岡本正著『災害復興法学Ⅲ』(2023年、慶應義塾大学出版会)を紹介します。著者は、東日本大震災以来、被災者支援と被災地復興に携わった経験から、災害復興法学の分野を切り開いた第一人者です。その著作、第3弾です。
新著には、新型コロナウイルス感染症、異常気象という最新の大災害が取り上げられています。内容も分厚く、その執筆ぶりに脱帽します。
かつては災害に関する法律は、政府の側に立った災害対策基本法や災害救助法、国庫負担法などしかありませんでした。「天災だから、あきらめるしかない」という思想がありました。阪神淡路大震災や東日本大震災の経験から、被災者の生活を支援すべきだという考え方が広がりました。そして、被災者の生活を保障することが、当然のこととなったのです。
紹介文には、「災害復興法学は、医療、看護、福祉、公衆衛生、公共政策、事業継続、リスクマネジメント、メディア等の様々な分野と連携しながら、学校教育、社会教育、生涯学習、金融教育、主権者教育、消費者教育、防災教育として、あなたの傍にある」と書かれています。
被災者と向き合う市町村役場職員には、有用な本です。
著者は「法学法律学としては全く事前知識は無用であり、社会人の皆様なら全く難なく読めてしまうと思います」と言っておられます。