不登校の小中学生29万人、4割は専門相談せず

文科省の昨年度調査で、不登校の小中学生は29万人に上ったことを、各紙が伝えていました。10月4日付け朝日新聞1面「不登校2割増、最多29万人 小中、4割専門相談せず

・・・学校現場の様々な課題を把握するため、文部科学省が実施する「児童生徒の問題行動・不登校調査」の2022年度の結果が判明した。不登校の小中学生は過去最多の約29万9千人。前年度比22・1%の大幅増となった。うち学校内外の専門機関に相談していない児童生徒も過去最多の約11万4千人。いじめは小中高などで約68万2千件が認知され、被害が深刻な「重大事態」は923件。いずれも過去最多だった・・・

この調査が出る前ですが、9月17日の読売新聞に、小林雄一・教育部主任の「不登校24万人 居場所作り急務」が載っていました。
・・・病気や経済的な理由以外で学校を長期間休むのが不登校だ。関心が寄せられるようになったのは、1960年代。登校できない、登校しない子どもの存在が顕在化し、文部省(当時)は66年度から、長期欠席者の統計を取り始めた。当時は、「学校ぎらい」「登校拒否」などと呼ばれ、特定の子が「怠けている」と見る向きが強かった。
80年代に入ると、校内暴力や体罰、いじめが社会問題化し、その主な現場の学校を忌避する児童生徒が増える。文部省の有識者会議は92年に「登校拒否はどの児童生徒にも起こりうる」と認識を転換。98年度からは、名称が「不登校」に統一され、年30日以上欠席している状態と定義された。
世間の意識を大きく変えたのが、2011年10月に大津市で起きた中2男子生徒(当時13歳)のいじめ自殺だ。「自殺するぐらいなら学校に行かなくてもいい」という考えが広がり始めた。16年度に成立した「教育機会確保法」は、学校以外での学習を広く認め、そこには休養の必要性も明記。文部科学省は、不登校の児童生徒を支援する際は「登校という結果のみを目標とするのではない」という基本指針を示し、登校を前提としないことを認めた。
不登校の小中学生は、最近10年間で2・1倍に増えた。中学校では、クラスに2人の不登校者がいる計算となる・・・

・・・だが、21年度の問題行動・不登校調査によると、不登校当事者の36%(約8万9000人)が学校や教育委員会、民間の支援団体の相談・指導を受けていなかった。年90日以上の長期欠席者がその半数強を占め、引きこもり状態の子も相当数いるとみられる。
相談先の一つとなるのが、教育委員会などが設置する教育支援センター(適応指導教室)だが、実際に開設しているのは約63%の自治体にすぎない(17年時点)。
その先にある「居場所」の拡充も急がなければならない。不登校の子の受け皿として誕生し、学びや体験の機会を提供するフリースクールは全国に500か所程度あるとされる。だが民間施設のため、月数万円の費用がかかる例が多く、負担を感じる家庭も多い。学校や教育委員会だけではなく、行政の福祉部門による家庭への目配りも欠かせない。支援の網の目を細かくし、一人ひとりに合わせた対応が求められている・・・