パミラ・カイル・クロスリー著『グローバル・ヒストリーとは何か』(2012年、岩波書店)を読みました。『中央公論』11月号「世界史を学び直す100冊」で興味を持ったので。
歴史学の変遷や歴史の見方に興味を持って、いろいろ読んだことがあります。「歴史学の擁護」
書店の宣伝文には、「急速なグローバル化が進展するなか,一国史的,地域史的な枠組みを脱して,人間の歴史を世界大,地球大で捉える歴史研究が注目を集めている.それは従来の歴史学と方法論的にどう異なるのか.いかなる理論とナラティヴを特徴とするのか.グランドスケールの歴史叙述を広く見渡しながら,新たな歴史ジャンルの特色を浮き彫りにする」とあります。
グローバル・ヒストリーは、世界史とは違うようです。各国や各地域の歴史を並べるのではなく、地球規模での「流れ」を読み解くと言ったらよいでしょうか。それぞれの地域での独自の発展とともに、共通した発展と、それらの間の相互作用を重視します。
ウォーラーステインの世界システム論や、ジャレッド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』、ウィリアム・マクニールの『世界史』などが取り上げられます。ヘーゲルやマルクスもです。
著者は、それらの視点を「発散」「収斂」「伝染」「システム」の4つに分類します。この分類は納得できます。
次に期待したいのは、これら歴史学の成果を踏まえた「世界史」またはグローバル・ヒストリーです。一冊の本にするのは、難しいのでしょうか。