2月20日の朝日新聞教育欄に「先生のための「心の保健室」を 休職6000人超 メンタルヘルス対策、刀禰真之介さんに聞く」が載っていました。詳しくは記事を読んでいただくとして。
・・・文科省の調査では、「精神疾患で病気休職をしたり1カ月以上病気休暇を取ったりした教員」の割合は20年度に全体の1・03%だったが、22年度には1・33%に増えた。一方、厚生労働省の調査によると「1年間にメンタルヘルス不調で連続1カ月以上休職した労働者又は退職した労働者」の割合は、1千人以上の事業所では20年の0・8%から22年には1・2%になった。
いずれも割合が増えたのはコロナ禍の影響だろう。職場に行けなかったりマスクでコミュニケーションがとりにくかったりという環境の変化が主要因と考えている。教員の場合、一般の労働者より精神疾患の割合が高いのは、心の健康への取り組みの水準が極めて低いからだとみている・・・
・・・一般企業は労働安全衛生を守る意識が浸透しつつあるが、学校はその意識が乏しい。新たに休職する人や復帰後再び休職する人を減らす仕組みが不十分にみえる。例えば文科省の有識者会議がまとめた「教職員のメンタルヘルス対策について」によると、校長は休職中の教員に定期的に連絡をとり状況を把握し、復帰の時期を検討する。校長が中心の「一本足打法」といえる。この方法では校長の負担が増え、教員側は管理職の面談をたびたび受けなければならずプレッシャーになる・・・
・・・ キーワードは「信頼」。教員と産業保健職との信頼関係をつくることだ。メンタルヘルスの研修は産業医や産業保健師が行う▽心身の状態が悪くなったとき、同じ医師や保健師に話を聞いてもらえるようにする▽休職中に状態を話す面談もその保健師が担うという仕組みを考えている。「教職員のための保健室」が機能するようにしたい。
少子化が進めば、必要となる教員が少なくなり、採用倍率が高くなる――。そんな考え方は甘いと言わざるを得ない。人手不足で労働力の獲得に各業種がしのぎをけずる時代。病気休職が増え続ける職場を若者が選ぶとは思えない。下がり続ける教員採用試験の倍率を上げ、教育の水準を高めるには精神疾患の問題の解決が欠かせない・・・