2023年スペイン旅行6

2023年スペイン旅行5」の続きです。

携帯パソコンは、便利でした。電子メールのやりとりです。便利というか、仕事が追いかけてきます。かつては、海外旅行期間中は音信不通になったのですが、今の時代に、それはかえって不安です。
私がパソコンで作業をするのはホテルでなので、ホテルのワイファイが仕えます。もう、LANケーブルやUSBなどでつなぐことはありませんね。キョーコさんがスマートフォンを持ち歩くので、スペインで使えるワイファイルーターを借りて持っていきました。これも、便利だったようです。

携帯電話は、1度だけ鳴りました。日本でも、めったに鳴らないのですが。「今スペインなので、急ぎでなかったら、電子メールに入れておいてください」と言って、早々と切りました。長々と話すと、かけてきた人の電話代がかさみますよね。

私はスマートフォンを持っていないのですが、特段困ることはありません。でも、世の中はどんどんスマートフォンを前提にした仕組みになっているようです。航空券の確認も博物館の入場券も、多くの人がスマートフォンの画面で二次元コード(二次元符号)をかざしていました。日本でも、そうなりつつあります。展覧会に行くときは、キョーコさんが前売り券を買って、スマートフォンで会場に入っています。

観光地では、多くの人がスマートフォンで写真撮影にいそしんでいました。写真機だったら面倒だったのでしょうが、スマートフォンならいつも持ち歩いているので気軽に写真を撮ることができるのでしょう。でも、実物をゆっくり見学せず、写真を撮ることに熱中しているようにも見えます。

パソコンでニュースの確認をしたり、機中で時間を持て余すので少し原稿を書いたりしました。もっとも遊びに行っているので、仕事には精を出しませんでした。旅行記は、帰国後にホームページに掲載するためのメモを書き留めていました。
ところが、途中でホームページの加筆ができなくなったのです。電子メールで、IT社長に連絡を取って調べてもらいましたが、異常なし。わからないままに帰国したら、日本ではちゃんと使えました。どのような規制に引っかかったのでしょうか。
それに関しては、ヤフー(プロ野球ニュース)は、EUでは見ることができませんでした。「サービス提供を停止しています」と表示が出ました。

孤独・孤立の支援、寄り添う自治体

8月24日の朝日新聞に、「孤独・孤立の支援、寄り添う自治体」が載っていました。徐々に、孤立孤独対策の重要性と、その対策技法(これまでの行政手法と異なること)が理解されつつあります。

・・・孤独・孤立対策推進法は来年4月に施行される。背景には孤独・孤立が心身に有害な影響を与えることへの懸念がある。国は対策推進本部を設置し、対策の重点計画を作成する。
ただこれまでも市区町村は孤独・孤立対策を進めてきた。その現在地を知ることができるのが、地域福祉が専門の加山弾・東洋大学教授の論考だ。

論考によれば、近年の孤独・孤立支援の大きな転換点は2017年と20年の社会福祉法改正だった。「福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立」は解決すべき「地域生活課題」の一つと位置付けられた。具体的な施策としては、市区町村が任意で「重層的支援体制整備事業」を実施できるようになった。ワンストップの相談窓口の設置や、複数の機関による連携支援を可能にする、制度的・予算的な裏付けができたことから、加山さんは「近年では類例のない改革」だと評価した。
加山さんによれば、従来の福祉はいわば「タテ割り」。支援や給付を受けるためには、当事者が役所で申請する必要があるが、そうした支援だけでは、複雑で複合的な課題に対応することが難しくなっているという。「孤立している人は制度を利用できることを知らない、または支援を受けようとしない場合が多い」
加山さんが把握したある親子の事例では、不安定な就労や障害の疑い、家賃未払い、いじめなどの複数の課題を抱えながら孤立していた。こうしたケースへの対応で求められるのが「アウトリーチ」と「伴走型支援」だと加山さんは言う。
前者は当事者からの依頼を待たずに、支援者側から発見・接近して、ニーズを把握する。後者は就労や障害などの課題解決にとどまらず、当事者とつながりを持ち続けることを目的とする・・・

2023年スペイン旅行5

2023年スペイン旅行4」の続きです。
スペインの歴史についてです。
この地が、古代ローマ帝国の支配のあと、ゲルマン民族が入り、西ゴートが有力だったこと。その後、イスラムに支配され、キリスト教勢力が国土回復運動で奪還したこと。イスラム文化の方が高く、古代ギリシャの著作もスペインで翻訳され、西欧にもたらされたこと。コロンブスの新世界発見のあと、世界に広がる植民地を持ったこと・・・。第1次大戦後のスペイン内戦、フランコ独裁、民主化。その程度しか知りませんよね。
他には、闘牛、フラメンコ、パエリア、サッカー・・・。

アーヴィング著『アルハンブラ物語』(1997、岩波文庫)をかつて読んだのですが、雰囲気だけしか覚えていません。『ドン・キホーテ』は、分量が多くてまだ挑戦していません。

で、簡単に勉強していきました。といっても、観光のためであって、本格的なものではありません。
概説については、池上俊一著『情熱でたどるスペイン史』(2019年、岩波ジュニア新書)、立石博高著『スペイン史10講』(2021年、岩波新書)を読んでいきました。前者が読みやすいです。田澤耕著『物語 カタルーニャの歴史 増補版-知られざる地中海帝国の興亡』(2019年、中公新書)は、半分だけ読みました。

イスラム支配下の時代はおくとして、レコンキスタ以降の歴史も、複雑です。簡単に「スペイン帝国」ができたのではないのです。そもそも「帝国」は存在しませんでした。いくつもの国があって、それぞれの王を一人の王が兼ねることで、スペインができていました。しかもその王は、時に(ハプスブルク家)オーストリア、イタリアなども支配しています。カタルーニャやバスク地方の分権志向も、なるほどです。カタルーニャはしくじらなかったら、ポルトガルのように別の国になっていたといわれています。
これらを読むと、現地の案内人の説明がよくわかりました。

自転車ヘルメット着用率の地域差

NHKウエッブニュースが「自転車ヘルメット 着用率に地域差 愛媛は59.9% 新潟は2.4%」(9月14日掲載)を載せています。
・・・ことし4月に着用が努力義務化された自転車用のヘルメットについて、警察庁が都道府県ごとに「着用率」を調べたところ、最も高い県では60%近くに達していた一方、2%あまりにとどまっている県もあって、地域ごとの差が大きくなっています・・・

これだけも地域差があるとは。これは、なかなか興味深い現象です。日本人は、お上の言うことに従順だとか、世間の目を気にすると言いますが。年齢別、男女別ではどうなのでしょう。
昨日書いた「市民の行動変容」の重要な事例です。

新型コロナ対策の検証、市民の行動変容

9月14日の日経新聞「日経・FT感染症会議特集」が新型コロナウイルス感染症対策を検証しています。その一つに、砂原庸介・神戸大学教授の「正しい情報伝達へ専門家育成」が載っています。

・・・新型コロナウイルスの感染症法上の分類は5月に季節性インフルエンザと同じ5類に移行したが、人の移動が活発化する中で今後も流行を繰り返す可能性がある。今後、住民に正しい情報を伝え、行動変容を促すためには、国だけでなく地方自治体にも科学的知見を備えた人材を中核としたチームを作っていく必要がある・・・
その主張の通りです。詳しくは原文をお読みください。

そして、次のような指摘もあります。
・・・マスクの着脱や休業要請など、感染対策に関する行政と住民の意思疎通には信頼が前提になる。これまでのコロナ下の意思疎通のあり方にはさまざまな課題が見られた。これは「市民の行動変容のための平時のアクション」を考える上で重要だ・・・

「市民の行動変容のための平時のアクション」は、良い視点ですね。連載「公共を創る」での論点の一つです。
これまでの日本の行政は、産業振興と公共サービス拡大を任務として、業界を振興したり自らそれらを提供してきました。ところが、孤独・孤立問題、少子化、働き方改革などの新しい社会の課題は、これまでのような業界振興とサービス提供では解決できません。国民の意識と行動が変わらないと、実現しないのです。
しかし、国民の意識と行動を変えることは、行政は得意な分野ではありません。いじめやネット上の妄言はなくならず、エスカレーターに列を作りながら片側は相変わらず空いたままです。世間の同調圧力に従いすぎる欠点、それから逸脱すると批判をする欠点を、どのように変えていけば良いのか。