桜の落ち葉

公園や道路沿いの桜並木で、赤くなった落ち葉がたくさん散っています。きれいですね。木々の紅葉はそれぞれに素敵ですが、私は落ち葉では桜が特に好きなようです。もう一つは柿です。なにかしら、心に染みるものがあるのです。

銀杏の落ち葉は黄色一色でそれなりにきれいですが、桜と柿の落ち葉は赤を基調としつつさまざまな色合いが含まれています。それが、よりきれいに見えるようです。でも、桜と柿以外にも赤い落ち葉は、たくさんあります。

もう一つは、子どもの頃に、桜と柿が身近にあったからでしょう。桜の木が家の前に3本あり、毎日落ちるたくさんの落ち葉をほうきで掃除をさせられました。柿は、おいしかったおやつの記憶でしょう。昭和30年代の明日香村には(日本中でしょうが)、今のようなチョコレートやクッキーといったお菓子はふんだんにはありませんでした。

プルーストなら、紅茶に浸したマドレーヌの香りで、子どもの時の記憶がよみがえります(『失われた時を求めて』)。

政治家の「経済オンチ」?

11月15日の日経新聞夕刊に、「「経済オンチ」は一体誰か?」が載っていました。
・・・第2次石破茂内閣が11日、30年ぶりの少数与党として発足した。自民党が10月の衆院選で大敗した理由として政治資金問題ばかりに目を向けては本質を見誤る。もう一つの要因は「経済無策」という野党の批判に抗しきれなかったことにある・・・
・・・野党2党首が選挙戦で批判したように石破政権の経済政策方針は矛盾に満ちている。石破首相(自民党総裁)は衆院選で「最優先すべきはデフレからの完全脱却だ」と主張した。一方でそのために掲げたのは「物価高を克服するための経済対策」だった。
デフレなのか物価高なのか。消費者物価指数の上昇率は、インフレ目標である2%を2年半にわたって上回り続けている。生活者の物価感をデフレかインフレかの二択で示せば、今はインフレだろう。

首相は「経済オンチ」というより確信犯的な政治レトリックを使っているとみるべきだ。インフレ対策なら、金融・財政とも不人気な引き締め策に向かわざるをえない。
ところがデフレという単語は曖昧に解釈できる。「デフレ=経済停滞」と広義にとらえれば、ガソリン補助金のような物価高対策に大義名分が生まれ、有権者にアピールする財政出動に道が開ける。

野党の勇ましい主張も曖昧な経済用語を逆手にとった確信犯的なレトリックに満ちている。国民民主の玉木代表は「賃金デフレ」という言葉を使う。それが指すのは「1996年をピークに下がり続けている実質賃金」だという。
実質賃金は、実際に生活者が受け取る賃金(名目賃金)から物価上昇分を差し引いて計算する。2023年の実質賃金は前年から2.5%も下落した。生活者の不満が与党の大敗の根底にあり「手取りを増やす」という国民民主の躍進につながった。
ただ、実質賃金が下がった最大の理由は手取りが減ったからではなく、消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)が3.8%も上がったからだ・・・

・・・本来なら引き締め的な円安対策を講じるのが王道だ。玉木氏はそれを「賃金デフレ」と言い換えることで、所得税の非課税枠拡大といった大幅減税案で有権者の歓心を買うことに成功した。
衆院選で議席を増やしたれいわの山本代表は「30年不況」という厳しい言葉を繰り返す。経済論議の中で「不況」とは通常、景気循環上の悪化局面を指す。
実際の日本経済は、1993年から2020年までの5回の景気循環の中で拡張期は245カ月、後退期は74カ月と成長期の方が大幅に長い。長期トレンドとして「低成長」の状態にあるが、マイナス成長を続けているわけではない。
不況期であれば、失業者の増加を防ぐ即効性のある財政出動と金融緩和が必要になる。山本氏がいう「消費税減税」も検討対象の一つになるかもしれない。
経済状態が不況でなく低成長であれば処方箋は変わる。成長企業に働き手を移す労働市場改革や国際競争力の高いハイテク産業の育成など、複雑な構造改革こそ求められる。野党のように「減税」の一言で政策を語ることはできなくなる・・・

一人暮らし高齢者の増加

11月13日の朝日新聞1面は「一人暮らし高齢世帯 32道府県で20%超 2050年推計1000万人超」でした。
・・・一人暮らしをする65歳以上の高齢世帯の割合は増え続け、2050年に32道府県で20%を超える見通しとなった。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が12日、都道府県別の世帯数の将来推計を公表した。大都市圏で大きく増えることから、医療や介護サービスなどの体制整備が課題だ。

世帯総数は、45~50年には全ての都道府県で減少に転じ、50年には20年時点から5・6%減の5260万7千世帯となる。このうち最も多いのは単独世帯(一人暮らし)で44・3%。続いて夫婦と子21・5%、夫婦のみ18・9%と続く。
世帯主が65歳以上の単独世帯は、50年に1083万9千世帯(20年比46・9%増)。全ての世帯に占める割合は、20年時点は全国で13・2%。20%超の都道府県はゼロだが、50年時点では32道府県まで上昇する。

社人研の担当者は「少子化や未婚化の影響で、子や配偶者、きょうだいなどの家族コミュニティーが小さい高齢世帯が増えていく。介護や医療だけでなく、意思決定の支援や、貧困対策、防犯といった問題について、地域での取り組みが必要になるだろう」と指摘する・・・

日経新聞は「東京の75歳以上、独居35%」を書いていました。
・・・団塊ジュニア世代が75歳以上になる2050年に1人で暮らす高齢者が急増する。国の研究機関が12日公表した世帯数の将来推計によると、山形を除く46の都道府県で、75歳以上人口に占める一人暮らしの割合が2割を超える。在宅医療や介護の体制拡充など、高齢者の生活を支える仕組みづくりを急ぐ必要がある・・・

かつては、長生きすることが望みであり、長寿をお祝いしました。日本はそれを達成しました。すると今度は、長生きが問題になっています。