9月20日に、日経新聞主催で、岸田首相と経済財政諮問会議民間議員との座談会が開かれました。23日付けの日経新聞に、要旨が載っています。マクロ経済、財政、成長力強化と人口、金融政策、エネルギー、労働市場改革にわけて、議論が交わされています。なかなか、内容のある座談会です。菅野・論説委員の司会で、突っ込みも鋭いです。例えば、ガソリンや電気などへの補助金が続くこと、消費税増税についてです。
この記事を読んだときに、良い企画だと思いつつ、次のようなことを考えました。経済財政諮問会議の議員との意見交換なのですが、経済財政諮問会議では、このような議論がなされていないのです。
まず、所要時間です。首相動静を見ると、8時34分に会場のホテルに到着し、9時48分にホテルを出発しておられます。1時間強です。他方で、最近の経済財政諮問会議は、30分から1時間未満です。6月21日の経済財政諮問会議と新しい資本主義実現会議の合同会議は、首相を合わせて出席者は21人、所要時間は37分でした。
そして、諮問会議ではこのような「自由な」議論、突っ込んだ意見交換がされていません。内閣府は、省庁改革の際に首相を支える「知恵の場」としてつくられ、諮問会議はその最たるものです。
役所の会議の傾向として、次第に儀式になってしまいます。決められた時間の中で、あらかじめ予定された結論を出す(その総理発言を報道機関に公開する)ために、事務局の官僚は全精力を注ぎます。さらに、権限が強い会議では、自由な議論をすると市場や行政に思わぬ影響を与えてしまう可能性があります。
このような場をどのように活用するか、議長である首相の考え方によります。首相にとって、民間議員との自由な意見交換は意義あるものだと思います。諮問会議ではふさわしくないとすると、首相と民間議員との意見交換を「懇談会」として設営することも可能でしょう。