子どもが不登校になったら

9月12日の朝日新聞教育欄に「親の苦悩、同じ立場の人とつながって 娘が不登校、臨床心理士の鈴木晶子さんに聞く」が載っていました。

・・・もし我が子に「学校に行きたくない」と言われたら、あなたならどう対応しますか? 臨床心理士で、不登校やひきこもりの当事者や保護者らを長年支援している認定NPO法人「フリースペースたまりば」(川崎市)の事務局次長・鈴木晶子さん(45)は、娘が不登校という当事者でもあります。自身の経験も踏まえ、親が同じ立場の人とつながることが大切だと言います・・・

子どもが不登校になったら。親や周りの人はどのようにしたら良いか、分かりませんよね。学校でも世間でも、教えてもらっていません。これまでの学校教育は「よい子に育てる」を目標としてきたので、そこから外れた子どもを考えてこなかったのです。
それは、職場でも同じです。良い職員や社員を育てる研修はあったのですが、そこから外れた社員をどのように指導するのか、これまでは研修内容に入っていませんでした。でも、「良い生徒」も「良い社員」(これらは組織の側から見た評価です)も、教師や上司には手がかからないのです。

2023年スペイン旅行7

2023年スペイン旅行6」の続きになります。

16世紀中頃から17世紀前半までの約80年間は「スペインの黄金時代」と言われますが、どうしてその後に没落したのか。歴史のあるいは政治の大きな主題です。
ヘンリー・ケイメン著『スペインの黄金時代 』(2009年、岩波書店)が本の山から発掘されたので、読んでいきました。かつて読んだ『リシュリューとオリバーレス―17世紀ヨーロッパの抗争』(邦訳1988年、岩波書店)は、内容を覚えていません。反省。現地の案内人も、いくつか説を教えてくれました。私の理解では、次の通り。

・全世界に領土を持ち、ヨーロッパでも各地に大きな領土を持っていたので「帝国」とよばれるが、実体はそんな強い国ではなかった。スペイン国内やヨーロッパでの領土は、それぞれ独自の国であって、国王が兼ねていたから帝国と見えたこと。自らは「帝国」とは名乗らなかった。
・国外の領土は、戦争で獲得したのではなく、婚姻によって手に入れたものであった。それらを強権的・統一的に支配し、徴税や徴兵を行えたわけではなかった。新大陸は、当初は植民地でもなかった。
・新大陸からの金銀がスペインの繁栄をもたらしたが、それは政府が抱えた多額の借金(戦争費用)の他国の金融機関への支払いに消えたこと。そして国内の産業振興に使われなかったこと。
・カタルーニャなどにおいて行政機構を整備することには成功したが、国内の農業や産業は、一部を除き振るわなかったこと。
・財政や金融を担っていたユダヤ人を追放したこと。

歴史の見方」。『スペイン帝国の興亡』(邦訳1982年、岩波書店)は、まだ机の上に眠ったままです。

マイナ保険証の誤登録件数

9月8日の日経新聞オピニオン欄に、中空麻奈さんの「「本末転倒」があふれる日本社会」が載っていました。詳しくは原文を読んでいただくとして、次の指摘を紹介します。ほかの所でも指摘している人がいました。

・・・マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせるマイナ保険証への切り替え問題もそのひとつ。誤登録件数は8441件(8月8日現在)に達し、救い難いシステムではないかとも思えてしまう。
しかし、マイナ保険証の利用登録は6633万件(8月20日現在)で、誤登録割合は、0.013%・・・

そうなんです。しかも、この件は機械化したので、間違い件数が把握できていますが、手書きだとどれくらい間違っているかも把握できないのです。報道機関も、もう少し広い視野で報道して欲しいですね。

 

暑さ寒さも彼岸まで

暑さ寒さも彼岸までとは、よく言ったものです。東京では9月に入っても、最高気温が30度、最低気温が25度を超えていましたが、今日23日の朝の気温は21度、昼の最高気温は24度です。
昨夜は雨もあったので、窓を閉めて寝ました。パジャマも長袖にして、この夏使わなかったタオルケットを掛けて。寝苦しくなく、気持ちよかったです。毎朝浴びていた水のシャワーも、今朝は不要です。
それにしても、今年の夏は暑かったですね。

善福寺川沿いの公園には、曼珠沙華が咲いていました。まさに、彼岸花です。ご近所の庭の萩が、花をつけました。

連載「公共を創る」第162回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第162回「政府の役割の再定義ーなぜ官僚は新しい仕事に取り組まないのか」が、発行されました。

「官僚の失敗」と呼ばれる問題を議論しています。その本質は、新しい課題への対応が遅れていることと、それまでの政策の転換がうまくできていないことでした。今回は、官僚や公務員が新しい仕事に取り組まない理由を整理しました。それには次のようなものがあります。
・日本の官僚の変質=明治期の官僚や終戦直後から経済発展期の官僚は、進取の気風を持っていました。それがいつの間にか、現状維持派に変質しました。
・行政機構の持つ性質=行政機構に限らず、組織には考え方を固定化する仕組みが埋め込まれています。
・外部要因=企業と異なり、新しい事業に問題が生じると、報道機関や国民からきつい批判を受けます。
・余裕がない=予算や人員面で余裕がありません。
・組織の風土=以上のような行政機構の性質や外部要因が、役所の気風をつくります。
・職員の志向=事なかれ主義と前例踏襲主義は公務員批判の定番です。