増える役所の仕事

忙しい職場の生産性低下」の続きにもなります。
「この30年間の行政改革で、職員数は減らしたのに、業務は増えている」と、主張しています。その際に、職員数は数字で見えるのですが、業務量は簡単には計れないのです。予算額が一つの指標ですが、例えば総額が同じでも、既存事業の予算を減らして、新しい事業が増えると、職員の事務量は増えます。

原田久・立教大学教授が「行政国家論再論」(季刊『行政管理研究』第183号、2023年9月)に、次のような数値を載せておられました。
「2001年の省庁再編時に各府省設置法に列挙されていた858の所掌事務は、2021年度には935事務にまで増加している」

20年で、1割増えたのですね。もちろん、掲げられた一つ一つの事務の事務量には大きなものから小さなものがあり、その量はこれでは分かりませんが。
そして、どのような分野でどのような政策が増えているかを、検証しなければなりません。どなたか、やってもらえませんかね。連載「公共を創る」での、重要な論点なのです。

韓国語にある罵倒語

6月1日の朝日新聞オピニオン欄、金承福さんの「怒りの会見、罵倒語が浮き彫りにした膿」から。この欄は、韓国文化を紹介するようです。

・・・日本語で、韓国語との違いを感じることの一つは、「ヨク(ハングル表記)」がないこと。ヨクは悪口などと訳されますが、罵倒語も指します。

韓国で先日、このヨクに満ちた記者会見が話題になりました。K―POPグループ「NewJeans」が所属する会社「ADOR」のミン・ヒジン代表が2時間以上にわたって開いた会見です。ミン代表は、その直前に、ADORの親会社であるHYBEとの内紛が表面化しており、厳しい批判にさらされていました。
会見で、ミン代表は「ケジョシ(ハングル表記)くそ親父」などと罵倒しながら、自身に対する不当な扱いやK―POP界の問題点を訴えました。
ミン代表は女性ですが、もし日本の会見で、とくに女性がこんな発言をしたら内容以前に、言葉づかいを非難する声が高まったことでしょう。ところが韓国では会見後、世論が反転。「本気で仕事をしているからこその怒りだろう」と共感する人が増えたのです。

韓国では昔から、女性でも罵倒語を使うのが当たり前。女性作家、朴景利(パクキョンニ)が26年にわたって執筆した壮大な大河小説「土地」(邦訳はクオン刊)にも罵倒語があふれています。有名なのが、主人公の少女が家族の財産を奪われた際に登場する「八つ裂きにして、飢え死にさせてやる」という台詞。実際の、韓国語のニュアンスはもっと激しい。日本語に翻訳するのは至難の業で、罵倒語の中には省略せざるを得ない部分もあったそうです・・・

へえ、そうなんですね。お隣の国でも、知らないことが多いです。

読者からの苦情

先日、このホームページを読んでくれている知人と話した際に、苦情を受けました。

1「新聞記事紹介が遅い」
はい、半月以上前の記事を紹介することが多いです。取り上げる記事は、新聞切り抜きに貯めてあるのですが、紹介が追いつかないのです。そのうちに「旬」が過ぎ、「賞味期限」が切れるので、紹介しないままに捨てることもあります。反省。

2「新聞記事紹介が、引用だけに終わっていて、岡本の意見が書かれてないことがある」
はい、これもご指摘の通りです。「これは紹介すれば分かってもらえるよな」と思い、説明や意見を省いてしまうのです。これも反省。

いろいろと忙しくて、このホームページ執筆ばかりに時間を割くわけにはいかないのです。

日本電信電話の30年

5月31日の日経新聞に日本版エグゼクティブ教育研究会の全面広告が載っていました。ウエッブでは読めないようです。伊藤邦雄・一橋大学名誉教授と、島田明・日本電信電話社長の対談です。日本電信電話は、公社が民営化されて39年になります。

伊藤先生は、失われた30年に関して、「1993年が分水嶺。米国ではこの年に、企業価値の決定要因である無形資産投資率が有形資産の投資率を上回った」と指摘されます。
島田社長によると、1985年の民営化時の売上高は5.1兆円、2023年度では13.4兆円です。しかも、固定電話主体の音声事業は、83%から13%に減少しています。
民営化前の1979年の社員数は31万4千人、民営化後は漸減傾向でしたが、新事業展開や海外企業の買収などで、現在は33万9千人です。

売り上げと利益を伸ばすこととともに、従業員を増やしたことも誇っていいのではないでしょうか。