年別アーカイブ:2024年

転職経験者の3割「辞めた会社に戻りたい」

2024年9月19日   岡本全勝

9月2日の朝日新聞に「転職経験者の3割「辞めた会社に戻りたい」」が載っていました。

・・・過去に退職した会社に戻りたいと思ったことがあるか――。就職情報会社マイナビが7月、転職経験がある約1千人にそんな質問をしたところ、3割の人が「戻りたいと思ったことがある」と回答した。専門家は企業は一度離れた働き手との接点作りは人材獲得に「プラスの影響があるかもしれない」と指摘する。
調査は7月1~6日に、従業員3人以上の企業で働く20~50代を対象にインターネットで実施した。転職経験がある人の回答は1005件で、過去退職した会社に戻りたいと思ったことが「ある」と回答したのは32.9%だった。

理由は「育児中は残業の少ない職場にいたかったが、子どもが大きくなったため前職くらい給料が多く、残業できるようになりたい」などライフステージの変化に関する声のほか、「退職前に気がつかなかった良い面に気づいた」「以前働いていた会社や仕事内容が自分に合っていたと痛感した」という声があった。
また、転職経験者のうち退職した会社と連絡を取っていると回答したのは57.5%に上った。

人手不足から、企業は中途採用の活用が進む。
企業の中途採用実施率は2024年6月で41.8%だった。今年7月の調査では、企業が中途採用の比率を高くするなど人材が企業間を移りやすくする「人材の流動性促進」について、企業の採用担当者約850人のうち6割超が「プラスの印象」をもっていた・・・

『Public Administration in Japan 』に分担執筆

2024年9月18日   岡本全勝

Public Administration in Japan』(2024年、Palgrave Macmillan)が出版されました。私は、「第19章 Crisis Management」を分担しました。この本は、インターネットで読むこともできます。

国際行政学会が、各国の行政を紹介する本を出版するとのことで、すでにドイツが出版されています。日本では、縣・早稲田大学教授、稲継・早稲田大学教授、城山・東大教授が編者になって作られました。

前書きに、次のように書かれています
“Public Administration in Japan” was first edited and published in English in 1983 by TSUJI Kiyoaki, one of the most important founders of the discipline of Public Administration in Japan. No further monographs or edited volumes have been publicised in English since. Over the past 40 years, Japanese public administration has undergone considerable reform and modernisation in the areas of organisation, human resources, finance, and information in order to adapt to the diverse dynamics and changes in domestic, international, and global society. Therefore, this book is an attempt to describe and analyse the current situation of public administration in Japan by looking at the central and local levels of governmentGovernments in terms of institutional framework, internal structures, and external relations.

Considering more dynamic aspects,... crisis management in general, and a special case of Fukushima should be included in our discussions.

2年前に、稲継先生から執筆の依頼を受けました。「第20章 東日本大震災なら、書けますが」とお答えしたのですが、「危機管理について書ける人が見当たらないので」とのことでした。本格的な英語の論文を書くのは、初めてです。内容や表現なども、稲継先生の指導をもらって書きました。

政治学や行政学では近年まで、危機管理は対象とされていませんでした。戦後の日本では、台風を除き大きな自然災害は少なく、国際的にも平和でした。1990年代に入って、大規模自然災害が多発し、東アジアの国際緊張が高まり、さらにはパンデミックが襲いました。それに応じて、政府の対応も強化してきました。
近年は、行政学研究者も実務者も、危機管理について書くことが増えましたが、全体を見渡したよい文献がありません。私は自然災害対応は知見があるのですが、安全保障などは専門ではないので、後輩や知人の力を借りて(最新の資料をもらい、意見をもらい)書き上げました。もちろん日本語です。これを知人や関係者に読んでもらい、意見や指摘をもらって加筆しました。改めて、御礼を言います。
危機管理全般についてバランスよく書くのは、難しいです。もっといろいろと書きたかったのですが、分量の制限があるので、断念。このような書物の性格上、仕方ないですよね。

それを業者に英語に翻訳してもらったのですが、(専門外の人なのか)できばえがよくなく、稲継先生が手を入れてくださいました。息子も英語ができるので、目を通してもらいました。さらに出版社が、英語を母語とする人に見てもらって、ようやく完成しました。
最初の日本語原稿が完成したのが2022年秋ですから、それから2年もかかっています。その間に実態が変わった部分は、途中で加筆しました。

こんな立派な本に書かせてもらって、光栄です。ほかの執筆者は大学教授です。私は日本行政学会会員ではあるのですが。
少々値段が高いですが、日本の行政が世界にどのように紹介されているか関心のある方は、買ってください。本棚に飾ると、格好良いですよ(笑い)。『Public Administration in Japan』の右上から直接買うこともできます。「アマゾンで購入」
その2」に続く。

最低賃金では、従業員が集まらない

2024年9月18日   岡本全勝

8月30日の朝日新聞に「最低賃金では、もはや人が来ない 観光地、活況でも人手不足 「仕事逃す」時給上げても募集」が載っていました。

・・・全都道府県の最低賃金(時給)の改定額が、激しい引き上げ競争の末に決まった。ただ、最低賃金水準ではもはや働き手が確保できず、最低賃金を大きく上回る時給での募集も目立つ。

全国有数の観光地・奈川県箱根町。今月のお盆期間中、箱根湯本駅前の商店街は国内外の観光客でにぎわっていた。「2019年以降、地震や台風の被害、新型コロナと続いた。ようやく長いトンネルを抜けつつある」。同町観光協会の佐藤守専務理事はそう評価しつつ、「コロナで離職者も多く、今は人手不足が深刻だ」と語る。
箱根町を管轄するハローワーク小田原の求人(6月分)で最も多いのはサービス業で、パートの有効求人倍率は3倍近い。募集時給の下限は平均1311円で、現状の最低賃金(1112円)より199円も高い。
神奈川県の最低賃金審議会は今回、国側の目安通り50円増の1162円に引き上げた。審議の場で、使用者側は大きな不満を述べるというよりも、「仕事が目の前にあっても見送らざるをえないことがある」と人手不足を訴えた。
採決でも、使用者側は一人も反対しなかった。10年度以来、14年ぶりの全会一致だった・・・

Q 日本の最低賃金は他の国と比べてどうなのか。
A 労働政策研究・研修機構の調査によると、先進国の中で低水準だ。1月時点では、日本はオーストラリア、ドイツ、英国、フランスの半分程度で、カナダ、米国、韓国よりも下回っている。

各国の最低賃金(2024年1月1日、円換算)が図で載っています。オーストラリアが2241円、ドイツが1943円、イギリスが1893円、韓国が1082円、アメリカ(連邦)1040円。日本は1004円です。

『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』

2024年9月17日   岡本全勝

小野寺拓也・田野大輔著『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(2023年、岩波ブックレット)を、積ん読の山に見つけて読みました。
宣伝文には、次のように書かれています。
「「ナチスは良いこともした」という言説は、国内外で定期的に議論の的になり続けている。アウトバーンを建設した、失業率を低下させた、福祉政策を行った――功績とされがちな事象をとりあげ、ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証。歴史修正主義が影響力を持つなか、多角的な視点で歴史を考察することの大切さを訴える」

本書では、それらの「俗説」を取り上げ、「その政策がナチスのオリジナルな政策だったのか」「その政策がナチ体制においてどのような目的を持っていたのが」「その政策が「肯定的な」結果を生んだのか」という3つの視点から検討します。
どの政策も、ナチス独自で考えたものではなく、既にドイツや他国で試みられていたものであること。各政策が、それぞれに適切な目的を持っていたこともあるが、次第に戦争へと利用されること。フォルクスワーゲンも、国民には1台もわたらなかったように、かけ声倒れが多かったことを、説明します。

ヒットラーと側近も、国民の支持を獲得するために、様々な国民向けの政策を、大胆に実施します。もっとも、それが持続し、成果を出すところまで行っていないのです。
誤解を恐れずに言うと、その目的や結果を別にして「既にドイツや他国で試みられていたものを、ナチスが大々的に実行した」ことは、評価されてもよいと思います。それができないのが、通常の政治ですから。「だから独裁政治が良い」とは言いません。

ブックレットなので、100ページあまりで、読みやすく、お勧めします。

トー横相談所 利用1500人超

2024年9月17日   岡本全勝

8月30日の読売新聞東京版に「トー横相談所 利用1500人超 開設2か月で 想定上回りトラブルも」が載っていました。

・・・新宿・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれるエリアで若者が犯罪に巻き込まれるのを防ぐため、都が5月に開設した相談施設の利用者が、開設2か月で1500人以上に達した。想定を上回る好調な滑り出しだが、トラブルも起きており、都は相談員を増やすなどの対策を講じる。

相談施設「きみまも@歌舞伎町」は5月31日、トー横からすぐの都健康プラザ「ハイジア」内にオープンした。開所日時は火~土曜の午後3~9時。ソファを置くなどしてリラックスできるようにし、社会福祉士などに相談もできる。
都の29日の発表によると、施設の利用者は6月末までの約1か月が延べ446人で、7月は延べ1138人。約7割がリピーターだった。性別は男女ほぼ同数で、年代別では10歳代が40・4%、20歳代が26・6%など。最年少は12歳、最年長は38歳だった。親子関係に悩んで家出した女子中学生(14)の相談に乗り、最終的に親元へ帰させたり、生活苦を訴えた20歳代のホストの男性に就労支援団体を紹介したりした・・・

・・・一方、利用者が、他の利用者に売春の客を紹介しようとしたり、オーバードーズ(市販薬の過剰摂取)を自慢げに話したりするケースも確認された。相談員は通常、利用者同士がこうしたやり取りをしないよう注意しているが、利用者が多すぎて目が行き届かなかったという。
そのため、都は一度に利用できる人数を最大20人程度に絞った。9月3日からは利用者にカードを発行し、入場時に提示してもらう。現在5、6人の相談員の増員や、警察OBによる見回りも行うという・・・