日経新聞夕刊連載「人間発見」、小峰隆夫さん「日本経済と歩む人生」、6月7日の記事から。
「小峰さんの後を継ぐような官庁出身のエコノミストは多くない。」
大きな理由が省庁再編です。経済企画庁は内閣府の一部局になりました。男女共同参画や少子化など幅広い分野を担当する官庁になったため、経済を専門に仕事をしたいと思う人がなかなか来なくなりました。エコノミストとしての専門職採用や、外部人材の登用などを進めてほしいと感じます。
現役の官僚も、自分の考えを役所の外に発信するリスクを幾分、気にしているようです。原稿執筆や外部の講演、場合によっては兼業も自由に認める取り組みは大事です。
日本経済について何を書くべきなのか。次に自分は何を論じるか。役人だったときも民間に転じた後も、何十年にわたって毎日考えています。エコノミストは発信することで磨かれます。私は企画庁にいたときから、2年に1冊は本を出し、連載も続けてきました。
エコノミストは本を書くことで成長します。本を書くと必ず行き詰まる。これは苦しい。しかし、抜けると新しい世界が開ける。
当面は、私の代表作である「平成の経済」と「人口負荷社会」の続編を書けないか、構想を練っています。企画庁で働く中で、自分の〝比較優位〟は書くことにあると気付きました。日本経済について、書きたいことはたくさんあります。