「仕方ない」が生む日本の低迷

7月17日の日経新聞「私見卓見」、的場正晃・PHP研究所経営共創事業本部本部長の「経営幹部は意識を変えよ」から。

・・・日本企業の競争力が低下したのは、現場でさまざまな問題が発生し、それが常態化しているからではないか。そして、そのことに対して多くの社員が「仕方ない」と諦めたり、「どうせ無理」と無力感を感じたりして、問題の解決が先送りにされているようだ。

変革が求められながら、なぜうまくいかない企業が多いのか。経営幹部の意識と行動が変革を阻害するケースがほとんどだ。変革の必要性を説きながら、いざ実行の段階になると自身の不利益になることを潰すことが多い。
さらにやっかいなのは、会社をダメにしている当人が、それを自覚していないことだ。彼らは口を開けば「会社のためにやっている」と言う。ところが、客観的に見ると、彼らの言動の大半が自身の立場を守るための保身行動になっていることがよくわかる。

では、どうすれば経営幹部の意識を変えることができるだろうか。経営幹部は、過去の成功体験に基づく自分なりの価値観や強い信念を持っている人たちだ。そのため、意識を変えることは容易ではない。その前提に立ち、強固に構築された考え方に風穴を開け、気づきを提供する必要がある・・・

連載「公共を創る」にも書きましたが、この30年間の停滞で、企業も役所も「新しいことに挑戦して成功した」体験を持っていない人たちが幹部になっています。個人の経験と意識、職場の風習(社風)、社会の意識が与える影響が大きいです。