6月11日の日経新聞経済教室は、藤森克彦・日本福祉大学教授の「変わる家族像 身寄りない高齢者、対応急げ」でした。
・・・国立社会保障・人口問題研究所が4月に発表した世帯数の将来推計は、身寄りのない単身(一人暮らし)高齢者が今後急増することを示唆している。日本は「家族依存型福祉国家」と呼ばれるように、家族が福祉に関して大きな役割を果たしてきた。だが身寄りのない高齢者は、家族が提供してきた支援を受けられない。
この将来推計によれば、65歳以上の単身高齢者数は2050年に1084万人と、20年時点の約1.5倍になる。65歳以上人口に占める単身者の比率も、20年の20%から50年には28%となる。
注目すべきは、単身高齢者に占める未婚者比率の急上昇だ。単身高齢男性に占める未婚者の比率は、20年の34%から50年には60%になる。単身高齢女性の未婚率も、20年の12%から30%になる。生涯で一度も結婚していない単身高齢者の増加は、配偶者のみならず、子どももいない人の増加を意味する・・・
働いて元気なうちは、一人暮らしは気ままでしょう。家族はどんなに愛していても、時には面倒な存在であり、困った存在でもあります。子育ては重労働だし。でも、困ったときや悩んだときに、一人暮らしはつらいものがあります。そして、年を取って体が衰えてくると、若いときのようにはいきません。
家族は、経済的な保険であり、日常生活の保険(病気など)であり、そして心の支えです。困った場合や災害時に助け合う際に、共助、公助という言葉がありますが、それらの前に家族があります。
結婚するかどうか、子どもを持つかどうかは、個人の自由です。しかし、人類は長年の暮らしの中で、家族という形態を選んできました。それだけの理由はあります。
「今、ここで、私だけ」という思想では、自分の人生全体を考えることはできません。