首相指示の失敗事例?その1の2

首相指示の失敗事例?その1」の続きです。

朝日新聞によると、満額減税を受けられる人は約6300万人、納税額が少なく減税とともに調整給付を受ける人が約3200万人です。そもそも住民税や所得税を納めていない世帯が、約1740万世帯あります。「定額減税「穴埋め」自治体実務ずしり 減税しきれない人 3200万人に調整給付

一番の問題は、給与支払担当者の事務負担です。減税の計算をしなければなりません。給与計算は、ほとんどの事業所でコンピュータを使っています。一度きりの減税のために、計算ソフトを入れなければなりません。そして1度で減税せず、これから毎月に分けて減税します。それを、一人ずつ確認する作業が必要になるでしょう。
次に、減税しきれない(納税額が多くない人)と納税額がない人は、その結果をもらって、市町村役場が差額を給付します。
いかに事務負担をかけるかが、分かってもらえると思います。これらの作業をする人に聞けば、恨みの声がでるでしょう。

さらに記事では、次のようなことも指摘されています。
・・・自治体を苦しめているのが、対象者を絞り込み、給付額を算定する作業だ。さらに政府が給付のスピードを重視したことも、混乱に拍車をかける。今年の所得税額が確定するのを待たずに、穴埋め額を推計して給付するルールにしているからだ。夏以降に給付を始めるが、それでも足りなかった場合は、来年、納めた税額が確定した後に対象者を特定し、追加で給付することになる。
ある自治体の担当者は言う。「算定の前提になる数字が推計値なので、『うちの額は本当にこれで合っているのか』と問い合わせがあっても『わかりません』としか答えられない」・・・

岸田首相がこの減税を指示したとのことですが、自民党、財務省、総務省の関係者が、この事情を首相に説明できなかったのでしょうか。あるいは、説明しても聞いてもらえなかったのでしょうか。
私なら首相に、給付金の方が国民に実感してもらえること、事務作業が格段に軽くなることを説明します。そして、デジタル庁や総務省と相談して、マイナンバーに銀行口座を紐付けた人には直ちに払い込み、紐付けていない人には遅れて支払う仕組みにします。「早く4万円欲しかったら、マイナンバーに銀行口座を紐付けてください」と広報します。「首相に直言 秘書官の役割