惰眠官僚

9月16日の朝日新聞投書欄に、昭和20年9月25日の投書「惰眠官僚」が載っていました。恥ずかしいです。

◇商工省の庁舎が連合軍兵舎に提供され立退かねばならなかつた時のこと。「手が足りぬから是非」との商工省某燃料関係課よりの要請に応じ、某会社の社員たる吾々(われわれ)も応援を買つて出た。役所に出て当の官庁側の出席者が余りに少いのに一驚を喫した。少数の下級課員とともに、五階の旧事務室から一丁程離れた新庁舎の二階迄(まで)テーブルや書類を人力のみで上げ下げせねばならなかつた。

◇その際割り切れぬ感情があつた。当の責任者たる課長の態度である。彼は自分の道具、棚等を部下や応援者に運搬させて置きながら、回転椅子に座り込み、昼食後は恥かし気もなく昼寝を始めたのである。我々の目の前で靴のまゝの両足をテーブルの上に投げ出し作業の終るまで眠り続けてゐた。

◇この象徴的事実が戦後の我国を暗示するものでなければ幸である。新日本の黎明(れいめい)とともに此種(このしゅ)の一部官僚が惰眠より覚醒せん事を切望して止(や)まない。(一国民寄)

詐欺メールの洪水

皆さんのパソコンには、詐欺メールが来ませんか。犯罪者たちが、私のメールアドレスを入手したらしく、毎日たくさんの詐欺メールがきます。
去年、メールアドレスを変えたのですが、前のメールアドレスに届いたメールも、新しいメール画面に届くように設定してもらいました。そうしないと、私のメールアドレス変更を知らない人もいて、困るでしょうから。

前のメールを管理しているプロバイダーは優れもので、ほとんどの詐欺メールを「迷惑メール」の欄に振り分けてくれます。だから、通常作業には支障はないのですが、時々その振り分けをくぐり抜けて、届くことがあります。
しばしば前のプロバイダーの迷惑メール欄を見て、「また来ているわ」と腹が立ち、「このメールは迷惑メールなので受信拒否します」と報告しています。ところが敵は、毎回少しずつ発信者のアドレスを変えて、送ってくるのです。たまに国名にcnがついたアドレスがあります。
有名なネット企業や銀行名で送ってきます。でも、私はネットバンキングは利用していないし、ETCにいたっては自動車を持っていないのに。「ええ加減にせいよ」と叫びたくなります。

と書いていたら、18日の朝日新聞に「フィッシング詐欺、夏秋増加 中国拠点グループ、春節に備え稼ぐ? 偽サイト注意を」が載っていました。
・・・フィッシング詐欺は、「本人確認のお知らせ」といったメールが届き、リンク先を本物と思い込んで会員番号やパスワードを入力してしまうと、情報が詐欺グループなどに渡ってしまう詐欺だ。
セキュリティーの専門家らからの報告をまとめている一般社団法人「JPCERTコーディネーションセンター」によると、2022年は約2万9千の偽サイトが確認され、約3300だった17年の約9倍になった。
月別に見ると、今年1、2月に確認された偽サイトの数は約1500~1700で、昨年7~9月は約2500~2600件だった。佐條研・マルウェア(悪意あるソフト)アナリストは「偽サイトの確認数は1~2月に少なく、夏から秋にかけて増える傾向がある」と語る。
こうした季節変動についてセンターは理由を明言しないが、サイバー犯罪に詳しい関係者は、偽サイトの多くが中国のシステムを経由していることから、春節(旧正月)が関係しているとみる。
「中国を拠点にしている詐欺グループが、春節に帰省したり、旅行したりするために冬は少なく、それまでに稼ごうとして、夏から秋にかけて増えるのではないか」・・・

人を主語にした記事

9月12日の朝日新聞「新聞記者の文章術 新聞を面白くするには」、大鹿靖明・編集委員の「人と、その言動 ストーリー際立つ」から。

・・・人間ほど興味深いものはない。愉快な人、すごい人、ざまあみろと言いたくなる人。新聞記事は「5W1H」が不可欠とされるが、実は「誰が」にあたる「Who」があいまいだったり、「幹部」「関係者」と匿名だったりすることが少なくない。「財務省は」などと役所や企業を主語にした記事も多い。人物紹介欄も「人間」を書き切るには小さなスペースだ。

読者をひきつけるのは「人」。それを実感したのは、新聞を離れてAERA編集部に在籍した9年半の雑誌経験だった。在籍中、省庁や大企業を書くときに、人物に着目して書く方法を編み出した。
東京電力の原発事故の記事では、勝俣恒久会長の生い立ちをさかのぼり、その言動を交えて書く。浮かび上がったのは「慢心」だった。日本航空の倒産を描くときには、財務部門出身者として再建役を期待されて登板したのに、会社更生法の適用の申請に追い込まれた西松遙社長を主人公に据えた。つまり「期待外れ」。こうすれば、官報みたいな経済記事がストーリーに変わる・・・

・・・「財務省は」ではなく「財務省の神田真人財務官は」と書き出せば、従来と違う記事に仕上がりそうである。Whoに着目すれば、新聞はもっと面白くなる・・・

テート美術館展 光

先日、キョーコさんのお供をして、国立新美術館の「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」を見てきました。

宣伝にはターナーの絵が使われていたので、印象派が中心と思い出かけました。実際の展示は、印象派などとともに、現代美術がたくさん展示されていました。
光を主題とした抽象画や、光そのものを使ったさまざまな表現などです。壁だけでなく、空間に浮かんでいたりします。暗幕の中に入って、光の変化を見たりもします。
彫刻でもなく、なんと表現したら良いのでしょうか。学校だと「工作」です。建築への応用や、公共空間での設置が考えられますが、個人宅に飾ることは無理です。

もう一度表題を見ると、「印象派から現代へ」とちゃんと書かれています。私には、現代美術は難しいです。

葬祭扶助費の増加

各紙が、生活保護費の葬祭扶助費の増加を伝えています、例えば、9月7日の読売新聞「葬祭扶助費 最多104億円 21年度 困窮者 独居や疎遠で」。

・・・生活困窮者が亡くなった際の火葬代などとして支給される葬祭扶助費の支給額が2021年度、過去最高の約104億円にのぼったことがわかった。生活に困窮する独居高齢者や故人の引き取りを拒否する親族の増加が背景にあり、多死社会における公的支援のあり方が問われている・・・

一人暮らしが増え、生活困窮費でなくても、身寄りがなくなくなった人の葬式をどのように社会が負担するかの問題になっています。