森林環境税に思う

今年度から、森林環境税が創設されます。この税金は国税ですが、地方税(住民税)と一緒に市町村が徴収します。年額1000円です。「こんな税金が作られるとは知らなかった」という人も多いでしょう。

実は、この新税・増税にはからくりがあります。東日本大震災の費用を賄うため、所得税、法人税、住民税に上乗せをお願いしました。法人税部分は、景気対策のため早々と停止したのですが、住民税の上乗せ(県税が500円、市町村税が500円、合わせて1000円)が、2023年度で終わったのです。復興増税をお願いした立場として、お礼を申し上げます。

で、この増税部分を引き継ぐ形で、この森林環境税が導入された(振り替えられた)ようです。納税者の負担額は変わらないのです。例えば役場のホームページにわかりやすい表が載っています。
インターネットでは「ずるい」という書き込みもあるようです。

財政関係者としては、よく考えたと思います。しかし、使い道はほかに考えられなかったのでしょうか。例えば、子ども子育ての費用です。この国会で法律が通りましたが、増税せず、社会保険料から拠出します。森林対策も重要ですが、市町村長に聞けば、森林より子ども子育てに使いたいという人が多いでしょう。特に都市部では、対象とすべき森林が少なく、使い道に困っているという話もあるようです。

個別個別の政策を見ると正しいようでも、全体を合わせてみると変な場合があります。それを防ぐために、経済財政諮問会議がつくられたのですが。もし経済財政諮問会議で議論していたら、この財源はたぶん子ども子育てに使われたでしょう。