経産省、一貫性なき半導体政策

4月11日の朝日新聞夕刊「取材考記」、大鹿靖明記者の「瞬発力のみ 経産省、一貫性なき半導体政策」から。

・・・自民党の萩生田光一前政調会長は文部科学相と経済産業相を歴任した。両省の官僚気質をこう例える。
「文科省は生徒会長の集まりのようなところで、地味だけどルールを守ってこつこつやる人が多い」
「それに対して経産省は文化祭実行委員長みたい。とても優秀で短時間にワーッとやるけれど、文化祭が終わったら関係ナシ。短期集中突破型で持続力がないんです」・・・

・・・ 前のめりになったかと思えば後ずさりし、「シリコンサイクル」とは経産省の半導体政策の「やる気度」のことを言うのかと思えてしまう。そう話すと、「まさしくそう」と萩生田氏。
「普通の役所は『引き継ぐ』でしょう。でも経産省は違います。自分の代に何かを『仕掛ける』。チャレンジングな文化なんです」
確かにそうだ。コロナ禍の半導体不足という一瞬の「市場のゆがみ」に飛びつく経産官僚の瞬発力たるや、すごい。それで台湾のTSMCを誘致し、ラピダスを設立するのだから。

50歳代の課長級が言う。「ウチの役所は大きなことを仕掛けることにロマンを感じる人が多い」。さらにこう付け加えた。「日本の農業を守る農林水産省や財政規律を大切にする財務省と違って、経産省は背負うものがないんです」
同省は過去にグーグルに対抗した検索エンジン構想や、脱ウィンドウズのOS構想などを打ち上げてきたが、成功したとは聞かない。その時々話題になりさえすればいいようである。過去の半導体の日の丸プロジェクトの資料を情報公開請求すると、担当課から「残っていない」との返答を受け取った。つい20年前のプロジェクトなのに。「ウチは2年で記憶喪失する役所」と元担当官は苦笑い。やはり文化祭実行委なのか・・・