年別アーカイブ:2024年

万葉集のアサガオは桔梗?

2024年10月11日   岡本全勝

山上憶良が「秋の七草」について、二首詠みました。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」

そして、この朝顔を桔梗だという説を聞いたことがあります。
私は、この説に疑問を持っていました。桔梗の花は朝だけではありませんよね。数日咲いていたと記憶しています(不確かです)。朝顔と名付けられるくらいですから、朝に開くそして昼には閉じるくらいでないと、そんな名前はつかないでしょう。
朝顔が夏に咲くので、秋の七草にはふさわしくないと考えたのかもわかりませんが、我が家の朝顔は10月になっても咲いています。「温暖化の影響だ」「当時の朝顔とは異なる品種だろう」という批判もあるでしょうが。

インターネットで調べたら、「朝顔、桔梗、槿、昼顔、のあさがお説の検討」に次のように書かれていました。
・・・古代のアサガホはカホガハナのうちの、朝に咲くことが特徴である花である。このアサガオには、現在の朝顔、桔梗、槿、昼顔、のあさがおなどの説がある。朝顔は十月十一月に咲くこともある。源氏物語のアサガホは、長月に咲いている例もあるが、つる性の植物で、現代と同じ朝顔と考えてよい。桔梗説について。源氏物語にも枕草子にもキキヤウとアサガホとが出てくるので、この時代には別の植物をさしていたことは明らかである・・・

アメリカ企業、出社義務へ

2024年10月11日   岡本全勝

9月18日の日経新聞に「アマゾン、社員に週5日出社義務付け」が、22日には「米企業に「出社強制」の波 大手6割が週3日以上義務付け」が載っていました。

・・・米アマゾン・ドット・コムは16日、世界の社員に原則として週5日出社するよう求めた。2025年1月に適用する。新型コロナウイルス感染拡大後、在宅勤務が続くなかで人員が急増した。企業文化に緩みが出たとみて引き締めを図る。米テクノロジー大手によるオフィス回帰の決定は他社にも影響しそうだ。

アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)が従業員宛てのメモを公開した。同氏は「過去5年を振り返り、オフィスで一緒に働くことの利点は大きいと確信している」と記した。社員同士が学び合ったり新たなアイデアを生み出したりするには、在宅勤務ではなく出社が効果的だと説明した。
アマゾンは新型コロナのまん延で事務系社員の大半が在宅勤務となったが、23年5月には週3日の出社を義務付けていた。コロナ前の週5日勤務に戻すと公表したのは、米テック大手では初めてとなる。米グーグルや米メタは週3日出社の社員が多い。

アマゾンには倉庫作業員らを含め、24年6月末時点で世界に153万人の従業員がいる。物流にかかわる従業員は出社が必須の業務が多い。今回の指示はオフィスで働く事務系や技術系社員を対象にしている。
本人や家族が体調不良の場合や出張中、エンジニアが集中できる作業時間を確保する際には例外を認めるが、これら以外では、従業員は出社を原則求められる。
アマゾンは西部ワシントン州シアトルと東部バージニア州アーリントンの2カ所にある米国本社では、フリーアドレスの採用をやめて固定の座席に戻すとも明らかにした・・・

・・・ただし、組織が急拡大するなかで、熱心に働かない社員が目立つようになったほか、中間管理職が必要以上に増える問題が起きた。コロナ特需が落ち着いて成長が減速した22年秋以降、本社部門を中心に計2万7000人の大規模な人員削減に踏み切った。人員を減らした後、働き方にもメスを入れるようになったのが現状だ。
アマゾンの週5日出社強制は「企業文化」を強固にする狙いという。ジャシー氏は「当社の独特な文化は、過去29年の成功の最も重要な要素の一つだ」と指摘した。在宅勤務を続けていては、社員の当事者意識の強さや素早い意思決定、倹約といったアマゾンの文化の維持が難しいと判断したという。
働き方と合わせて組織の構造も変える。25年3月末までに、管理職のマネジャーに対する現場担当者の割合を大幅に増やす。管理職の採用を増やした結果、組織に階層が増えたことを問題視した。
ジャシー氏は「意思決定会議のための事前会議に向けた事前会議」が開かれるようになったと指摘した。フラット化して会議や社内承認プロセスを減らし、素早く動けるようにする・・・

連載「公共を創る」第201回

2024年10月10日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第201回「政府の役割の再定義ー「官僚主導」の実態」が、発行されました。政治主導の下での行政の役割を考えています。まず、かつての「官僚主導」の問題を説明しています。

官僚主導が、内閣の意向を無視して「勝手な」政策を考えて実現させたなら、それは大きな問題です。しかし、現憲法ではそのようなことはできようはずがありません。官僚主導として批判された問題の本質は、別のところにあります。官僚が考える政策案は、与党が決定権を持っていたのです。

予算や法律案は、閣議決定の前に与党の了解を取る仕組みが定着しました。これによって、与党は、内閣案、官僚の作った案に拒否権を持ったのです。与党の審査は、各部会で行われ、内閣より与党の部会が力を持ったのです。
「官僚主導」は、政策決定において官僚機構が大きな権力を保有しているという意味ではありません。本来の判断者である首相や大臣よりも、与党の各部会が主導権を持っており、その間の結節点として活動していた官僚機構が主導しているように見えた状況だった、と言えます。

部会と各省の利害が一致する場合はよいのですが、与党議員間で意見が一致しない場合に、その間で板挟みになり、官僚が立ち往生することもあります。
官僚が考えた政策で、与党部会や有力者の反対で実現しなかったり、実現が遅れたりしたものもあります。農業政策、文教政策、社会保障政策などです。財政再建もそうでしょう。こうしてみると、どう考えても、官僚主導などという代物ではありません。

官僚主導が可能な範囲は、政治的決断を伴わないで済む事案です。その範囲内でなら、官僚は良い仕事をするでしょう。逆に、政治的決断が必要になると、官僚主導は機能しません。例えば、外交方針の転換、国民に負担を問うことです。

韓国「日本に好印象」過去最高4割

2024年10月10日   岡本全勝

9月20日の日経新聞に「韓国「日本に好印象」過去最高4割 世論調査、70代改善」が載っていました。全体で12ポイント、70歳以上では28ポイントも上昇しています。過去最高。でも4割です。反日感情は強いです。

・・・韓国のシンクタンク「東アジア研究院」は19日、韓国人に日本に対する意識などを聞いた世論調査の結果を発表した。日本に良い印象を持つ人が4割と過去最高になり、良くない印象の割合とほぼ並んだ。保守層が多い70代の好感度が大きく改善した。
8月にオンラインで調査を実施し、18歳以上の韓国人1006人から回答を得た。日本に良い印象を持つ人は41.7%と前年から12.8ポイント上昇し、2013年の調査開始以来で最高となった。「良くない」は42.7%で過去最低だった・・・

・・・反日感情が強いとされてきた中高年で改善が目立った。70歳以上は「良い」と答えた割合が28.3ポイント上昇の48.9%と、全世代で最も高かった。孫冽(ソン・ヨル)院長は「与党支持が多い60〜70代が尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の対日政策を評価しているのでは」と分析した。

日韓関係の重要性については79.7%が「重要だ」と回答した。理由として「重要な貿易相手であり、経済や産業の面で相互依存性が大きい」が60.1%と最も多く、「歴史的、地理的、文化的な関係が深い隣国」が46.9%で続いた。
訪日経験がある人は過去最高の60.8%となり、経験のない割合を初めて上回った。訪日歴がある612人のうち、22.4%が「良い印象に変わった」、55.1%が「良い印象が続いた」と好感を示した。
訪日経験者が増えたのは「韓国の経済力が伸び、日本に観光や出張で行く負担が減った」(曹氏)ことも影響しているとみられる・・・

無関心と消極性2

2024年10月9日   岡本全勝

無関心と消極性」の続きです。私が危惧する日本社会の劣化、もう一つは消極性です。無関心は関係資本の劣化であり、消極性は文化資本の劣化です。

日本社会発展の基礎にあったは、国民の向上心です。江戸時代には識字率が高く、明治以降は職業や教育が選ぶことができるようになり、志を持った子どもや若者が、それぞれの道で努力するようになりました。学歴を高め、立身出世に励んだのです。それが、官民ともに日本の発展を支えました。

この30年間の経済停滞の大きな理由は、産業界における積極性の低下であると私は考えています。選択と集中といった言葉で守りに入り、新しい分野、製品やサービスに挑戦しなかったのです。行政においても、行政改革の旗印の下で削減を続け、新しいことへの対応が遅れました。ここには、西欧から輸入するものがなくなり、自ら考えなければならなくなったという環境変化もあります。

教育においては、学歴志向は続いています。しかし、進学率が頭打ちになったように、高学歴化は止まりました。他方で、高校は全入、大学も望めば入れるという状況で、学生は努力しなくても入学と卒業ができるようになりました。そして人手不足で失業率は低く、高望みしなければ就職は容易です。すると、一部の学生を除き、多くの学生にとって学業に励む必要もなく、学校はレジャーランドに堕します。学校がかつてのような、立身出世の準備の場ではなくなったのです。

発展途上時代は「努力すれば暮らしはよくなる」という社会の現実と通念が、国民を努力に駆り立てました。しかし成熟社会に変化すると、その現実と通念は薄れます。それが向上心や挑戦心を低下させるようです。すると、ますます社会は停滞します。

一般国民がそのようになっても、エリートと呼ばれる人たちが積極的に挑戦すれば、社会の進展と成長は維持できるでしょう。しかし戦後日本は、戦後民主主義と言われる社会通念で、エリートを否定しました。エリートを育てる必要があるとも考えられますが、それはまた別の機会に議論しましょう。