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コメントライナー寄稿第16回

2024年2月27日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第16回「工程表のない政治」が2月22日に配信され、27日のiJAMPにも転載されました。
今回は、昨年秋に、岸田文雄首相が打ち出した所得税減税を取り上げ、政治手法のあり方を議論しました。

首相が政策を打ち出す際には、「突然に」と「議論を経て」の二種類があります。前者は、国民が想定していない政策を打ち出すことで、首相の指導力を見せる演出効果があります。後者は、首相が課題と方向を提示しますが、議論を積み重ね、最後に首相が決断します。

民主主義は有権者の意見に基づく政治であり、その意見を集約する手続きを経る仕組みです。審議会や政党内、議会での議論を通じて、国民に争点を示していく過程が重要です。これによって、すべての国民が賛成しないまでも、国民の間に納得が生じます。難しい課題であるほど、国民の間には意見の相違があります。
首相は突然に指導力を見せることにではなく、国民に納得してもらうためにこそ、戦略を考える必要があります。中曽根行革では、「工程表」という言葉が使われました。

首相の役割は、政治課題を選び、解決していくことです。人を動かして、それを実現することが腕の見せ所です。政治力とは、人を動かすことです。
首相が打ち出す政策には、全体の目標と体系が必要です。各政策に工程表が必要なのと同様に、首相が目指す日本に向けての工程表が必要です。

70歳以降も働く、39%

2024年2月27日   岡本全勝

2月19日の日経新聞1面に「70歳以降も働く、最多39% 将来不安「経済」7割、「健康」上回る」が載っていました。

・・・日本経済新聞社は2023年10〜11月に郵送で世論調査をした。働き方・社会保障に関する質問で何歳まで働くつもりか尋ねたところ、70歳以上の回答が39%で、18年の調査開始以来最も高かった。将来不安に感じることは7割が「生活資金など経済面」をあげた。
何歳まで働くかを聞くと「70〜74歳」が21%、「75歳以上」が18%。「75歳以上」に限っても18年調査よりも5ポイント高く、調査を始めてから最高を記録した・・・

収入は欲しいですが、それ以上に、生きがいとして働くことのできる場所が欲しい人も多いと思います。

ただし「長く働くための技能向上」は14%でしかありません。これは2018年の調査以来横ばいで、働き続ける以降は多くなっても、そのための技能を身に付ける意欲は高まっていません。
どのような技能をつけたらよいのか、多くの人は分からないのではないでしょうか。リスキリング(学び直し)という言葉が流行っていますが、内容が良く分からないのです。IT(情報通信技術)とかDX(デジタルトランスフォーメーション。これは日本語にすると何というのでしょうか)が重要と報道は騒ぎますが・・・。

東奥日報に載りました

2024年2月26日   岡本全勝

2月18日の東奥日報(青森県の地方紙)「大島理森の道8 東日本大震災」に、私の発言「官邸と役人の能力引き出す」が載りました。大島理森・元衆議院議長を取り上げた連載です。今号は、大島先生が自民党の東日本大震災復興加速化本部長時代です。

自民党が政権に復帰したのは、2012年12月。大島先生が自民党復興加速化本部長に就任され、直ちに党本部の本部長室に呼ばれました。「復興を進めるために何をしなければならないか」と問われ、私が「あれも、これも、それも・・・」と列挙すると、バーンと机をたたいて、「急ぐものはどれだ」と一喝されました。
そこで、住宅建設を最優先にすることが決まりました。当時の私は、取り組むべき課題はそれぞれ重要で、どれもこれも急がなければならないと悩んでいました。それを整理して、優先順位をつけてくださいました。これは、官僚にはできないことです。

次に、復興の大まかな方針を決めてくださいました。各省や東電を呼んで、ご自身で論点を整理されたのです。もちろん、お手伝いはしましたが。そしてそれを紙にして、「政府への提言とする」とおっしゃいました。
私は、面倒なことになるなあと思いつつ、大島先生の指示で官邸に向かい、菅官房長官と安倍首相に説明しました。お二人は「どうすればよいのか」と聞かれたので、「この提言を総理と官房長官が受け取っていただき、横にいる復興大臣に『このように進めるように』と指示を出していただければ」と答えました。大島先生は、連立与党である公明党の加速化本部長である井上義久先生に連絡を取られ、井上先生にも説明に行きました。そして、両党の提言として、段取り通り進みました。その後、定期的に与党提言を使って、難題を進めることができました。

官僚を使いこなす政治主導、そして官邸を動かして実現する素晴らしい実例でした。

定額減税の事務負担

2024年2月26日   岡本全勝

2月14日の日経新聞に「定額減税、事務負担に苦慮 企業・自治体1回限り」でも改修」が載っていました。

・・・岸田文雄首相の肝煎り政策である定額減税を盛り込んだ所得税法改正案が13日の衆院本会議で審議入りした。減税開始まで半年を切り、企業や自治体からは事務負担への懸念が強まってきた・・・
詳しくは本文をを読んでいただくとして。事務負担の課題は、大きく3つあるようです。
一つはこの記事にあるように、1回限りの減税でも、企業などは従業員への給与支払いの際に源泉徴収するので、そのシステム改修が必要です。
もう一つは、今回の減税は所得税3万円、住民税1万円で合計4万円。家族がいるとその人数分です。一月の源泉徴収額がこの数字を超えていれば、その金額を減額すればすみますが、引き切れない場合は、翌月以降から引き去ります。その計算が必要です。

さらに面倒なのが、次の問題です。
税金を納めていない低所得世帯は、この減税の恩恵を受けることができません。その世帯には10万円給付します。これで二本立てになります。さらにこの間に、税金は納めているけれども、減税額までは納めていない世帯があります。その世帯には、減税しきれない額を給付します。これはかなり複雑になります。

そもそも減税は、税金を納めていない、あるいは少ない納税額の低所得世帯には効果がない、効果が少ない政策です。その人たちを念頭に置くなら、減税より給付金の方がはるかに簡便です。マイナンバーカードに銀行口座を紐付けておけば、簡単に給付できます。