高級だけでないフランス料理

7月31日の日経新聞夕刊文化面、橋本周子・関西学院大学准教授の「フランス料理の精神史⑤「国民国家の時代映す「ポトフ」 家庭料理が育てた愛国心」から。

・・・日本人なら、「フランス料理」と聞いてまず想像するのはホテルのレストランなどで提供される高級フレンチのコース料理だ。グーグルの画像検索で「フランス料理」と日本語で打ち込めば、期待通りのおしゃれな料理の写真が並ぶ。
ところが今度はフランス語で《cuisine française》と入れてみるとどうだろう。もちろん、日本語で打ち込んだ場合と同様の高級フレンチや、日本人も大好きなクロワッサンなども並ぶが、同時にそこにはいくつもの煮込み料理が登場する。ニンジン、ジャガイモ、牛肉・・・ポトフだ。

この検索結果の違いは、私たち日本人が高級フランス料理に、明治期以来の依然強い憧憬のような感情を抱いていることを示すとともに、当のフランス人たちは、そのような高級フレンチだけを「フランス料理」とは思っていないらしい、ということも表している・・・