酷暑対策補助金の不十分な説明

8月15日の朝日新聞夕刊、三浦惇平記者の「(取材考記)説明ちぐはぐ 補助金再開、理由は酷暑だけ?」から。

・・・政府が「酷暑乗り切り緊急支援」と称して、電気・ガス料金の補助を再開させた。岸田文雄首相自らが記者会見で表明した肝いりの政策だ。ただ、急ごしらえ感は否めず、「酷暑対策」は後づけにも映る。

補助は、8~10月使用分が対象だ。8月は標準世帯の使用量だと、電気(400キロワット時)が1600円、ガス(30立方メートル)が500円ほど安くなる。
首相と側近議員が主導して決めたとされ、場当たり的で「バラマキ政策」との見方も出た。いったんやめた補助を復活させることに、制度を所管する経済産業省は、妥当性を示すのに苦心したようだ。それは、ちぐはぐな説明にも表れていた。

補助はもともと、ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料の高騰を受けた対策として2023年1月に始まった。ただ、燃料価格が落ち着いたとして、今年5月に打ち切った。斎藤健経産相は「予期せぬ国際情勢の変化などにより国民生活への影響を回避するため緊急対応が必要になった場合」に再開を検討するとした。
だが首相が再開を決めたのは、その1カ月後。とても「予期せぬ国際情勢の変化」が起きたとは言いがたい。一方、斎藤氏は以前の対策とは目的が違うとして、「再開ではない」と主張するが、補助の仕組みも予算枠も同じだ。

首相が言う「酷暑対策」だとしても、疑問が残る。
今年は7月から全国各地で猛暑日が相次いだが、支援が始まったのは8月から。都市ガスも対象とすることにも、違和感がある。経産省の担当者は、ガスの冷房を使う商業施設があることを理由として挙げるが、家庭向けは夏場に需要が減るからだ・・・