10月4日の日経新聞・私見卓見、林宏昌・リデザインワーク社長の「「大課長」問題を克服せよ」から。
・・・多くの会社で部長や事業部長が課長と同じような仕事をしている「大課長」問題が発生している。部長や事業部長が「今月の数字や成果のことばかりを気にしている」「現場がすべき実務を抱え、各論に口を出している」「日々の仕事を回すことが中心で、人材育成に手がまわっていない」「現在の延長線上で未来を語っている」「今いる人たちだけで業務を何とかしようとしている」――。このうち3つも当てはまっていれば、大課長問題を抱えているはずだ。
大課長問題によって引き起こされる悪影響は、まず多重管理になり、報告業務や社内作業が増え、生産性が下がることだ。
本来、今月の数字や成果などの責任は課長が担い、部長や事業部長は年間計画や長期への責任を担う。だが、各階層が同じ短期成果に目線が寄っていると、課長が部長に短期成果についての報告を行い、部長が事業部長に同様の報告を行うことになる。これにより課長も大課長に向けた報告業務が増え、課長も短期業績の責任を担いきれないので、ただの大課長の調整役になりかねない。
また、事業の未来に向けた重要な議論が抜け落ちてしまう。部長や事業部長が大課長になっている場合、現場の各論に強く、短期成果に業務シェアが大きく取られているので、中期の戦略を描き、業務を大幅に見直して生産性を上げる業務改革が進まない。
さらに組織の未来に向けた重要な議論が抜け落ちてしまう。1年後、3年後にどんな組織をつくっていきたいか、そこに向けて不足する人材やポストはどこか。将来について考える時間が不足しているため、内部の育成・登用や外部採用の計画を立てることができず、必要な人材を確保できない・・・