東京都美術館で開催中の「田中一村展」に行ってきました。
生前には評価されず、死後に見いだされた作家です。私は1980年代後半から5年間、鹿児島に勤務しました。奄美大島も何度か訪れたのですが、この作家と作品を知りませんでした。
今回の展覧会では、子どもから晩年までの画業をたどることができます。子どもの時から神童と呼ばれただけのことはあります。7歳や8歳で立派な絵を描いています。ただ、その技だけでは、上手な日本画家で終わったのでしょうね。
途中から画風が変わり、そして有名な奄美の植物や鳥を描いた絵になります。素晴らしいです。そして独創的です。アンリ・ルソーの熱帯の植物に通じるものがありますが、一村の絵は日本画を基礎としているだけに、一種の様式美があります。
もし、もっと早くこの画風ができていたら、世の中に認められたのではないでしょうか。