『Public Administration in Japan 』に分担執筆2

『Public Administration in Japan 』に分担執筆」の続きです。
要旨を、日本語で載せます。日本の危機管理を行政学として書くにあたって、次のような観点から執筆しました。

・・・第二次世界大戦後の半世紀にわたり、日本では自然災害がしばしば発生したが、国内でも対外的にも大きな危機に直面することはなかった。ところが1990年代に入り、国内ではこれまでにない大規模な自然災害が発生し、国際的には北朝鮮と中国が軍事力を増強し日本への脅威が現実のものとなった。
日本の危機管理の対象としては、大規模自然災害、安全保障、新しい感染症の流行を上げることができる。
それまで、国家の危機管理は日本政治と行政の重要な課題ではなく、対応組織も法制度も十分ではなかった。しかし度重なる危機に直面し、組織や法制度を順次充実してきた。それはまた、各省が内閣の事務を分担する原則から、総理に情報を集約し総理が指揮を執るという総理主導への転換でもある・・・

目次も日本語で載せておきます。

1.日本政府の危機管理の特徴
1.1半世紀ぶりの転換 1.2平穏な半世紀とその後の急激な変化 1.3危機管理行政の再発見
2.政府の危機管理の仕組み
2.1危機の分類 2.2内閣官房の組織 2.3運用 2.4地方自治体 2.5民間組織
3.日本の特殊事情1―大規模自然災害
3.1大規模な風水害 3.2大規模地震
4.日本の特殊事情2―安全保障
4.1戦争放棄と環境の変化 4.2 国際的な平和協力活動 4.3北朝鮮と中国の挑発 4.4サイバー攻撃
5.新しい感染症の流行
6.日本の強みと課題
6.1国民の意識と行動 6.2想定内と想定外の危機
7.結び

その3」に続く。

奄美大島でマングースを駆除

奄美大島で、マングースが駆除されました。
9月4日の朝日新聞「外来マングース、奄美大島で根絶 ハブ対策不発、捕獲30年
・・・鹿児島県奄美大島で駆除を進めてきた特定外来生物マングースについて、環境省は3日、「根絶宣言」を発表した。ハブ対策などの目的で持ち込まれて約半世紀。いったん定着したマングースがこれほど大きな島で根絶されたことはなく、「世界的に前例のない、生物多様性保全上の重要な成果」としている。
南アジアなどが原産のマングースはハワイなどにも持ち込まれたが、定着後に完全排除できたのは面積約1平方キロ以下の島だけ。奄美大島は712平方キロもある。奄美大島は21年、世界自然遺産に登録。その審査でも事業が評価されていた・・・

・・・マングースは1910年にまず、沖縄島に導入された。環境省によると79年ごろ、その子孫が奄美大島に放たれた。島民を悩ませた毒蛇ハブと、農作物を荒らす外来ネズミの対策が狙いだった。
だが、昼行性のマングースは、夜行性のハブではなく、アマミノクロウサギやケナガネズミなど島在来の希少種を襲った。自然保護関係者の危機感に押され、90年代前半に駆除が始まった。
2000年度からは環境庁(当時)と鹿児島県が取り組みを本格化。05年に外来生物法が施行され、マングースが「特定外来生物」に指定されると、同じ年度に「駆除のプロ」として専従12人の「奄美マングースバスターズ」が発足した。
「誰も経験がなく、手探りの連続だった」と発足時の隊員、山下亮さん(52)。おびき寄せるエサは何がよいか。魚肉ソーセージ、唐揚げ、ツナ缶、チーズなどを試し、たどり着いた一つが、豚の脂身の塩漬け。島の保存食を参考に森でも長持ちするようにした。
捕獲用には、塩化ビニール製パイプを使った小型の筒ワナを改良。中のエサをマングースが食べようとすると、首のあたりでひもが締まる。駆除が進んだ07年には、「切り札」として先進地ニュージーランドから探索犬を導入した。
張りめぐらせたワナは島全域に約3万個。マングースの推定生息数は、ピークの00年の1万匹から20年には10匹以下に。姿を見るのが難しいほど減っていた希少種も戻ってきた。環境省は、18年4月の最後の捕獲から6年がかりで慎重に確認し「根絶宣言」に踏み切った・・・

ハブ対策に導入したマングースですが、ハブを襲わず、黒ウサギなどを襲ったのです。人間の浅知恵でした。かつて、ハブとマングースを戦わせる見世物がありました。マングースは輸入品なので、負けないように、ハブを弱らせていたと聞いたことがあります。

沖縄県で、ウリミバエの根絶に成功したことがあります。農薬散布でなく、不妊の虫を大量に放って、子孫を残さないようにするのです。中公新書で読んで、感激したことを覚えています。今は絶版になっているようです。伊藤嘉昭著『虫を放して虫を滅ぼす―沖縄・ウリミバエ根絶作戦私記』(1980年)

マレーシア政府職員への講演

今日9月24日は、市町村職員中央研修所で、マレーシア政府職員15人を対象に講演をしました。
JICAの事業だそうです。その一環で、市町村職員中央研修所を訪問され、日本の市町村職員の研修概要を説明しました。いろんな出番があるものです。
英語の資料を作り、それを見てもらいながら、説明しました。十分通じたようです。

日本の行政に質問が及んだので、早速『Public Administration in Japan』を紹介しました。英語、かつ無料で読むことができることは便利ですね。「第19章も読んでください」と、私の執筆分も宣伝しました。
その2」に続く。

地方公務員の離職防止対策

9月7日の日経新聞に「地方公務員の離職防げ 福岡県、若手が「働きやすさ」提案」が載っていました。

・・・全国の都道府県が職員の離職抑制に力を入れている。2022年度の自己都合の退職者は全国平均で17年度より46%増えた。就職人気も低下しており、働きやすい職場づくりを進めて20〜30歳代などの定着を目指す。福岡県は若手職員による改善提案制度や長時間勤務の削減などを通じて退職者の増加を抑える。
総務省の「地方公務員の退職状況等調査」から、定年退職などを除く自己都合の退職者を抽出した。22年度実績を都道府県別データの公表が始まった17年度と比べると、全ての都道府県が増えた。県庁職員などの行政職や教育職の増加が目立つ。都道府県別では、鳥取と福岡が増加率を1割未満にとどめたのに対し、熊本は2.6倍、秋田も3.8倍となった。

福岡県は17年に県庁における働き方改革の取り組み方針を制定。21年度に始めた若手職員による提案制度には3年間で約8600件の改善案が寄せられた。代表例がデジタルトランスフォーメーション(DX)の活用だ。
補助金の手書き申請のオンライン化、チャットの活用によるペーパーレス化などを実現。デジタル機器の整備といった現場ならではの提案も多い。担当者は「業務効率化に加え、自らの意見が実現することで若手のモチベーション向上にもつながる」とする。
長時間労働の是正では、執務室で退勤処理をした後もサービス残業を続けるといったことがないように、県庁玄関で出退勤を管理するシステムを導入。職員への迷惑行為「カスタマーハラスメント」の防止に向けたマニュアルや掲示用ポスターも用意する・・・

・・・福岡県は17年に県庁における働き方改革の取り組み方針を制定。21年度に始めた若手職員による提案制度には3年間で約8600件の改善案が寄せられた。代表例がデジタルトランスフォーメーション(DX)の活用だ。
補助金の手書き申請のオンライン化、チャットの活用によるペーパーレス化などを実現。デジタル機器の整備といった現場ならではの提案も多い。担当者は「業務効率化に加え、自らの意見が実現することで若手のモチベーション向上にもつながる」とする。
長時間労働の是正では、執務室で退勤処理をした後もサービス残業を続けるといったことがないように、県庁玄関で出退勤を管理するシステムを導入。職員への迷惑行為「カスタマーハラスメント」の防止に向けたマニュアルや掲示用ポスターも用意する・・・

2024年イギリス旅行2

2024年イギリス旅行1」の続きです。
いつものことながら、行った初めの数日は、時差に慣れるのに困ります。
観光地で歩く以外は、バスに乗っています。向こうの料理を食べていると、太ります。ふだんでも、若いときのようには食べたり飲んだりできなくなっているので、食事もお酒も控えめにしています。2日ほど辛抱すると、時差も気にならなくなりました。

食事について。
林望(リンボウ)先生に「イギリスはおいしい」の著作があり、私も楽しく読みましたが。今回、「これはおいしい」と思った料理は、なかったですねえ。肉料理、脂っこい、量が多い・・・。太りました。ビールはそれぞれのホテルや店が出すものを選びましたが、それなりにおいしかったです。
日本食がいかに繊細かが、わかります。向こうの料理は、一品(肉、たまに魚)がド~ンと大きく出て、少し添え物があるのですよね。味付けも濃くて単調だし。会席料理や幕の内弁当とは、全く違う世界です。野菜の煮付け、おひたし、煮魚なども。「単品大量、単純な味付け」対「少量多品種、多彩な味付け」でしょうか。専門家はもっと上手な表現をしているのでしょう。それを考えると、日本の主婦と主夫(家庭で料理を作る人)は偉大ですね。

ロンドンにいる知人に、夕食に連れて行ってもらいました。インド料理にしました。中華料理もおいしいとのことですが、それは日本でもよく食べているし。このインド料理は、よかったです。
フォートナム・アンド・メイソンのアフタヌーンティーを、記念に経験しました。味わうというより、雰囲気を楽しむのでしょうね。私は上着に、ネクタイをしていきました。でも、真っ赤なTシャツ・よれよれのジーパンのアジア人もいて、格式は・・・。

湖水地方で自由行動の昼に、何を食べようかと迷いました。すると、うどんを出す店がありました。「Udon Noodle」とあります。小さな店です。うどんも、きつねうどんや肉うどんなどがあり、ほかにカレーライス、牛丼などがありました。
現地の人がやっているようでしたが、味は日本と同等でした。うどんの玉は、どのように調達しているのでしょうか。ネギ、油揚、チンゲンサイも。お茶は、ほうじ茶がありました。
ベトナム人という若い店員が「味はどうか?」と聞くので、「私は日本から来たが、味は東京と同等だ」と褒めておきました。喜んでいました。観光客(アジア系でない)とおぼしき客が次々と来て、流行っていました。うどんは1杯、12ポンド~13ポンド。1ポンド200円で換算すると2500円ほどです。ロンドンには、丸亀製麺のほか、韓国系と英国系のチェーン店のうどん屋があるとのこと。

お金について。
円が安くなったことを実感します。物価は、日本の2倍ですね。
現金を使いません、というより使えません。有料トイレなども、タッチ式のクレジットカードです。食事でお酒を追加する際にも、バーカウンターに行って注文し支払おうとすると、「端末機にカードをかざせ」と言われます。
私のクレジットカードはまだそれに対応していないので、差し込んで暗証番号を入れます。何かと不便です。タッチ式のクレジットカードは、日本のスイカがどこの店でも使えると考えれば良いので、今後普及するでしょう。
地下鉄は、専用のカード(オイスター)です。タッチ式のクレジットカードが使えるとのことですが、専用のカードだと割引が大きいのです。
なので、両替していきましたが、使ったのはティップと硬貨が使えたトイレ(珍しい)くらいでした。紙幣は出番なし。「その3」に続く。