NHK時論公論に取り上げられました

9月26日深夜の「時論公論」「どうなる「キャリア官僚」 国家公務員は確保できるか」。10分番組の8分頃に、私の顔と意見が出ています。
成澤良・解説委員の「国家公務員の志望者が減少傾向にあり、人事院は、国家公務員の人事管理の抜本的な見直しに向けて有識者会議を立ち上げました。現状や課題を解説します。」

再放送は、27日14:35からです。NHKの見逃し配信でも見ることができます。ウエッブでも概要を見ることができます。

取材ではいろいろ説明したのですが、「行き過ぎた官邸主導が官僚のやりがいを失わせた」の部分だけが取り上げられました。
私は官邸主導は良いことだと考えています。しかし現状では、総理が扱う政策、大臣が扱う政策、官僚が扱う政策の分類がうまくいっておらず、「なんでも官邸に集約する」ことが、指示待ち人間を生んでいると考えています。

お客様は神様、じゃない

9月13日の読売新聞に「お客様は神様…じゃない!」が載っていました。

・・・顧客が理不尽な要求を突き付ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が横行し、社会問題になっている。古き良き伝統であるはずの「おもてなし」の精神。そのあり方は今、曲がり角を迎えている・・・

・・・古くから受け継がれてきた「おもてなし」の精神。それが今や、深く傷つけられる時代となっている。
「接客態度が悪いと言われ、胸ぐらをつかまれて15メートル引きずられた」「2時間以上クレームを受けた」
流通業界などの労働組合が加盟する「UAゼンセン」が20年に行った調査(回答数約2万7000人)では、過酷な実態が浮かび上がった。約46%は「過去2年で迷惑行為が増えた」とし、状況の悪化をうかがわせる。
健康被害も深刻だ。厚生労働省によると、13〜22年度に認定された精神疾患による労災のうち、顧客や取引先からのクレームや無理な注文が原因になった人は計89人いて、うち29人は自ら命を絶った・・・

・・・桐生教授は「カスハラは、同じ相手に何度も嫌がらせをするという点でストーカー行為と共通する。悪質な場合は犯罪と捉えるべきだ」と断言。土下座の要求や脅迫的な言動などは刑事責任を問われる可能性がある。
国は対策に乗り出している。厚生労働省は22年2月、企業向けの対策マニュアルを作成し、複数人での対応などを促した。今月には、労災の認定基準に、カスハラを新たな類型として追加し、救済の強化を図った。
企業側にも変化がみられる。任天堂は22年10月、修理品の問い合わせでカスハラがあった場合、修理などを断り、警察などに連絡する可能性があるとした・・・

国語辞典を作る

中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事』の続きです。いくつも、なるほどと思うことがあったのですが、一つだけ書き留めておきます。日本の辞書の歴史です。

現存する最古の辞書は『篆隷万象名義』で、空海が編集し、830年以降にできたとされています。漢字辞典です。『和名類聚抄』は930年代にできた、国語辞典兼漢和辞典兼百科事典です。広辞苑のご先祖ですかね。

明治になって、政府は一人前の国になるために、国語辞典と文法書が必要と考えます。最初の本格的国語辞書は、明治24年に完結した『言海』です。明治憲法が施行されたのが明治23年です。出版祝賀会には、初代総理大臣・当時枢密院議長の伊藤博文などが出席しています。しかし、これは私費で作られたのです。日本には、国が作った辞書は一冊もないとのことです。

日本は、国語に無関心な国だと思います。義務教育学校で国語が教えられ、規範はあるのですが、国定の文法書も書き方の標準もありません。文科省が定めた常用漢字表記のよりどころなどがあり、国立国語研究所もありますが。原稿を書いていて、どこで句読点を打つのか、迷うことが多いです。
そして、英語をカタカナで表記したカタカナ語が氾濫しています。多くは、国語辞典にも載っておらず、素人には理解しにくい、また覚えられない言葉です。カタカナにすらせず、アルファベットのままで使っている新聞もあります。
多くの国語辞典では、ひらがなとカタカナが見出しで言葉を検索します。アルファベットは見出しに立っていないのです。困ったことです。関係者は、どのように考えているのでしょうか。

職場のストレス

9月12日の日経新聞に「高ストレス社員 対策急ぐ」が載っていました。詳しくは記事を読んでください。

・・・働く人々にかかるストレスが過去最悪の水準に達している。周囲の支援が不十分な高ストレス者の割合は、80万人分を調査した民間のストレスチェックで2022年度に1割を超え、比較可能な18年度以降で最も高くなった。特に深刻なのは30代。累積する業務の多さなどで疲弊している。休職者の増加が組織をむしばむとあって、企業も対策を講じ始めている・・・

職場のストレス悪化は、世界的だそうです。世界1万人の労働者を対象とした調査では、「燃え尽き症候群を感じた」との回答が、42%に上ったそうです。心身の過度の疲労によって勤労意欲を失うことを、燃え尽き症候群と呼ぶようです。

新型コロナ対策の検証、行政の課題

新型コロナ対策の検証、市民の行動変容」の続きです。この記事は、日経新聞が行うコロナ対策の検証特集に載っています。新型コロナウイルス感染症拡大は、大きな事件・事態であり、検証は多角的に行う必要があるでしょう。各分野における精密な検証とともに、全体を見た簡潔な検証も有意義です。多くの人は、前者は読まず、後者なら読むでしょう。

私は行政に携わった者として、新型コロナ対策の一連の政府の対応のうち、まずは次の3つを総括すべきと思っていました。
1 政府本部の危機管理運用(被害者救済、被害拡大防止)
2 政府と自治体との共同・役割分担
3 政府から国民への働きかけ

もう一つ上げると、
4 治療に当たる医療機関との関係です

いろいろな検証が必要ですが、行政組織の運用を考える際には、まずはこの3つを検証する必要があります。
誰が、どのように行うかです。まずは、現実がどのようになっていたかの証言です。2と3は部外からも見えますが、1は関係者しか分かりません。全体を話すことができる人はいるのでしょうか。実は、ここに今回の行政の問題があると思います。

紙面の隣に載っている「体制不備」の中で、仕組みを作っても動かない恐れが指摘されていますが、これも大きな問題です。
自治体は、新型インフルエンザの行動計画を作っていたのです。しかし、あまり役に立たなかったようです。災害対策も、計画だけでは現実に起きたときには、なかなかうまく動かないのです。大部の計画書より、実働の訓練の方が効果があります。
しかも、実際の災害では、いろいろ条件を設定した訓練では見えなかった問題が出てきます。大きな災害は困りますが、小さな災害が起きると訓練になります。