連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第203回「政府の役割の再定義ー政治主導は成果を出しているか」が、発行されました。
かつて経済と社会が発展期だった時代には、官僚主導が効果を発揮しました。しかし日本が成熟社会になって、それが行き詰まり、政治主導が求められるようになりました。
1990年代にいろいろな行政改革が試みられ、最後に政治主導が改革の対象となりました。2001年に実施された中央省庁改革です。
中央省庁改革と呼ばれますが、その第一は内閣機能の強化でした。例えば、内閣総理大臣の指導性の強化として内閣総理大臣が閣議で案件を発議できるようにすること、内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化として内閣官房の体制強化と内閣府の設置などが行われました。
私はその具体化を行った中央省庁等改革推進本部事務局で、行政の減量担当参事官を務めました。
実行された政治改革には、1990年代の前半に行われた小選挙区制の導入など政党と選挙に関する改革(選挙制度改革、政治資金制度改革)と、2000年前後に省庁改革と同時に行われた政治主導への改革がありました。前者についてはすでに30年近くが経ち、省庁改革からは四半世紀が経とうとしています。それぞれに定着し、今となってはそれが当たり前だったように、何の混乱もありません。
しかし、当初考えられたような制度の機能を発揮して目的を達しているかという点では、完全な成功とは言えません。
政党と選挙に関する改革では、二大政党制を目指しました。政権交代はあったのですが、その後、自由民主党は政権に復帰し、非自民勢力は分裂して、二大政党制は定着していません。
政治主導は、総体としては現状ではまだ及第点はもらえないと評価しています。政治家と官僚が役割分担を明確にして成熟社会において良い成果を出すという、政治主導の目的はまだ道半ばで達成されていないと考えるからです。