を下げ、政府の需要を拡大しても、企業が投資を拡大しないと効果はありません。ケインズ経済学の限界です。

1990年代後半に日本企業は、雇用、設備、債務の3つの過剰に悩み、これらの削減に動きました(1999年版「経済白書」)。企業はコストカットに全力を挙げ、給料も上げず、投資にも消極的になりました。これは理解できます。ところが、それらの処理を終えた2000年代、2010年代にも、企業は設備投資を手控え、利益を内部留保に蓄えました。
ここまでは経済学の説明です。では、企業はなぜ投資を拡大しなかったか。ここからは、経営学、社会学の説明です。「その2」に続く。

繋がり失われ根なし草、民主主義の危機

2024年9月1日   岡本全勝

8月23日の読売新聞、宇野重規・東大教授の「民主主義って本当は楽しい」から。

・・・世界的な選挙イヤーの今年、大きな変化が起きている。英国では14年ぶりに政権交代し、米国では現職のバイデン氏が大統領選から撤退した。そして、日本では岸田首相が自民党総裁選に不出馬を表明し、来月の総裁選は 混沌こんとん としている。現職の相次ぐ退陣で政治に新しい風は吹くのか。民主主義研究で知られる東京大学の宇野重規教授(57)に聞いた・・・

宇野  大国でなぜ、この2人しか候補者がいないのか。日本でもなかなか清新な政治家が登場せず、民主主義は大丈夫かがテーマでしたね・・・
・・・候補者難の背景には政党の機能不全があります。支持基盤である組織が融解し、政党の顔としてふさわしい候補者を育てる能力、有権者に売り込むプロモーション能力が失われているからです。

――政治不信から、首相が退陣表明した日本も同じ?
宇野  はい。今、自分の 拠よ り所になる組織や団体に所属する人がどれくらいいるでしょう。人との 繋つな がりが失われ、人々は根なし草のようです。それが政治への無関心を広げ、米国の一部では、選挙結果を認めないという民主制への憎悪まで生んでいる。

――宇野さんが研究する仏の政治思想家トクヴィル(1805~59年)は『アメリカのデモクラシー』で、代議制より、自分たちでやれることは自分たちで決め、責任をとる自治の精神を重視しました。彼が今の日本を見たら……。
宇野  民主主義はないと言うかもしれません。地域組織は崩壊寸前。労組加入率も低く、盛んだった小学校の学区単位の活動も衰えている。

――外で遊ぶ子どもの声がうるさいとされる時代です。
宇野  結婚し、子を持つ家庭は勝ち組として反感の対象にすらなる。しかも、どの組織でも非正規の比率が高くなり、帰属意識が低い。これは東大などの大学も同じです。
「あなたの声で社会を変えよう」と言われ、何年かに1度投票しても、選挙が終われば忘れられる。それでは民主主義に失望するはずです。

――読売新聞の7月の世論調査では無党派層が54%と半数以上になっています。
宇野  しがらみのない社会こそ個人の自由と思われてきたのに、気がついてみたら社会から孤立した人ばかり。

430万番達成

2024年8月31日   岡本全勝

この画面の右上につけてあるカウンター。8月30日夕方に、430万番を達成しました。いつも見てくださっている方々に、感謝します。420万番は4月でした。「カウンターの記録

430万番を獲得されたのは、元・秋田県職員の佐藤雅彦さんです。400万番に続く快挙です。佐藤さんからの報告です。少し変えて載せます。
「昨日の17時頃にパソコンを閉じる直前に見たら、4299925なっていました。用事があって、車で移動。車中で待っている間に、スマホで地元のニュースなどを見て、その流れで全勝HPを読みました。
確かに、今どきファックスは使わないよなあ。となれば番号もいらないなぁ、と納得しながら画面を下方にスクロールしていくと・・・・・」

大企業は中小企業をいじめるな

2024年8月31日   岡本全勝

8月18日の日経新聞、小林健・日本商工会議所会頭の「中小を為替ヘッジに使うな」から。

―中小企業への手厚い支援は、生産性が低い「ゾンビ企業」を延命させるとの批判もある。

「それはファクトをみる必要がある。日銀や財務省の統計を分析した中小企業白書によると、製造業の2019〜21年度の実質労働生産性は大企業が年率で2.4%プラス、中小企業が2.3%のプラスだ。両者の生産性の差はほぼない」
「ところが『価格転嫁力』の上昇率をみると、大企業が0.9%プラスなのに対し、中小は2.3%のマイナスだ。この2つを足した結果、企業の収益力を示す1人あたりの名目付加価値額の上昇率は中小の場合、ゼロになってしまう。つまり大企業が十分な価格転嫁を認めないために、中小が高めた生産性が吸い取られている構図だ」
「だから大企業は中小が負担する原材料価格などの上昇を、必要なコストと考えて価格交渉に応じてほしい。『もうけから還元する』という考え方は変えるべきだ。同じサプライチェーン(供給網)にある場合、大企業は中小が作る物の原価がわかり適正利益も見えるはずだ。企業数で99.7%を占める中小企業が良くなれば日本の経済も良くなるのだから、これは大企業の社会的責任だ」

根本涼、竹内宏介記者の解説
「もうけから下請けにいくらか出すという『おぼしめし』スタイルの価格交渉ではなく、コストととらえて中小企業に払う部品代を上げてほしい」。小林氏が熱弁したのは自身が身を置いてきた大企業の意識変革だった。
利益が出たら還元するという強者の論理ではなく、中小企業が最初から収益をあげられる共存共栄の姿勢を求める。供給網の一角をなす中小企業の価格転嫁が進まなければ賃上げも滞り、デフレからの完全脱却の好機を逃すとみる。
商工会議所の生みの親の渋沢栄一は、社会貢献などの公益を図りながら事業の私益を追う重要性を説いた。小林氏の「価格転嫁は大企業の社会的責任」との言葉に通じる。
もちろん中小企業にもDXなどの努力が不可欠なのは言うまでもない。稼ぐ力を高めるための最適解を探る双方の努力があってはじめて、経済停滞を克服できる。

ファックス番号

2024年8月30日   岡本全勝

先日、霞が関の後輩と会ったときに、異動後の新しい名刺をくれました。最近は、名刺をもらうより、電子メールアドレスをもらってやりとりする方が便利です。で、あまり真面目に名刺を見ないのですが、ふと気がつきました。

右上に役職、中央に氏名、そして左下に住所、電話番号、電子メールアドレスが書いてあります。普通の名刺です。電話番号と並んで、ファックス番号が書かれています。
で、彼に質問しました。「今どき、ファックスでやりとりしているのかね?」と。
彼曰く、「いや~、国会議員からの質問をファックスで受けることはありますが、課長の私が使うことはありませんね」
で、やさしく助言・指導しました。
「今どき、ファックスでやりとりしたら面倒だから。すくなくとも名刺に記載するのはやめたらどうですか」と。

最近もらった名刺のいくつかを見ると、ファックス番号を書いているものがたくさんありました。そろそろ、職場でのファックス利用はやめませんか。パソコンを使っていない家庭では、ファックスはまだ必要でしょうが。