年別アーカイブ:2024年

連載「公共を創る」第175回

2024年1月25日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第175回「政府の役割の再定義ー官僚の職場を巡る課題─その解決に向けて」が、発行されました。成熟社会の官僚に必要とされる能力として、構想力を説明しています。

官僚には所管している政策の知識だけでなく、広い分野について日本の、そして世界の動向も踏まえることが求められます。特に幹部官僚は、特定の業界の発展やサービスの提供といった「部分最適」を超え、例えば省の所管政策を全体として考える「所管の全体最適」を考えなければなりませんが、それをも超え、所管政策もまたその一部である日本と世界のことを考える「大きな全体最適」の思考が必要となります。がむしゃらに所管政策を広げて「所管の全体最適」を確保したとしても、数十年の単位で見れば「大きな全体最適」になっていなかったこともありえます。
ただしこの問題の基本には、日本社会がどのような方向に進んで行くのか、将来の構想が必要です。各省と各局は、それに従って目標を考えるからです。将来の日本社会をどのようなものにするか。その構想は本来、首相をはじめとする政治家の役割です。

もう一つ、これからの官僚には、自らの人生を企画するという能力、あるいは意思が必要になることも挙げておきます。

官僚に求められるものの変化の次に、職場側の変化を議論します。若者に敬遠される職場をどのように改善するかです。その第一は、労働時間の短縮です。

英才教育の限界

2024年1月25日   岡本全勝

1月7日の朝日新聞「天才観測5」「育てる 大成の条件「才能」だけでは」から。

・・・「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」。文部科学省が「これまで我が国の学校において取組はほとんど行われてきませんでした」と今年度から始めたのは、天才児、ギフテッドと呼ばれるような子への支援だ。
ただ、民間でのギフテッド教育で先行するNPO法人翔和学園(東京都中野区)の中村朋彦さんは「高レベルの集団で英才教育をする、そんな単純なものではなかった」と振り返る。

発達障害者支援のフリースクールを運営する中で、IQ(知能指数)が高い子の存在に注目した。「未来のエジソンやアインシュタインを育てる」と2015年、IQ130以上の小学生を選抜した特別クラスを設けた。子どもが興味あるテーマに特化した学習を行い、外部から有識者を招いた講義も。学習発表では、小学生が相対性理論について言及もした。
ところが、将来の働き場と想定したIT企業の技術者や大学の研究者らを視察に招くと「形式的な知識はあるが、基本的概念の理解が浅い」と評価が芳しくなかった。選抜して特別扱いしたことによる弊害からか、周囲の助言にあまり耳を傾けない、実験に失敗した時の諦めが早いといった傾向も見受けられるように。
「子どもたちの能力うんぬんでなく、私たちの指導方針が誤っていた」と特別クラスは18年に解体。教訓は「発達に飛び級はない。やはり基礎学力、協調性、やり抜く力が大事」ということ・・・

近所のお寺が高齢者施設に

2024年1月24日   岡本全勝

我が家のある杉並区高円寺(といっても広いのですが)には、お寺がたくさんあります。各寺院の説明を読むと、江戸時代に江戸の中心地から移ってきたものが多いようです。地下鉄新高円寺駅近くに、円福寺別院というお寺とお墓がありました。私の散歩の経路の一つにあります。
結構広い敷地です。椿椿山の墓があると立て札もありました。私もその説明書きで知ったのですが、椿椿山は、江戸時代後期の日本の文人画家です。

先年からお墓の片付けが進んでいて、「空いた場所には新しく募集するのか」と思っていました。昨年から工事が始まり、更地になりました。そして高齢者施設が建ちました。時代を感じさせます。
椿椿山の墓も、移されたのでしょうね。

高齢者をお手伝いに派遣

2024年1月24日   岡本全勝

1月5日の読売新聞都民欄に「「もう一人の母」家庭に」が載っていました。高齢女性をお手伝いに派遣する事業ををしている「ぴんぴんころり」の、小日向えり社長を取り上げています。この記事は、起業家の特集のようです。

・・・売りは「おせっかい」の推奨。掃除や料理などの家事代行にとどまらず、保育園の送り迎えや買い物、人生相談まで「業務」は多岐にわたる。現在、首都圏を中心に、1600人以上の「お母さん」が登録し、約500世帯が利用する。「単なる家事代行ではなく、より身近な『お母さん』という立場で、高齢女性のスキルを生かしてほしかった」と話す・・・

長年、和食居酒屋を経営するなどしてきた祖母がリタイア後に元気をなくした姿を見て、高齢者の就労支援事業を始めようと決意した。「高齢者には働くことが一番のビタミン剤と気がついた」。17年7月に「ぴんぴんころり」を設立し、19年3月から「東京かあさん」のサービスを開始した。
スタート直後は、新聞やテレビにも取り上げられたが、コロナ禍に見舞われ、利用が激減した。対面が前提のため、6割の利用者がサービスを休止した。
「別の事業を考えないと……」と、手作り総菜の宅配サービスも始めたものの反応は今ひとつ。苦しい時期が続いたが、コロナ禍が長引くにつれて「東京かあさん」の利用申し込みが増えてきた。在宅勤務する人が増え、自宅に派遣スタッフを呼びやすくなったことが背景にあった。飲食店の休業によって職を失い、スタッフとして登録を希望する高齢者も増えていた・・・
・・・利用者の8割が子育て世帯だ。実家が遠いなど、実の親に頼れない世帯が多く、「『東京かあさん』がなければ生きていけない」といった声も寄せられる。「『東京かあさん』を高齢者と子育て世帯の両方を助けるサービスに育てたい」と意気込む・・・