11月9日の読売新聞に「上司代行サービス 管理職なり手不足 外部人材活用」が載っていました。
・・・会社の中核を担う課長や部長を外部から送り込む人材紹介の新たなサービス「上司代行」が注目を集めている。働き方や雇用形態が大きく変わる中で、管理職への昇進を断る若手社員が増えているためだ。かつては出世の登竜門であこがれの対象だった管理職に、何が起きているのか。
「上司代行」サービスを行っているのは東京都渋谷区の「Hajimari(ハジマリ)」。プロのフリーランス人材の紹介を手がけていたが、2年前から専門家を「上司」として企業に紹介するサービスを始めた。紹介先の上司に取って代わるのではなく、補佐して業務の推進や部下の育成にあたる。新入社員を指導する「メンター(教育係)」の管理職版ともいえる。
紹介する人材は大企業で新規事業の立ち上げに携わったり、組織の活性化で実績をあげたりした人ばかり。最近では大企業への紹介も増えており、中でも「代行上司に将来の管理職候補を育成してほしい」という依頼が多い。人材豊富なはずの大企業も、社外から上司を招き、将来の管理職候補の育成を委ねるほど、中間管理職の「なり手不足」は深刻になっている。
日本能率協会マネジメントセンターが昨年、従業員300人以上の企業に勤める一般社員1116人に行った調査では、77%が「管理職になりたくない」と答えている。32%は「今の仕事は楽しいが、管理職はいやだ」と答え、なりたくない理由のトップ(複数回答)は「自分には向いていないから」(52%)。以下「負荷が報酬と釣り合っていない」(30%)、「責任が重い」(26%)と続く。負担や責任の大きさから、管理職を目指す前から自分には不向きだ、と考えていることがうかがえる。
経営幹部と部下の板挟みに悩む「中間管理職の悲哀」は以前からあった。しかし、最近の管理職は、自ら現場に出る「プレーヤー」としても、部下を管理する「マネジャー」としても、以前より格段に負荷が増している。
働き方改革によって社員の残業時間は10年前の半分に減り、部下と分担していたプレーヤーの仕事を一人で背負うことが増えた。マネジャーとしてもパワハラ、セクハラに神経を使い、SDGs(持続可能な開発目標)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、コンプライアンス(法令順守)といった職場環境の変化にも対応しなければならない・・・
社員や職員と管理職に求められるものは異なります。社員や職員の全員が管理職に向いているわけではなく、また望んでいるわけではありません。
記事には、次のようなことが書かれ、諸外国との年収比較も載っています。日本の管理職の年収の低さは驚くばかりです。
・・・にもかかわらず、日本の管理職の報酬は国際的にも低い。米コンサルティング大手、マーサー社の昨年の調査結果によると、日本の一般的な管理職の年収は先進7か国(G7)では最低で、タイや中国よりも低い。マーサージャパンの伊藤実和子プリンシパルは、「終身雇用、年功序列の考え方が残る日本企業では、管理職は給与を上げなくても辞めないと見られているのではないか。忙しくなっても報酬が増えなければ、社員が管理職になるメリットを感じにくいのも無理はない」と話す・・・