連載「公共を創る」で、第183回から第190回まで、私の職歴を振り返りました。幹部官僚のあり方と育て方を議論するに際して、私の経験を紹介したのです。飲んで後輩たちに自慢話をすることはありましたが、このような観点から、自分の仕事とそこで考えたことを振り返ることはこれまでなかったので、よい機会でした。
「公共を創る」という論考には少々場違いでもありますが、具体例のない抽象論は読んでいて面白くなく、説得力も少ないですよね。最初はためらったのですが、書いているうちに、これも後輩たちには意味があると考え直しました。特に、前半の自治官僚だけにとどまらず、後半に内閣官僚になって視野を広げた経験は、珍しいと思います。
私が官僚になった昭和53年(1978)から、46年が経ちました。その間に、社会も行政も官僚も大きく変わりました。その頃のこと、そしてその後の変化を知らない若者に、少しでも役に立てばうれしいです。「古すぎる」と笑われるかもしれませんが。